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Voicyフェスを10,000人に届けるために必要な「コミュニティ」の力

 Potage代表 コミュニティ・アクセラレーター、そしてVoicyパーソナリティの河原あずさです。Voicyでは「つながりをデザインするコミュニティ思考AtoZ」という番組を2022年3月13日から毎日配信し、約600回の配信数を積み重ねています。たくさんのリスナーに日々聴いていただき、本当にありがたく思っています。

 さて、明日10月25日からの3日間、音声SNS「Voicy」内で「Voicyフェス」というイベントが開催されます。集客目標1万人を掲げ、新しい音声コンテンツの可能性を切り開くために、コミュニティを上げた盛り上げ施策がVoicy内で日々行われています。

 Voicyは審査を通過した(通過率5%!!)パーソナリティが日々短めの音声番組を配信する「選ばれし人たちのPodcast」のようなプラットフォームで、コメント交流やライブ配信の仕掛けもあり、独特の文化をはぐくんでいます。特に「耳から学びを得たい」という忙しいけど学びを続けたいというビジネスパーソンに人気で、パーソナリティにはキングコング西野さんやちきりんさん、イケハヤさん、堀江貴文さんなどなどの誰もが知っているインフルエンサーもラインナップされています。COMEMOのKOLでも配信している方が多数おり、例えば澤円さんや伊藤羊一さんも毎日のように配信されています。

 Voicyフェスは、Voicyのコミュニティの人なら誰もがみとめるトップパーソナリティたちと、爆笑問題太田光さん(なんとキングコング西野さんとの対談…!これだけでチケットのもとはとれます間違いなく)「シン・二ホン」や「イシューからはじめよ」の著者でもある安宅和人さん等のビッグゲストたち、そしてリスナー推薦で選ばれたパーソナリティたち総勢79名が約60の対談ステージを3日間にわたり配信し続ける日本最初かつ最大規模の「音声フェス」です。AステージBステージと2つのチャンネルにわかれるので、リアルタイムで全部聴くのはまず不可能!そのためアーカイブは11月いっぱい聴くことができます。(そして11月を過ぎると聴けなくなります…その場限りのトークがでる可能性もたっぷりな仕掛けです)

 僕も、リスナーさんたちの後押しをうけて、リスナー推薦というかたちで幸運にも登壇できることになりました。おもちゃクリエーターの高橋晋平さんと「企画の通し方」について25日20時からお話します。ぜひチケットを買って聴いて下さい…!

 さて、このVoicyフェス、1万人動員という目標を達成するために様々な施策が展開されています。渋谷にサイネージや広告を掲出したり、Voicy内で様々なインフルエンサーたちがフェスについての解説をしたり……とても盛り上がっているのですが、まだ券売状況は6,000枚+αと1万枚までに開きがある状況です。(ちなみにチケット販売枚数は、アーカイブ公開が終わる11月末までの販売数がカウントされます)

 登壇者として…そしてVoicyコミュニティの一員としてなんとかしたい…そんな思いで、今回は「Voicyフェス集客1万人到達」のための秘策を、状況分析とともに、イベントや場づくりのプロの目線でお届けしたいと思います。イベント企画をされている方はぜひ参考にしてみてください。そして、興味を持った方、いらっしゃいましたら、ぜひいますぐ、Voicyフェスのチケットを買ってください!!よろしくお願いします。

 今回、そして次回以降、このVoicyフェスのチケットを1万枚売るためには、どういう要素が必要なのかというのを、イベントづくりや場づくりの専門家としての視点で書きたいと思います。

 1万人に届けるというのをこの数年アナウンスしていて、昨年は7,600人に届けられたVoicyフェスは、今年こそは悲願の1万人に届かせたいというのが、大目標になっています。

 ただ、今(10/24現在)の現状のペースでいくと、僕の客観的な見立てによると、7,500人から8,500人程度のチケット販売になるのかな、と見ています。

 Voicyのアプリ内では様々なプロモーションが展開されていますが、アーカイブチケットを含めて販売数を伸ばすためには、それ以上の取り組みももしかしたら必要になってくるかもしれません。今回は、まず集客1万人の障壁になっている要因を分析し、その対策案についてまとめてみたいと思います。


