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料理芸術の鑑賞対象(ハード-建築と照明)

前稿では、料理芸術の鑑賞対象をロジカルシンキングで構造化した。その結果、料理芸術の鑑賞対象は、

1.料理そのものと付帯物(環境)に分解できる。付帯物とは料理以外のレストランの建物だったり、テーブル、サービスなどだ。

2.付帯物(環境)は、ハードとソフトに分解できる。ハードとは、椅子の座り心地、テーブルの広さなどである。ソフトとは、言い換えるとサービス、接客だったりソムリエのワインの知識、提案力などである。

ということがわかった。本稿では、付帯物(環境)の中でも、ハードのなかで建築と照明について考えてみたい。写真は、恵比寿にある「Joël Robuchon」の外観である。

料理芸術としての建築物

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「Joël Robuchon」は、ルイ15世王朝時代の建築様式を取り入れた石造りの城で1994年に作られた。石造りの”シャトー(城)”であり、外壁等に使用されている約1000トンの石材はフランス中西部のショヴィニ、テルヴー地方から運ばれている。建築もまた芸術の一つであり、建築物を鑑賞することで、鑑賞者は様々なイメージを喚起させられる。「荘厳」「威風堂々」「伝統」様々なイメージがあるだろう。ここから、これから頂く料理の期待値やイメージも高まっていく。このようなレストランの外観と鑑賞者のコミュニケーションもまた、料理芸術の楽しみの一つである。

料理芸術としての建築照明

昼間の「Joël Robuchon」と、夜の「Joël Robuchon」は表情を変える。建築照明は、建築物の審美的な魅力を高め、照明自体もまた表現となる。

「Joël Robuchon」では、建築物上部にアイキャッチとなる強い光を当て、その大きさを表現している。そして、下部からは穏やかな光を当てることで、恵比寿の現実、喧騒から隔離された異世界を表現している。そして、個人的に一番素敵だと思ったのは、窓からの電球色の光だ。非常に暖かく、豊かさ、穏やかさを感じさせる。あの窓の中では、暖かい部屋で、人々が美味しい料理を楽しんでいるのだろうと想起させられる。

これらはすべて、「Joël Robuchon」を見たときの、私の「解釈」である。このような解釈こそが、芸術の鑑賞となる。外資系コンサルティング会社のMcKinseyでは、「雲⇒雨⇒傘」という思考プロセスで、ファクト、情報(雲)から解釈(雨)を行うが、芸術鑑賞のプロセスもまた同様だ。解釈なので、同じ建築物を見ても人により解釈は異なる。

本稿では、料理芸術の構成要素の一つである付帯物(環境)の楽しみ方、鑑賞法について検討してきた。次回は、建物の中に入り、内観の楽しみ方を検討したい。


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牧田 幸裕 名古屋商科大学ビジネススクール 教授

名古屋商科大学ビジネススクール 教授。専門は、経営戦略、マーケティング、デジタルマーケティング、ラーメン。日経COMEMOキーオピニオンリーダー

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日経が推す各業界キーオピニオンリーダーたちの知見をシェアします。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 はじめての方へ→ https://bit.ly/2DZV0XM 【...
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