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『人々を救い、文化を守り、伝えゆくもの』 TETTA|《大宮三十三観音》|さいたま国際芸術祭2020

11月15日をもって、キュレーターとして参加していました『さいたま国際芸術祭2020』が無事に閉幕致しました!

コロナ禍によって一時は開催も危ぶまれた『さいたま国際芸術祭2020』。
東京オリンピックが開催されるはずだった2020年、全国各地で芸術祭も百花繚乱となるはずでしたが、横浜トリエンナーレそしてさいたま国際芸術祭2020といった数少ない芸術祭のみが実施される結果となりました。


そんななかで、紆余曲折ありすぎて開幕しても一抹の不安を頂いていましたが、大幅に会期短縮となった1ヶ月の間にクラスターなども発生せず、それでいて本当に多くの方に来場いただき、そしてアート関係者からもさいたま市民のかたからも両方からの高い評価を頂けたこと、とても嬉しいです。

限られた予算という背景もありつつ、コロナ禍の芸術祭なので祝祭感も抑える為に広報活動はかなり控えめの船出でした。しかしながら、どういう意味かはさておき「思ってた以上に相当いい!!」という芸術祭の評価がSNSで響き渡り、閉幕が近づくに連れて連日予約上限(コロナ禍の為、同時入場者数を制限ました)があっという間に埋る人気となりました。

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(私がキュレーション担当の森永泰弘「POLLINATORS:Life of Hmong」も物凄い行列が全く途切れず・・・・!)

コロナ禍で開催した芸術祭に感じた事はとても多岐に渡るので、別の機会にしたためさせて頂きたいと思いますが、『さいたま国際芸術祭2020』の僕の担当作品のご紹介に話しをもどして、どんな背景で僕がキュレーターになり、そしてどんな考えでキュレーションしてきたかについて、下記にまとめました。

本エントリーでは、参加頂いた担当アーティストについて、ご紹介していきたいと思います。今回は、TETTA|《大宮三十三観音》についてご紹介します。

人々を救い、文化を守り、伝えゆくもの

「花」という芸術祭のテーマに沿ってどんなアーティストを招聘するか、そして招聘したアーティストとどんな作品を制作/展開していくかということを考える形で、2年関わってきた『さいたま国際芸術祭2020』。

「花」というテーマにピッタリで、しかも大宮というまち全体を盛り上げアートに巻き込んでくれるアーティストはTETTAさんだ!と思いました。TETTAさんとは『三十三間堂プロジェクト』展覧会のクラウドファンディングで御一緒してから2013年来のお付き合いです

『三十三間堂プロジェクト』は、TETTAさんの開催するワークショップで仏像について学び、理解し、メイクで菩薩に変身し、解放状態となった参加者みんなでまちを練り歩く、そんなアートプロジェクト。

そこに、観音さまの特性「人々を救い、文化を守り、伝えゆくものの象徴」をかけ合わせ、 三十三間堂プロジェクトのスピンオフ企画として、2017年から『あなたのまちの三十三観音』シリーズを2017年から展開し、第一弾は群馬中之条の町で『中之条三十三観音』を制作されていたTETTAさん。その『中之条三十三観音』の大宮版の展開をご相談させて頂きました。

そして、大宮駅周辺の個性豊かなさまざまなお店の華を観音さまというかたちで可視化し、芸術祭来場者の方々にも観音さま巡りをしていただき大宮の魅力を体感してもらおうと「大宮三十三観音」の構想が固まり、実制作に入って行きました。さいたま国際芸術祭をボランティアでサポート頂いている市民サポーターのみなさまとのMTGなどでプロジェクトのプレゼンしたりするところから始まり、大宮の魅力的な場所やお店を市民の方々に推薦いただいたり、お話しいただいたりしならがら観音様を探して行きました。

お陰様で、本当に多種多様な業種のお店に参加いただけることになり、TETTAさんは何日も何日も大宮に通い詰める(三十三箇所の制作を行うわけなので、本当に大変!!!!)制作がちょうどいまから一年前に始まりまりました!

