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貧困に追い込まれる親子と、外交安保一筋だった政治家の話

終わりの見えないコロナ禍。多くの人たちの生活を窮地に追いやっています。とりわけ、母子家庭の親子が苦しい状況です。

母子家庭(世帯)の相対的貧困率(可処分所得が全体の中央値の半分に満たない人の割合)は51.4%、半分を超えています。その多くはパートや派遣で働いているので、コロナ禍で仕事を減らされ、それが収入減に直結しています。

また、これまでなら「子ども食堂」などの場を通じてご飯を食べれていた場合でも、新型コロナの影響で閉鎖に追い込まれてしまいました。栄養不足だけでなく、人との交流も絶たれ、家庭内のリスクは急激に高まっています。

私たち認定NPO法人フローレンスでは、この深刻な問題を解決するべく、こちらから出張って食料をお届けする(=アウトリーチ型)事業、「こども宅食」に取り組んできました。これなら、「密」を避けて必要な食料をお届けできるだけでなく、この接点をきっかけにして、親子とコミュニケーションをとり、必要と判断した場合は適切な支援に繋ぐこともできます。

この取組みは日本中の行政、民間団体に広がりつつあります。令和2年度の第二次補正予算では、ついに、「支援対象児童等見守り強化事業」にこども宅食が含まれました。これで、日本中どこでもこども宅食を展開しようとする団体はお金をかけずに事業運営が可能に🙌 これまでの成果と、コロナ禍で苦しんでいる親子を助けるために必要な事業であることが認められたのです!

しかし、これはあくまで「補正」予算。つまり、単発の予算です。次の年度も同じように予算がもらえるかはわかりません……😢 貧困に苦しむ親子には、絶対に必要なのに……!

そんな風に悩んでいた時、政治が動いてくれました。

稲田朋美議員、木村弥生議員、そして、長島昭久議員らが発起人となり、「こども宅食推進議員連盟」を設立してくださったのです。次年度の予算にもこども宅食事業を盛り込むこと、そして、恒久的な制度化を目的とするものです!(下の画像は、2020年8月27日に行われれた設立総会の様子)

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この議員連盟は、早速すごい成果を出してくださいました……!!

令和3年度の予算にこども宅食は組み込まれ、しかも、こども宅食団体への政府備蓄米の無償提供まで実現出来たのです!(紙幅の都合でサラッとしか書けませんが、これはスゴいこと!詳しくは下記のリンクをご確認ください!ぜひに!)

まだまだこれからとはいえ、これで多くの困窮家庭に栄養ばっちりのご飯と社会との接点を届けるチャンスができたのかと思うと、やはり政治の力はスゴい。このニュースを聞いた時は、感動しました。


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ところで、このニュースが出た時、SNS上ではこんな声がちらほらありました。「なぜ、あの長島議員が親子の福祉を……?」

長島昭久議員は先にご紹介した通り「こども宅食推進議員連盟」の発起人のひとり。議連の事務局長として、本当に勢力的に活動してくださっているのですが、なぜこのような声があがるのかというと、長島議員といえば知る人ぞ知る、外交・安全保障のエキスパートだから。民主党政権時代には防衛副大臣を勤めておられました。

当時の画像(下図)をみると、確かに、どうみても、「福祉」とは対局にある存在のような気がします……!w 

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でも、そんな外交安保一筋だった長島議員が親子にまつわる社会問題、ひいてはこども宅食にコミットするのは、理由があったんです。

「今でも、ニュースで流れていた映像が忘れられないんだ」と語る長島議員。それは、約7年前のこと。千葉県銚子市で起こった、悲しすぎる事件。

当時親子が住んでいた県営住宅の居間で、母親が中学2年生になる娘を絞殺。凶器は、その4日前に行われたばかりの中学校の運動会で、娘が使っていた赤いハチマキでした。県の執行官が踏み込んだ時、二人がいた居間のテレビには、娘さんが映る運動会の映像が流れていたといいます。

