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意思決定とバイバーシティー〜集団の決め事に多様性マストな理由〜

こんにちは!エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。今回は、日経CNBC昼エクスプレス 崔真淑のサイ視点にゲストで来てくださった、30%Club副議長でBank of New York Mellon銀行の日本代表のダグラスハイマス氏との掛け合いで、番組で伝えきれなかったことを記していきます。

みなさまは、30%Clubをご存知ですか?日経ESGや各主要メディアでも取り上げられるなど最近注目のキャンペーンです。そのキャンペーンとはそもそも何かから、どんな目的があるのかをハイマス氏に伺って行きました。

日本の女性取締役比率の向上、特にTOPIX100という株式指数に組み込まれる上場大企業で女性取締役比率30%比率を目標にしています。実は、この取り組み、すでにイギリスや日本を含む14カ国で行われているキャンペーンで、ビジネスメンバーのダイバーシティは待った無しという状況です。なぜ30%かを伺うと、数値目標がないとなかなか実行できないこと、世の中の男女比率が50%近辺でもそこまで到達するのは壁が多く、達成可能性を考慮しての数字ということです。

でも、ここまで読んだ多くの方々が、きっと疑問に思うことがあるはずです。なんで女性比率増やすべきなの?そんなの実力ありきでいいじゃん。と。実は私が専門にしているコーポレートファイナンス研究でも、取締役会のダイバーシティと企業価値の因果関係は主要テーマの一つです。

この質問をハイマス氏に聞いてみると…。下記の回答が返ってきました。企業価値云々だけでなく、同性同士では集団思考=グループシンクに陥りやすく、企業不祥事や不健全な事象へのブレーキがかかりにくいことが社会学の研究で指摘されているとか。

実はこれ、2009年に発表されたAdams等のコーポレートファイナンス分野の実証経済でも指摘されている内容に近いのです。この研究では、計量経済学の手法を活かして可能な限り女性取締役比率とガバナンスの関係を検証しています。ここでは、企業価値が低くガバナンスに改善余地がある企業ほど、女性取締役が入ることでガバナンスの規律付けが起きてることを指摘しています。それは男性同士の取締役会=old boys clubという同調圧力に屈しない異性の存在が大きいようです。なので逆に女性ばかりの取締役会も課題が多くなるのかもしれません。

最後に、海外機関投資家として上場企業に議決権を行使する立場のハイマス氏にこんな質問をしました。

「女性取締役比率0%の会社に対しては、あなたは議決権行使をどうしますか?」


答えは、明確にNoでした。外国人投資家が半分以上を占める日本では、いろんなことが大きく動きそうな予感がします。


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崔真淑(さいますみ)

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