「大宮というまち全体を盛り上げアートに巻き込む」がコンセプトだっただけに、もしかしたら「大宮三十三観音」がなければ、芸術祭が知られなかったようなところからも、実制作期間から反響が出始めて、芸術祭のプレ認知拡大にもなっている手応えも得られました。

だけども、1番はむしろ僕らが「大宮というまちに巻き込まれた」感覚のほうがデカかった・・・!まじ宇宙!みたいな感じでこんな個性的なのお店が沢山あるのか、大宮駅前!!!くらいの衝撃でした。「大宮三十三観音」にご参加いただいたお店や拠点に伺う度に、その個性の百花繚乱さに心奪われました。

「24時間年中無休 元祖大宮ナポリタンの伯爵邸」
https://www.hakushakutei.com

のカオティックな感じから、めっちゃおしゃれな「中華料理バルMoonshine(むーんしゃいん)」まで、ほんとうに幅広い。
「中華料理バルMoonshine(むーんしゃいん)」さんは、旧大宮区役所にも近いということもあり、芸術祭開催期間中は関係者が食事によく訪れていたとのこと。ほんとうに美味しかった・・・・!!創作中華って感じで、いちいち少し捻りがあるけどどっしりしていて本当に美味しい。お酒も上質。

もしかしたら、旅行で訪れたわけでもない町では駅前に降りてついつい目についてしまうのは、全国チェーンのお店になりがち。大宮みたいに大規模な都市で商業的にも開発が進んでいる町での第一印象は特にそう感じていたのですが、当然そんな訳はなく、思考停止で慣れたお店に入るのではなく少しでも立ち止まればこんなに宇宙が広がっているんだなと強く感じました。こんな感想は良く聞く話しだし今更感が有る感想ですが、それでも言いたい。そんな気分になりました。

そんな魅力的な大宮の個性的な場所が三十三箇所!

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それぞれの場所に、そこで働いているかたが観音様になったときの作品が飾られていて、そんな各地のお店を、展示を見終わった芸術祭の来場者の方々が、参拝して巡っていただける、そんなまちの景色を思い描いていました。

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TETTA《大宮三十三観音》展示風景(大阪屋)、さいたま国際芸術祭2020

『さいたま国際芸術祭2020』のレガシーを残したい。

しかし2020年春に開催予定であった『さいたま国際芸術祭2020』がコロナ禍によって無期限延期となり一時は開催も危ぶまれる状況となります。どうなることかという危機感が高まりましたが、紆余曲折ありながらお陰様で何とか開幕することができ、本当に多くの方に来場いただき、市民の皆様・アート関係者からもさいたま市民のかたからも両方からの高い評価を頂けたこと、とても嬉しいく思っています。

一方で、開幕にあたり、コロナ対策の為に会期縮小だけでなく、さまざまな作品のプラン変更も余儀なくされました。TETTAさんの作品の場合では、まず「大宮三十三観音」の構想であった「展示を見終わった芸術祭の来場者の方々が、参拝して巡っていただく」ことを大々的に呼び掛けることが難しくなりました。そして悲しいことに、33の全ての場所が開いているとは限らない状況にもなってしまいました。そこで急遽、メイン会場ですべての観音様に参拝できる展示を行うことにしました。

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更には、当初開催予定であった観客参加型ワークショップ『三十三間堂プロジェクト』がコロナ感染拡大防止の為、中止にせざるを得ませんでした。大宮の三十三のお店に飾られている観音様を見るだけでなく、参加者みんなで菩薩に変身し観音様巡りに町に繰り出す、そんな楽しい構想でした。これが実現していれば、アートと人とまちが溶け合う様な体験であり、そしてコロナ禍と闘う大宮の飲食店・美容室・お花屋さんに人の流れを生み出せる、意義深い取組となるはずでした。

そんな構想を、感染リスクを減らしたなかで少しでも実現しようとオンラインで『三十三間堂プロジェクト』の世界観を楽しんでいただけるパフォーマンス映像作品 『TETTAがいく!大宮三十三観音めぐり』という作品も制作し公開しました。(是非ご覧ください!)

この映像作品『TETTAがいく!大宮三十三観音めぐり』は、パフォーマンス作品である『三十三間堂プロジェクト』と違い、ある意味これからも見続けられるアーカイブ作品となるという大きな違いがありますが、コロナ禍での芸術祭にシフトする中でこの様なオンラインでの作品展開を模索するなかで、改めて感じた都市型芸術祭の課題感に向き合った気もしています

たとえば、3年に一回開催される『瀬戸内国際芸術祭』『大地の芸術祭』などは制作された作品は閉幕後もそのまま残りその次の芸術祭にも引継がれることで、回を重ねる度に芸術祭そしてそのまちを豊かにして行っています。芸術祭のレガシーが連綿と引継がれていくのです。それが国際芸術祭の1つの魅力だと思っているのですが、都市型芸術祭ではどうしてもその実現は難しい。都市構造を象徴するようなスクラップ・アンド・ビルドになってしまう面もあるように感じます。

