中医協

価値は二の次のままでいいのだろうか/日本の薬価制度

今年2019年2月に承認された日本発の遺伝子治療薬コラテジェンの薬価が中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)で決定されました。

コラテジェンが承認された2月にはノバルティスのCAR-T製剤キムリアと同時承認で、モダリティ(技術)の多様性化時代が始まった~っと興奮してましたが、下記の記事を書いていましたが、正直言って、今回の薬価を見た瞬間に2月の興奮は冷めてしまいました。。。

これは欧米と違う日本でのお薬の価格である薬価を決める方法が違うことに起因しています。それが日本にしかない原価計算方式。

日本では、政府が薬価を決めています。
日本で薬価が決まる場合は、以下のパターンになります。

もし類似の薬が販売されていれば、その価格を基準にして決める。
海外で販売されている場合も参考にされ、このケースでは治療効果や革新性が認められた価格に近くなる。ただ、今回のアンジェスのように似た薬がなければ、製造原価をもとにはじく。

なぜ興奮が冷め、がっかりしたかというと、今回の画期的な新薬であるコラテジェンの薬価は、原材料費や製造経費等を積み上げた価格となっていて、その価値が薬価にあまり反映されていないからです。
新規作用機序ということで新薬創出等加算の対象とはなっていますが、当初予測されていた薬価は100~200万円ですので、加算が有っても今回の60万円の薬価は低いとの印象が拭えません。

開発が先行する海外では、遺伝子治療薬の価格は高い。
米国で17年に製造販売が認められた米スパーク・セラピューティクスの網膜難病薬「ラクスターナ」は、両眼で85万ドル(9300万円)。この企業はスイス・ロシュが買収した。
スイスのノバルティスが日本で販売をめざす脊髄性筋萎縮症の薬「ゾルゲンスマ」は、212万ドル(2億3000万円)だ。

一方で、上記のように欧米では日本での薬価とは比較にならないほど高額となっています。
高額であることが良い、と言うつもりは毛頭ありません。
ただ、欧米では保険会社との議論の末に薬価が決まります。つまり、それだけの治療効果が見込まれ、価値があると判断されていることを意味します。

日本では画期的な新薬に対して価値を欧米ほどに認めないというメッセージもこの日本での薬価には含まれてしまっていると私は感じているので、
今後日本で新薬の開発をする意欲が減っていしまうのではないかと思ってしまいます。

そして記憶が新しいかとも思いますが、
小野薬品の抗体医薬品オプジーボに対する超急激な薬価改定。。。

日本は分けわからないことするよねって
印象をさらに強めてしまったら本当に嫌だなと。。。

当のアンジェスも米国での申請を目指しているわけですから、欧米でのほうが価値を認めて貰えるし、ビジネスにもなるしと思うのは自然です。

製薬企業は儲けすぎだという意見もよく聞きますが、企業としてリスクを取って巨額の研究開発費を投じて、新しい科学・技術を取り入れ、人類の健康へ貢献しているという側面があることを忘れてはいけないと思っています。

モノの価値を適切な価格に反映させるというのは非常に難しいことであるのは承知していますし、今回の薬価の適正値がいくらかは正直私にはわかりません。ただ、こうした医薬品の価値に対する議論が活発になると良いなと思います。

治療薬のない疾患で苦しんでいる患者さんだけでなく、健康な人たちもまたこうした新しい医薬品が与えるインパクトを考えるのは大切です。
保険財政だけでなく、個人の医療費負担といった大きな枠組みの議論にもつながるので、たまにで良いのでこうした話をのぞいてみて下さい。

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黒坂宗久(黒坂図書館代表)

74年神奈川生まれ。子供時代に科学雑誌「Newton」を読み、宇宙飛行士を志す(963人から230人に残るが落選)。日米で免疫学を研究、製薬企業5年、トムソン・ロイターで5年勤務。現在は製薬会社にデータを提供する仕事。サイエンスの気になるニュースも発信します!

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