「要点」のために愛すべきムダと余白がある
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「要点」のために愛すべきムダと余白がある

若新 雄純

「簡潔にすること」と「要点を抑える」ことはぜんぜん違う

僕の中での2022年の個人的テーマは「冗長にいこう」だ。ダラダラとおしゃべりしながら考えをまとめたり新しいことを発見したい僕は、なんでもかんでも簡潔にして要点だけ先に知れる方がお得だよね賢いよねっていう変なムードに反抗中。

このあいだ仕事仲間に、「冗長にいく!とか言ってるわりには、抑えるべきポイントというか、要点にこだわるよね」とツッコまれた。それで、ちょっと考えてみた。自分なりに整理できたことは、「簡潔にすること」と「要点を抑える」ことは似ているようでぜんぜん違う、ということ。

ちょうど、こんな記事について感想を求められた。

サイバーエージェント社の15分会議で集中して議論する、というもの。ただしこれは、タイトルもそうだし、本文にもちゃんと記されているとおり、決して会社の会議をすべて15分にしよう、いうことではない。資料の事前共有や、そのための打ち合わせ、個別にリアルで会って相談したり、雑談したりというのはしっかり時間をかけてやる。そして、オンラインのウェブ会議は、安易に多発させず、短時間で集中して議論・決定という場所にしていこう、という話である。

つまりこれは、会社のビジネス活動における一つの「要点」を15分ウェブ会議というかたちで結晶させよう、という試みであると言える。

「要点」を上手に設計していく

あたりまえだが、そのわずかな「要点」部分だけをずっと繰り返していても、ビジネス活動は進まない。話し合って決めるための素材や、そこにつながる日々の活動、そしてそれを支える人間関係の構築など、要点に至るための膨大な過程が必要である。そして、僕たち人間は、そんな日々のプロセスまですべて最短・最速のパフォーマンスで活動し続けることなんてできない。ところどころ必ずムダは生じるし、「気持ち」というあいまいなものをうまく整えていくための余白が必要だ。

だけど、ムダや余白ばかりがダラダラと続くのは問題である。だから、そんな人間的時間を有機的につないでいくための、ここぞというポイント、すなわち「要点」を上手に設計していくことが肝である。

僕は怠惰な人間で、〆切に甘く、遅刻も多く、うまくいっていることは任せっきりだったりする。だけど、ここぞという交渉や選択の瞬間、お礼や謝罪が必要な場所、チームの人間関係や気持ちをつなぎとめなければならないときなどは、どんなに早朝だろうが夜中だろうが、どこからでも駆けつけて、お金も時間も惜しまずそれにあたるように心がけている。今の僕の仕事の多くが、社会的にそれなりに評価してもらえているのは、「ここぞ」を見落とさずにすんでいるからだろう。

愛すべきムダや余白からたまに絞り出せる

「ここぞ」なんていう局面がこないように普段から常にハイパフォーマンスなのがベストじゃないか?という声もありそうだが、僕は、人間(のほとんど)はそんなにものごとを高水準でずっと続けられる生き物ではないと諦めている。むしろ、日々の愛すべきムダと余白があるからこそ、僕たちは機械ではなく人間として壊れずに活動を続けることができて、そこから価値や意味なるものをたまに絞り出せたりするんじゃないだろうか。

最後に、僕が地元でプロデュースしてきた女子高生(JK)によるまちづくり活動での会議の様子を思い出した。全国的に注目を集めたこの活動は、テレビで特集を組まれることも多く、たしかEテレの番組で、このJKたちの会議の様子を別室からモニタリングしようという企画があった。集まってきたメンバーたちは、お菓子を食べながらずっとおしゃべりをしている。ほとんど恋バナ。会議室は大盛りあがり。随分と時間がたって、JKの一人が「やばい、あと30分しかないじゃん、話し合わないと!」と立ち上がり、メンバーたちはホワイトボードを使って猛スピードで協議をはじめ、集中して議題をまとめていった。

放送された番組では、「90分の雑談と30分のおしゃべり」というナレーションが流れた。これを見て、「だったら最初から30分でよかったよね」なんて言うバカな大人はいないはずだ。


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若新 雄純
東京・福井の二拠点で活動・生活し、㈱NEWYOUTH代表、慶應義塾大学特任准教授など兼任。社会実験的なプロジェクトや研究活動をいろいろ企画・プロデュースしてます。テレビ朝日・ワイド!スクランブル、TBS・Nスタ、ABEMAPrimeなどに出演中。 今も思春期。