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暖冬を疑え。景気は増税前から悪い

消費が戻らないことは確かに気がかりですが、増税後に消費者の所得が急増していることのほうが私には謎です。総務省「家計調査」によると、サラリーマン世帯の可処分所得は昨年10月以降、3ヵ月連続で増加しました。一方、同世帯の消費支出は10月以降、停滞しています。以下の記事にある通り、駆け込み需要の反動と暖冬の影響が大きかった、というのが一般的な解釈のようです。

問題は、所得と消費のバランスです。所得に占める消費の割合、いわゆる消費性向は、昨年12月に、2000年1月の統計開始以降で最低の水準まで低下しました。14年4月の消費増税後のみならず、08年のリーマンショック、10年の欧州債務危機、11年の東日本大震災など、消費者が支出を控えなければいけない局面は、00年から現在に至るまでに少なからずありましたが、現在の消費者は当時よりも支出を控えています。これほどの消費性向の落ち込みを、果たして暖冬の影響だけで片づけてしまってよいのでしょうか。

暖冬などの一時的要因をできるだけ除去し、景気の基調的な変化を捉えるべく、政府が毎月公表している「景気動向指数による景気の基調判断」は、直近19年12月まで5ヵ月連続の「悪化」判断となりました。12月から5ヵ月遡ると8月です。すなわち景気は消費増税前の8月から悪化していたわけです。

暖冬や消費増税などで景気の判断が困難な現在こそ、「景気動向指数の基調判断」という機械的な手法が真価を発揮します。政府が、自ら開発した「基調判断」の手法を無視して「景気は回復している」と主張し続けている理由はよくわかりませんが、我々は素直に「景気が悪い」と判断すれば良いように思います。


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三菱UFJモルガン・スタンレー証券 景気循環研究所シニアエコノミスト。日本経済の分析・予測を担当しています。