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国際人材の獲得は国際競争なのに競合の話が出てこない違和感

インド人材が採用できない

いまや世界最大の人口大国であるインドは、同時に世界最大の人材マーケットとしても注目を集めている。ITエンジニアが有名だが、それだけではなく、世界中の先進国において、あらゆる分野でインド人人材の活用が進んでいる。米国や欧州だけではなく、ドバイをはじめとした中東、シンガポール、東アジアでもインド人人材の活躍を目にすることができる。

しかし、日本での現状はなかなか厳しいものがあるようだ。日本企業でのキャリアは、インド人にとって魅力的に映らず、エンジニアの採用に苦労する。加えて、技能実習制度も東アジアや東南アジアと違い、インドからの参加者は低空飛行だ。

インド人材は世界で引っ張りだこ

現在、世界は深刻な労働力不足に陥っている。人手不足に悩んでいるのは日本だけではない。それどころか、国際調査では日本はまだ良いほうだ。
英国のコンサルティング会社レピュテーション・リーダーズによる、約40ヶ国・地域にある4万社以上の企業を対象に実施した調査では、リーマンショックの影響下にあった2009年を底値として、「必要なスキルの採用が困難であると報告した企業の年間比率」は右肩上がりだ。特に、2016年からはより深刻度が増し、2022年の調査では75%の企業が採用が困難であると報告している。
世界平均の75%に対して、日本の回答は74%だ。80%を超える回答をした国は7ヶ国・地域(台湾、ポルトガル、シンガポール、中国・香港、インド、ブラジル、スペイン)あり、平均以上の国にはほかにフランス、ドイツ、イギリスも含まれる。つまり、労働力確保のために、全世界で人材の奪い合いが発生しているということだ。そのような中、絶対数の多いインドは大きな注目を集めている。当のインド事態が、83%の企業が採用が困難であると回答しているのにもかかわらずだ。

競合がいるときにすべきは差別化

外国人材の獲得の話になると、日本国内ではすぐに働きやすい環境を整備するために、グローバルスタンダードとは異なる日本独自の制度や慣習を是正しようという話になりがちだ。例えば、遅い昇進、日本語でのビジネス、給与の上昇率の悪さだ。また、インド人の場合には、ベジタリアンが多いことから食事の問題もある。これらの至らないところを整備することも大切だ。
しかし、競合がいるときに人材を獲得するのに、最も大切なことはマイナスを消すことではない。戦略論の基本は、長所を伸ばすことだ。競合がまねすることができない、強烈な優位性を持つことが重要だ。
そうしたとき、日本企業の持つ強みとはどこにあるのか。例えば、現場での作業員としてインド人人材が欲しいのならば、家族も安心して暮らすことができる治安の良さと雇用の安定性が魅力になるだろう。家族のために仕送りをしながら暮らすインド人労働者は多いが、本来なら家族みんなで暮らすことができたほうが幸せだ。かつて、日本企業が地方から都市部に金の卵として中卒の若者を雇用し、生活が安定したところで田舎から家族を都市部に呼び寄せたのと同じ流れを国際版にする形だ。
また、高度人材を採用したいのであれば、インド人のキャリア志向を踏まえた仕事や産業を盛り立てることも必要だ。ロボティクスや宇宙ビジネス、医療テクノロジーなど、日本が優位性を持ち、これからも伸びるポテンシャルを秘めた分野は多い。こういった世界最先端の現場でキャリアを積むことは、インド人人材にとって労働市場における自らの価値を向上させることに繋がる。一般的に、インドの高度人材は、世界で最も労働市場における自らの価値を向上させることに貪欲で、尚且つ短期的な成長を好む傾向がある。

国際化の話になると、すぐに日本の至らなさに目を向け、マイナスを削ろうという話で終わることが多い。しかし、マイナスを削るということは、特に特徴のない無難なものが出来上がるということでもある。欧米に行くと良く感じるが、たしかに給与が高く、昇進スピードも速いかもしれないが、それ以上に住みにくい要素があまりにも多いことに驚かされる。欧州の都市部にはコンビニすらほとんどない。
インド人人材が魅力を感じて、日本で働きたいと思わせる、そのような日本独自の強みを伸ばすことも大切だ。

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