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リモートワーカーの価値を高めるスキルとホームオフィスの役割

 働き方改革が進む中、リモートで働ける職場や職種は増えている。そうした中で、リモートワークでも高年収を稼げる人材の特徴として挙げられるのは、「対人スキルが高いこと」と言われている。

リアルに顧客と対面することが無いリモートワークでは、ビデオ映像の印象、音声通話での会話、メールやチャットで書く文章などが、新たな“対人スキル”として重要になってくる。その中でも、ビデオ会議で好印象を与えるマナーやテクニックは、特に重要なスキルとなっている。

たとえば、海外では医師の遠隔診療が受けられるオンデマンドサービスが充実してきたが、その中では、ビデオ画面を通して患者に好印象を与えられる医師ほど、高評価のレビューが付き、新たな診療予約の獲得に繋がっている。

これは、自宅からリモート勤務をするビジネスパーソンにも共通することで、画面上で好印象を与えることが、社内向けの会議やクライアントとの遠隔商談で成果を上げるためのポイントになっている。そこで、ビデオ会議のためのエチケット集も出回っている。

《ビデオ会議のためのエチケット例》
○会議に参加する服装に配慮する(ビデオに映らない部分も)
○会議中にキーボードのタイピングはしない
○会議中に飲食をしない
○カメラ越しに参加者へのアイコンタクトをする
○部屋の照明を工夫する(照明の当て方で、顔の印象はかなり変わる)
○会議中は、家族やペットが部屋に入らないようにする
○会議中はビデオ画面から離れない(トイレなどは進行者に休憩を求める)
○ビデオ画面に映り込む部屋の背景を工夫する(生活感の漂う背景はNG)

こうしたビデオ会議のノウハウに加えて、自宅に仕事専用のホームオフィスを設けることも、リモートワークの職を得る上での、重要事項になってきている。

一例として、アップル社が求人している「at home advisor」という仕事は、アップルケアの延長保証サービスに加入する顧客に付加されている無償電話サポートを担当するもので、日本を含めて各国のテレワーク人材を採用している。そして、ホームアドバイザーとしてのキャリアを積めば、各地域のホームアドバイザーの教育や管理を行う上級のマネージャー職へと昇格できる道もある。

このような、リモートワークの人材採用では、本人の実力やスキルの他に、仕事をする自宅の環境も審査の対象になっている。仕事用の個室があるのは必須条件で、電話をしている時に、子どもやペットの鳴き声が入ってしまうような部屋はホームオフィスとしてふさわしくない。(※リモートの求人案件では、不特定多数の人とデスクを共有するコーワーキング・スペースを常用の仕事場所とすることは不可としているケースは多い)

ホームオフィスは、一人で仕事をすることが大半のため、広いスペースは必要ないが、図書館のように静かな空間を保てることが重要だ。米国では、在宅勤務への求職応募をするために、自宅の一部をホームオフィスに改装するリフォーム需要も出てきている。日本でも、これからのマイホーム計画では、リモートワーカーとしての仕事スペースが必要になることも、視野に入れておくのが良いかもしれない。

働き方改革の中では、これまでのように通勤して会社で働くスタイルとは違う、新たなスキルを磨くことや、新たな仕事環境への投資も必要となり、そうした変化にいち早く適応していくことが、リモートワーカーの中でも価値を高められる人材の特徴になっていくのだろう。

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