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GAFAの死角が見えてきたか

すっかりGAFAという言葉が定着するとともに、こうしたプラットフォーマーには勝てない、という厭戦気分もまたビジネス界に定着してしまったように思う。

たしかに日本でも、検索でいえばGoogle対抗のYahoo!Japanはあるが劣勢にあることは事実であるし、スマホでいえばAppleのiPhoneがまだまだシェアが高く、各種調査があるがざっと半数程度はiPhoneとみてよさそうだ。残りの半分はAndroidということになるが各メーカーがシェアを分け合っているのだからAppleのシェアは特別である。SNSも、mixiのような国産のものは見る影もなく、国産とは言いがたいがLINEはがんばっているものの、比較的上の年齢ではFacebook、若い世代にはFacbookが買収して親会社となったInstagramが普及している。通販ではAmazonに楽天が拮抗する形ではあるが、予断は許さない。

こうしてみると、GAFAのビジネス基盤は盤石であり、とうてい追随は出来ないような気分になるのも無理はない。

ただ、こうしたGAFAの独占的な振る舞いに対して、各国の規制当局が動き出していることは、さまざまに報道されている通りだ。主に個人情報の利用に対してデータ主権を個人に取り戻そうという欧州のGDPRが2018年から施行されていることをはじめ、日本でも公正取引委員会がアップルのiPhone契約などに関する監視を始めている。

こうした国のレベルの規制とは別に、民間企業でGAFAに対抗する動きが少しづつ出てきていることが興味深い。たとえば、ウォルマートがアマゾンにターゲットを絞って対抗策を練り、一定の成果をあげているということが、様々な記事で伝えられるようになってきている。最近でもこんな記事がある。

盤石に見えても、まだまだ完ぺきではない部分があり、そこをどう突いていくのか、ウォルマートは腐心しているようだ。

そして一部で指摘されているが、日本のAmazonに主に中国製のあまり品質が高くない商品があふれ、レビューも操作されて優良に見せかけられて、購入した消費者からのクレームが出ているようだ。実際に、自分で見ていても、首をかしげるような商品と高評価のレビューを散見する。

こうしたことはAmazonが優越的な地位にあり、また楽天とは異なる販売手法をとるがゆえにプラットフォームを悪用されているわけで、こうした事態にAmazonがどのように取り組むのか、興味深いところだ。

消費者も気まぐれであり、一時は熱狂的に支持したモノやサービスであっても、飽きがきたり、Amazonのようにそのプラットフォームが悪用されたりして使い勝手が悪くなれば、そういうタイミングで他に目新しいものが出てきたりすると、目移りしていく。

GAFAという言葉が定着したということは、プラットフォーマーとしてピークに達しているとも考えらえ、そうであるなら消費者の飽きや目移りというタイミングも死角になるだろう。

さらに、今後の社会の変化がGAFAの基盤を揺るがしていく可能性も見えてきているように感じる。すでに若い人はWebの検索をしなくなっていると言われて久しいが、動画や画像が中心になれば、テキストによる検索をベースとした広告というGoogleの収益基盤のひとつも揺らいでいく。また、クッキーの利用も制限される方向で動いており、これもまたGoogleにとっては向かい風になるのだろう。

そのうえ、5Gによって、スマートフォンの位置づけがこれまでの10年ほど特別なものではなくなっていくのであれば、Googleのプラットフォームを使う機会も頭打ちになるだけでなく、Appleの主力商品であるiPhoneの勢いも衰えていくことになるだろう。

そして、モビリティに関する動きが急速に動き出していると感じるが、それを前提とした生活環境が実現した時に、そこでもGAFAが覇者であり続けるのかどうかは、新たな状況であるだけにまだ未知数で、そこにGAFAの死角がありうるし、GAFA以外の企業にチャンスがあると思う。

盛者必衰の理は、現代においてもまた真理であり、そろそろGAFAのほころびも見えてくるタイミングだろう。

GAFAという言葉が行き渡った今だからこそ、その死角を見つけて、切り込んでいくチャンスだと感じている。ここに切り込んでいくのもまた先行者に有利である可能性が高いし、次のGAFA的なポジションが固まってしまったら、またしばらくチャンスを待たなければならないだろう。



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