そこで、クラウドファンディング『MOTION GALLERY』としてどんなアクションを考えられるのかを考えた時、芸術祭開催費用や運営費の補助を応援いただくような形も当然あり得るとは思いますが、その様な近距離だけでなく残しづらい都市型芸術祭のレガシーを残していく様なアクションに応援を求める、そんな新しい芸術祭と応援の関係性を構築出来ないかと考えました。

この「大宮三十三観音めぐりBOOK」は、まさに大宮で生まれたアートと人とまちが溶け合った時間というレガシーを後世に引き継いでいくプロジェクトになると思います。そして、それだけでなく、このプロジェクトの広がりが、「大宮三十三観音」の主眼ともなったコロナ禍と闘う大宮の飲食店・美容室・お花屋さんの一助になることも願っております。

忘年会シーズンで、観音様のいらっしゃる大宮の三十三箇所のお店も大変な打撃となるかもしれません。そんなお店をこの「大宮三十三観音めぐりBOOK」のプロジェクトを通じてその魅力を深く知って頂き、少人数グループで巡って頂いたり、常連になっていただけるかたを少しでも増やせる様なそんな取り組みにもしていきたいと思っています。

是非応援&ご参加いただけますと幸いです。
何卒宜しくお願いします。

《大宮三十三観音》

大宮の街を彩る様々なお店の店主さんたちが、33 組の観音様に変身!各店舗には観音様の写真が隠れています。写真を探しに、OMIYA 33 KANNON のお店を訪ねてみてください!

作品の概要はこちらの芸術祭のHPにまとめてありますが、
キュレーターとして書かせて頂いたキャプションはこちら。

TETTA は仏像が大好きすぎて、仏像を描き、自らも仏像に変身するようになったアーティストです。表現方法は、油彩、写真、パフォーマンスなど多岐にわたります。 観音さまの特性である「人々を救い、文化を守り、伝えゆくものの象徴」を大宮で働く人々と 一緒に実体化する《大宮三十三観音》は、大宮で働くさまざまな人を観音さまに変身させ、 完成した写真作品を芸術祭期間中その職場に展示します。 実際にそのお店を訪れ、観音さまの写真に触れることで、大宮のまちを彩るさまざまな魅力を 体感できるでしょう。 また、芸術祭期間中に行われる予定だった《三十三間堂プロジェクト》ですが、コロナ感染拡大防止の観点から、アーティスト自ら、油絵を描くように自身にメイクを施し、菩薩に変身した状態で《大宮三十三観音》の下を訪問する映像作品を制作致します。菩薩に変身した姿で大宮のまちを散歩する非日常体験を ぜひ体感ください。

冒頭に、観音さまの特性「人々を救い、文化を守り、伝えゆくものの象徴」との言葉がありましたが、今回の「大宮三十三観音」プロジェクトは、派生したパフォーマンス映像作品 『TETTAがいく!大宮三十三観音めぐり』もふくめて、まさに「人々を救い、文化を守り、伝えゆくものの象徴」としてのプロジェクトの様相が深まっている取り組みとなって来ている様に感じます。

「大宮三十三観音めぐりBOOK」はそんな一連のプロジェクト、そして「さいたま国際2020」自体の大きな「伝えゆくものの象徴」となるのではないかと思っています。この取り組みは、「三十三間堂プロジェクト」「三十三観音プロジェクト」とおなじく、仏さまとなるみなさまのご参加が実体をあたえるプロジェクトでもあります。クラウドファンディングへのご参加、お待ちしております。

TETTA

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2009年、多摩美術大学大学院美術研究科絵画学科油画領域修了。仏像をモチーフとした絵画、写真、パフォーマンス、アートプロジェクトの制作を行っている。日本の仏教美術をベースに、ポップな仏の姿を現代の街中に出現させる参加型のプロジェクトが注目を集めている。主な展覧会に個展「三十三間堂プロジェクト」3331 Arts Chiyoda(東京、2014)、「中之条ビエンナーレ」(群馬、2019)などがある。
https://sites.google.com/tettaartwork.com/main/

〜他の担当作品ご紹介〜


頂いたサポートは、積み立てた上で「これは社会をより面白い場所にしそう!」と感じたプロジェクトに理由付きでクラウドファンディングさせて頂くつもりです!