Voicyフェス10,000人3つの障壁

 そもそもの前提としてVoicyフェスのチケット販売数を伸ばすにあたっては、3つの障壁があると考えています。

 1つが、販売チャネルの問題です。VoicyフェスのチケットはVoicyの有料配信「プレミアム放送」の仕組みで販売していますが、プレミアム放送の購入という形でしか買えません。この仕組みの問題は、ライトな層を取り込むにあたっては、非常に大きいと考えています。

 2つ目が、PRの手法の問題です。VoicyフェスはVoicyパーソナリティを中心とするインフルエンサーたちによる対談でコンテンツが構成されていますが、だれが登壇するか、そして対談の組み合わせは、Voicyのヘビーリスナーがよく知っているおなじみの方から順番に3~4人ずつ小出しで発表されていて、新しめの登壇者がなかなか発表されないプロセスになっていました。(10/24現在は全対談、全登壇者が発表されていますが、発表までにおおよそ20日間を要しました)

 そして3つ目は、コンテンツのわかりづらさです。第一線の方々によるガチ対談ということで、非常にいいコンテンツなのは間違いないですし、Voicyを日々聞いている人、ヘビーリスナーにはすごくピンとくる、間違いなくいいものだという感覚ありますが、外の人目線で見たときには、結局「誰と誰がどんな話するの?」という疑問が解消されづらいし、コンテンツの具体的イメージが浮かびづらいという構造があるのではと思います。

 この3つの要素が絡み合って、結果何が起きてるかというと「今のVoicyフェスは、固定のファンにしか届きづらい構造にある」ということです。

 イベントの集客は、いわば選挙戦のようなものなので、以下の順番でそれぞれの層をおさえていく必要があります。

固定層(熱心なコアファン)⇒ライトなファン層(後押しがあれば買うファン)⇒新規層(選挙で言うところの浮動票)

 つまり、固定層は絶対にとりこぼさない、ライトなファン層には購買行動につながるような刺激を与えて買ってもらう、そういうアクションが大事になります。イベントの動員数にもよりますが、だいたいこれで全体の5割~7割はおさえることができます。

 問題は残り3割の「新規層」の獲得です。政治の世界の話をすると、選挙で接戦を制するときは、だいたいこの「新規層」(主に無党派層)の獲得に成功をおさめて、残り3~5割の得票を取り込めるという現象が起きています。選挙的な表現で言う「追い風が吹く」状況とは、つまりそういうことです。

 ところが構造的に、Voicyフェスの集客は、新規層の取り込みが「やりづらい」状態なので、この追い風が吹きづらいのです。

 しかし、今から新しいPRのための仕組みをつくるわけにもいきません。すでにすべての登壇者もプログラムも発表され、コンテンツの中身も変えられないですし、PRの手法を駆使するといっても限度はあります。

 では、会期スタートまで残り1日を切る中で、会期後のアーカイブ販売も含めて具体的に何ができるのか。そこを考えてフットワーク軽くできる施策を展開する必要があります。

まずは強みを整理せよ

 この施策を考える際に大事になるのは「そもそもVoicyフェスの強みは何なのか」という原点にまず立ち返ってみることです。

 これは、間違いなく「コンテンツ力」だと、僕は思っています。日本で(もしかしたら世界で)唯一無二の音声コンテンツであると断言していいです。

 いわゆる「喋り」のトップクラスのプロたちが、あるテーマに関してガチで対談で話すコンテンツなわけですが、なかなかこういう硬派なコンテンツって日本でも転がっていないです。テレビやラジオの対談はスポンサービジネスの手前、商業的なニーズが先にあってコンテンツの中身やキャスティングが決められることが多いです。しかしVoicyフェスは100%自主運営なので(スポンサーはいるけど大口ではないし、スポンサーは中身に介入してこない)マーケットをみずに、自分たちがつくりたい純度高いコンテンツをつくれます。

 いろんなビジネスカンファレンスだと近しいトークは聴けますが、チケットは2桁万円したりします。Voicyフェスが設定している3,900円という値段ではまず手に入りません。テーマのバラエティ豊富さも含めて、お値段以上の価値は間違いなくあると客観的にみても思います。