この親子は、大きな借金を抱え、家賃をずっと滞納してしまっていたのです。犯行の日は、行政による部屋の明け渡しの強制執行が行われる日でした。行くあてのない親子、母親は追い詰められ、最悪の選択をしてしまったのです。

「日本国民の命と平和な暮らしを守るべく外交安保に注力してきたのに、肝心の足元で尊い命が、全然、守れていない。そのことに、本当に遅いんだけど、気がついたんです」

当時まだこの分野に明るくなかった長島議員は資料を取り寄せ、こんなことに至ってしまった原因を手探りで徹底的に調べまくりました。そこでひとつ、衝撃的な事実を知ることになります。

母親は、一度、市役所に相談に行っていたのです。しかし、そこで生活保護など必要な説明を受けていませんでした。なぜなら、聞かれなかったから。

「申請されて初めて対応するという行政の論理は理解するが、この時は、本当に悔しかった。当日の面接記録を見れば、行政は明らかに母親が苦境に陥っていたことはわかっていたんです。でも、何もしなかった。一方の母親は、生活保護を受けるのに必要な条件や手続きを知りません。だから尋ねようもない。結果、本当に支援が必要な人に、支援が届かない。こんなバカなことがあるのか、いったい行政は、政治は、なんのためにあるんだと愕然としました。でも、はたと我に返ってみると、自分は国会議員として、いったい何をしているんだろう、と思いました。やれることがあるはずだ、と」

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親子にまつわる社会問題に勢力的にコミットしてくださっている長島昭久議員に、突撃インタビューを敢行。考え、想いをたくさん伺いました。

この時から、長島議員の注力分野には外交安保に加え、親子の福祉が加わりました。

2016年には、経済的に苦しい家庭の子どもたちを支援するため、与野党の国会議員有志約60人が超党派で「子どもの貧困対策推進議員連盟」を結成。長島議員は呼び掛け人として、幹事長に就任。給付型奨学金の創設や生活保護世帯の子どもの大学進学への道を開くなど、様々な施策や制度改正を実現させています。

でも、ずっと引っかかっている思いがありました。行政の申請主義です。

「色々支援のメニューを整えても、あの時の親子のように、その支援は本当に必要な人に届かないと、意味がありません。この壁をどう乗り越えたらいいか、考えあぐねていました。そんな時に知ったのが、フローレンスが展開していたこども宅食です。これだ、と思いました。困っている人が来るのを待つのではなく、むしろこちらから届けに行く。この仕組み、というより姿勢が行政に求められていると強く感じています。特に、このコロナ禍では既存の助け合いの仕組みが回らなくなっています。今まさに、必要な事業なんです。ひとりでも多くの親子に食料と、そして、社会との繋がりをお届けしたい。その手伝いをしたいのです」


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昨年の通常国会には、116件を超える法案が提出され、うち、63件が成立しています。このひとつひとつが、私たちの生活をちょっとずつ変えています。気づかぬうちに、恩恵に預かっている人は少なくないはず。

普段意識することはまずありませんが、こういった法律、そして予算案には、政治家や官僚など、様々なステークホルダーの強い思いが乗っている場合が多いです。私は最近、(超)末席ながらこの法案や予算案成立のプロセスに加わらせていただいるので、現場で一生懸命動いている方々の生々しい思いに触れる機会が増えました。

そこで、強烈に思ったんです。「この思いを、ひとりでも多くの人に知ってほしい……!」と。だって、知らないなんてもったいない。こういう思いを知ると、社会の風景が変わります。

私たちの日々の生活は、実は、「この社会を少しでも良くしたい」という強い思いを持った方々が作ってくれた仕組みに支えられています。それに気づくと、社会とのつながりを感じて、少し温かい気持ちになります。サンクス!ってつぶやきたくなる。

「政治家」っていうと、ロクでもないイメージがわいてきます。実際にそういう人もいます。でも、真摯に社会と向き合ってくれている政治家も、確かにいるんです。

私たち有権者が日々の生活の変化にほんの少しアンテナを立てて、その背景にあることを知ろうとした時、本当の意味で社会は変わるんだと思っています。

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