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自治体が民間人材を受け入れる3つのメリット

こんにちは。日経COMEMOのKOLの大林です。2020年末より毎月働き方関連や起業についての記事を寄稿しています。普段は複業マッチングプラットフォーム「複業クラウド」を運営する株式会社Another worksの代表をしております。

地方自治体による人材開門

地方複業がこれからのトレンドになると昨年のnoteでも予想していましたが2022年になって行政が外部人材との交流・登用の門を開けはじめました。9月には自治体がサントリー社員を出向という形で受け入れました。

サントリー側としてはESG関連などの公益的な視点や思考を実務を通じて吸収する考えだと言えます。自治体側としても民間人材から専門知識や仕事の進め方を吸収できる点では非常に良い取り組みです。

ESG関連は主要な経営指標になってくるので、本取り組みが上手く進めば大手企業は挙ってロールモデルとし始めるかもしれません。実質的に該当者の賃金は自治体が大半を負担するモデルなので、企業の負担も重くはありません。

素晴らしい取り組みである一方、年齢を45歳以上にしている点は個人的にはあまり納得がありません。中高年社員のキャリアを広げるメリットはありますが、若手人材ならではの視点や考え方も自治体には取り入れるべきで、ノウハウや経験に偏りを持たせるべきではないと思っています。

若手のうちにESG事業の視点を学べたり、公益的な観点を取り入れて通常業務に資するように送り出すことは戦略的若手幹部育成に繋がると私は思っています。(とやかく書きましたが素晴らしい取り組みであると強調しておきます。)

自治体の3つのメリット

改めて自治体が民間人材を登用して得られるメリットを整理しましたので参考にしてください。弊社Another worksが運営する「複業クラウド」も2022年9月26日時点で52自治体に導入を頂いており、複業という形でオンラインで200名近い民間人材が自治体に参画をしています(日本の自治体の3%が実が導入しています)。そこでの視点も踏まえて記載します。

①官民の相互の強みを活かした化学反応

これは本当にどの自治体も共通して感じられているメリットだと思います。

民間人材の常識が行政の非常識であり、行政の常識が民間の非常識であるケースがほとんどです。これは決して悪いことではありません。むしろブレンドすることで良い反応が出やすいです。

物事の革新に邪魔な概念は"常識"や”習慣”だったりします。常識や習慣の中にいては維新は起こりません。常識は常に疑い、現実社会に立脚した概念に創り変えることで維新は起こります(それが新規事業やベンチャーです)。

今まで対極にいる者同士が「地域や行政を良くしたい」という大義のもと集まると非常に良い反応を示します。メール文化の自治体にSlackが入ったり、紙ではなくPDFでやり取りをして生産性を上げていったり。

ふるさと納税の担当職員が民間のフォトグラファーから映える写真の撮り方を教わり的確にスキルをトレースしたり。SNS更新担当職員が民間のマーケターからハッシュタグの付け方やマーケノウハウを教わり、強みである徹底した住民目線で記事投稿したり。。

などなど私は100件以上の官民連携事例を今まで見てきたからこそ行政の外部人材登用における成功はアートではなく、サイエンスできると言えます。

②職員研修に繋がる

こちらもよく導入頂いている首長から多く頂くメリットです。行政職員にとって民間人材の仕事の進め方や考え方は通常の業務に還元することができます。

例えば民間人材が当たり前に設定している"KPI"の手法、会議の進め方や議事録の取り方、期限の切り方(タスク期限の考え方も含め)、新規事業や企画の立ち上げ方、アイデアの出し方、などなど枚挙に遑がありません。

もちろん行政内だけでも学べるとは思いますが、対極にいる民間人材の戦い方こそ価値があります。行政はルーティンワークが多いと思われがちですが、コロナもあり行政サービス・ニーズも多様化しています。思考の"たが"を外してアイデアを出し、実現するために様々な人を巻き込むことも行政職員の使命になってきます。

そんな現代こそ民間人材に行政内における市場価値が生まれ、一緒に解決しながら職員研修にも繋がるという綺麗な一石二鳥モデルが生まれると思います。

③住民サービスの向上に繋がる

最後の3つ目は間違いなく住民サービスの向上に繋がるということです。特にDX推進や広報においては圧倒的にメリットがあります。

総務省が掲げる「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」を推進することを命じられている地方自治体にとってDXは急務です。

助成金など資金があるから上手くいくと限らないのがDXです。デジタル化で住民サービス、利便性、幸福度がどう向上するのか、そして最適な手段・ツールは何なのか、基本的なことですがこれが一番難しかったりします(ここでは書きませんが行政特有の商習慣などもあります)。そして折角良い施策を生み出しても住民に正しく広報できなければ無用の長物で終始していまいます。

そこで、民間でDXや広報経験のある人材がスポットで参画するだけで現状は変わってきます。DXってそもそも何なのか、から整理したり、課題に対して多くの手数を一緒に練って実現してくれます。

広報のやり方やSNSの活用方法なども、百戦錬磨の人材が入れば今よりは格段に良くなるというケースがほとんどです。そもそも官民連携の最終ゴールは住民の幸福のための住民サービスの向上であるべきですので、このメリットを感じられない官民連携は個人的には疑問(パフォーマンス的な要素が強い?)です。

まとめ

以上、自治体が民間人材を登用する官民連携メリットをまとめてみました。何か少しでも参考になれば嬉しいです。大林個人としては人材登用においても開かれた行政を期待しながら、Another works社の代表としてその未来を創っていく気概で引き続き尽力します。

弊社の自治体向けの取り組みに興味がある方はこちらをご覧ください!


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