 そのコンテンツの魅力を、知っている人たちが届けていくというのが、1万人以上の人たちに広げていくためには大事だと思うんです。

 では何の力が必要でしょうか。ここでカギになるのが、僕の専門ジャンルであるところの「コミュニティの力」だと思うのです。

みんなのフェスに

 「Voicyフェスというイベントを、ただ消費するだけのものではなく、みんなで作ってみんなで広げるものにする。」

 これが1万人に届けるための大事な基本コンセプトになるんじゃないかなと思っています。つまり「Voicyフェスをみんなのものにしよう」というのが僕の「一万人呼ぶフェスにする」ためのコンセプトの骨子になります。

 ここで言う「みんな」とは「Voicyの魅力を誰よりも知っている人たち」です。具体的には「パーソナリティ」と「リスナー」という2つの層の人たちがいます。

 みんなのものにすると言っても、具体的にどういう風にすればいいのか?という疑問も当然わいてくるでしょう。これには2つの要素があると考えています。

 1つは「みんなで作る」という要素、もう1つは「みんなで広げる」という要素です。

みんなで作る

 みんなで作るというのは「コンテンツ」側の話です。例えば、どういう要素があるかというと例えば「リスナー参加型の要素をコンテンツの中に入れ込む」という手法があります。こうすることで、その企画に対する参加感、一緒に作っている感が増してくるし、リスナーさんのコンテンツへの愛着も強まってくると思うんです。

 この愛着の強さが、結果的に色々な人たちに「私がつくったフェスがあるんだよ」と、周りについ言いたくなる口コミが広がってくる大きなトリガーになると考えています。

 「リスナー巻き込み」は本来は企画の立ち上がりの段階から仕込みたい仕掛けです。今回はパーソナリティの登壇リクエスト投票という仕掛けがありましたが、逆に言うとリスナー巻き込み施策はそれだけでした。例えば、次回以降で考えられる仕掛けとしては、対談ペアが決まってから「お題リクエスト」をできる仕掛けを用意するという方法もあるかもしれませんし「リスナーがレポーターとして参加する」という方法もあるかもしれません。リスナーが飛び入り登壇できる枠があってもいいな、とも思います。

 今からギリギリできることでいうと「リスナーの声をつのって、番組内で生紹介する」方法が考えられます。ラジオなどでおなじみの手法ですが、参加感覚を促すのにシンプルですが非常に効果的です。ぜひ今からでも検討頂きたいところです…

 また「リスナー」の解釈を広げると、企業や行政や教育機関を巻き込んでいくという手法もあります。お題を企業などから出してもらい、そのお題についてパーソナリティ2人について話してもらうという形です。

 ただしコンテンツの純度を減らさないために、スポンサーはお題の設定はできても中身には干渉しない、とルール設定して、主旨を理解いただけるスポンサーに限定して営業します。Voicyフェスはキャリアや学び、パートナーシップ、地方創生や生活を整えるなどのテーマトークが多いので、スポンサーとなりうる企業のリストアップはしやすいですし、お題と企業の相性は高いはずです。スポンサーが出したお題に対して、パーソナリティが自身を「逆提案」できるマッチングの仕組みがあってもいいかもしれません。

 企業や組織を巻き込めば、その組織に所属している人たちに一定の枚数を「特典」として配布するという、通常のカンファレンスイベントでよくとっているチケット販売のスキームが出来上がります。まとめ買いが発生するメカニズムになるわけで、券売1万枚突破の可能性は間違いなく上がるでしょう。(ただしこれも今からは間に合わないので、次回以降の施策アイデアということにはなりますが…)

みんなで広げる

 これは、要するに「みんなでプロモーション」していこうということです。おさらいですが、ここでいう「みんな」は「パーソナリティ」と「リスナー」になります。

 つまり、Voicyに関わっている人たち総動員で、Voicyコミュニティ全体でこのフェスを広げていく仕組みを作ればいいと考えています。

 じゃあ具体的にどうやって作るのか。まず大事なのは「パーソナリティの力をもっと借りる」ことだと思います。

 僕もそうですが、パーソナリティの方々は、企画のプロや、マーケティングのプロ、つまり「人を巻き込む施策のプロ」がめちゃくちゃ多いです。個人の名前でビジネスしている方がほとんどなので、それぞれがそれぞれなりの「売り方」に関する見識を持っているんです。

 その「売るプロ」たちのリソースを借りながら、色々な企画を考えてもらって実行してもらう。こうすることでVoicyフェスへの導線を作っていくことが、とても大事だと思うんです。

 例えば僕が実践するのが「YouTube番組」の配信です。Voicyの外の人たちにフェスの存在に気付いてもらい、あわよくばリアルタイムで買って頂く、そんな目的で放送を立ち上げています。Voicyフェスのプロモーションは先述の事情で基本的にVoicyアプリ内に閉じているので、外でPRして意味があるのか?という見方もあるにはあったのですが、予約数も想像以上に伸びていて「ちゃんと外に出せば反響があるものだ」と嬉しく思っています。

 こういう施策は、続ければ続けるほどサービスの認知と導線づくりにつながりますし、きっと花開くときがくると思うのです。

 それと、これは去年までもやられていて、とても効果を発揮していたことに、登壇パーソナリティによる「後パブ」があります。Voicyフェス会場で撮ったコンテンツを放送したり、それをSNSで拡散したり「こういう面白い対談をやったから聴いて下さい!」とどんどんアピールしていくことで、フェスが終わった後もアーカイブチケットが伸びていくという流れです。

 大事なのは「こういう風にしろ」とVoicyフェス主催者が言うのではなくて「皆さんの好きな形で、Voicyフェス、Voicyコミュニティにプラスになるようなことであれば、もうなんでもやっていいです、どんどんやってください」という感じで積極的に促していって、フェスが終わったらみんなで乾杯して一緒になってお祝いする……それぐらいの感じがちょうどいいのではと思うのです。

 ただしこの着想に関連する施策は、すでに新施策が今年からVoicy公式で実行されています。惜しくも選に漏れたパーソナリティーの方々を「Voicyフェスアンバサダー」として認定するという施策です。これによる「これは私たちのフェスなんだ!」と様々なパーソナリティに思ってもらえるという効果はとても大きいと思っています。(今年は選出されたのが3人ですが、来年は10人くらいまで増やしてほしい!とさえ思っています)

 お祭りって、おみこしを担ぐ人も、まわりで「わっしょい」と掛け声をして拍手する人も、会場にいってお好み焼きを食べながら盆踊りを眺める人も、みんな参加者ですよね。みんなでつくるからこそのお祭りなので「出れない人は参加できない」よりは「出れなくても参加できる仕掛けをつくる」というのはとても大事なことだと考えています。

 くわえて大事にしたいのが「リスナーの力」です。リスナーさんの中からもアンバサダーをつのって、認定してもいいのでは?と思っています。これは今からでも間に合う施策です。

 リスナーさんの中には発信が得意な方もたくさんいらっしゃいます。それぞれのブログで書いてもらう、SNSで発信してもらう、動画や音声配信で盛り上げてもらう…おのおのの趣向をこらして、Voicyフェスの価値を発信してもらって、その口コミ経由での流入を図っていく、これも大事になってくるかなと思います。

 将来的には、手売りチケットをリスナーさんに配って、販売マージンを設定した上で売ってもらうなんて施策もぜんぜんあり得ると思っています。

 思いあるリスナーさんが売りやすくなる仕掛けとして「チケットのギフティング」の仕組みや、団体割引購入の仕組みをつくることもとても効果的です。特典をつけて法人に販売できる仕組みをつくって、人事や経営をやられているリスナーさんに検討してもらうという方法もありえると思います。その「新しい売り方」の布石として、リスナーアンバサダーもぜひ検討いただきたいなと個人的には思っています。

まとめ

 色々書きましたが、プロモーション施策を考えるうえで前提としてまず大事なのは「自分たちの強みと価値をきちんと理解して評価する」ことだと考えています。「売りポイント」と「武器」を理解しているからこそ「売り方」つまり「何を活かしてどう訴求して誰に売るのか」が見えてきます。Voicyにはパーソナリティというビジネスをする上での叡智が集結していますし(ぼくみたいに)強い思い入れを持っている方もたくさんいます。僕ら以上に愛着をもって日々聴いて下さっているリスナーさんも多数います。もちろん、パーソナリティたちが織り成す対談はハイクオリティで、お値段以上の価値があるものです。ではその価値をどう伝えていくのか。知恵をしぼれば、もっといろいろなアイデアが出てくると思います。

 Voicyは僕にとって大事なつながりの場であり、実験の場であり、欠くことのできない遊び場です。何か手伝えることがあればどんどん手を差し伸べていきたいし、愛情たっぷりにかかわっていけたらなと思う次第です。

※編集協力 横田真弓(THE MODERATORS & FACILITATORS受講生)


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