応援することは、孤独をなくすこと。#妄想まちづくり
「さみしい」「話し相手がほしい」という誰もが感じたことがある孤独感。
今、この感情が団塊世代にとってのNo.1になっていることはご存知だろうか。
平均寿命が世界第2位である日本は、ご存知のとおり長寿国。長く人生を楽しめることは嬉しい一方で、人生100年時代と言われるなかで、現在の40代後半から50代前半の社会人は老後の不安に「お金(Kane)、健康(Kenko)、孤独(Kodoku)」の3Kを挙げており、その中で一番の不安が孤独だという。
自分の居場所や、やりがいが見つからない。
配偶者を失い家庭内の話し相手がいない、
また地域を見ると少子高齢化によって人がどんどん減っていく。
今は大丈夫だけど、いつかは来る。
そんな避けられない未来を想像しては、個人としても、町としても<孤独/孤立>に不安を持っている人は多い。
そんな数字にできない未来の不安にたいして、
小さな田舎町出身の私はどうにかできないものかなとずっと考えていた。
そんなか、2019年に経験したラグビーW杯の盛り上がりや、2020年にオリンピックを迎えるということから、この機に「応援する」ことがその孤独感をやっつけるものであり、仲間を得られる方法だと考えるようになった。
年齢、年収、職業に関係なく、誰でも出来る
私は、2019年のラグビーワールドカップで「応援する」ことのパワーを目の当たりにした。
日本のラグビー人口は少ない。わずか10万人弱しかないこともあり※、「日本で成功するわけがない」と言われ続けたラグビーW杯。(※サッカー人口はその8倍以上)
しかし、フタを開けてみるとTVの視聴率は53.7%※になり、また、チケット売上高は当初予想の1.5倍超の350億円を達成。(※日経新聞より/スコットランド戦 瞬間最高視聴率)
運良く、史上初のベスト8を決めた日本スコットランド戦のスタジアム内にいた私。当日は、これが世界平和の縮図かもと思うほど、老人や子供、日本人や外国人、すべての属性の人が選手の前に、ひとつになっている瞬間を目の当たりにした。
その一体感は、当日だけでなく、TVの前で応援していた人に広がっていた。家庭や職場であった人とも興奮がおさまらずラグビートーク!
その日までラグビーファンでなかった私も「誰かを応援するエネルギーは、人をつなげる」という体験をすることができた。
応援することを街づくりに入れたスイス・バーゼル
「誰かを応援するエネルギーは、人をつなげる」
それを、まちづくりに入れ込んだ国があるということを昨年W Venture主催のスポーツ×イノベーションをテーマにしたイベント(#SIC2019)で聞いた。
それは、スイスのバーゼルだ。
サッカーの強豪スイス・FCバーゼルを有するこのスイスの小さな町には、”ザンクト・ヤコブ・パルク”の名を持つ地域スタジアムがある。それと時期を同じくして、このスタジアムを見下ろす場所に、100名ほどが入れる高齢者住宅が建てられた。
スタジアムの横の高齢者住宅と聞くと、騒音問題で眠りが浅いおじいちゃんたちが寝られないとなるなど、クレームになるのでは予想された。しかし実際のところ、この高齢者住宅の100室はすぐに売れてしまった。なぜかというと、スタジアムが近ければ、子どもや孫が帰ってきてくれると考えた高齢者が多かったから。
核家族化していくスイス社会の高齢者の孤独と孤立。それをスポーツが生み出す「応援の輪」によって見事解決している事例だと思う。
一人のオリンピックから、みんなで応援するオリンピックへ
そんな中、2020年にオリンピックを迎える日本の地方自治体も、スイスに負けず新しい取り組みを仕掛けている。
「2020年東京五輪・パラリンピックをわが町からも応援しよう」という掛け声とともに、応援村という取り組みがスタートしていることをご存知だろうか。
2020年を契機に、地域の活性化を目指す47都道府県の578市町村の首長たちが、開催期間前後に全国2,000カ所に「応援村 OUEN-MURA」を設置し、2,000万人の参加を目指すというものだ。応援村では、競技を中継するパブリックビューイング(PV)会場の周辺や飲食店などで、住民や観光客が交流できるようにするという。
そのような場を設定することで「住民のたまり場」をつくり、家で一人で観るオリンピックから、みんなで応援するオリンピックに変化させたいという思いがある。
※私のふるさとである富山県南砺市は、かの有名なオリンピックおじさんの出身地。南砺市はもちろん、「応援村 OUEN―MURA」となている
孤独をなくすことを2020のレガシーに
長野オリンピックのレガシーを考えると、当時は、今あるような”ボランティア”の概念や体制がなかったという。
それが、長野オリンピックを開催することで、開催地域に「ボランティア活動」がそのレガシーとして残ったと言われている。
(日本財団パラリンピック研究会より抜粋)
長野オリンピックまで、日本にはボランティアと言う概念がなかった。それが、長野オリンピックを通じて事業を手伝ったり、ボランティア組織の同窓会が実施され始めた。
このことは、善光寺などの観光資源を外部の人びとに「見せてやっている」という感覚をもっていた市民に、観光客をもてなすホスピタリティーの気持ちが芽生えてきたことの表れでもある
では、2020の東京オリンピックでは、何を社会のレガシーとして残すのか?
そう考えた時に、わたしは「応援することで、人をつなげること」をレガシーとして残すのはどうだろうかと思う。
少子高齢化や、働き方の変化で、将来の<孤独>に不安を覚えている人が多い時代だからこそ、日本に求められているのだと思う。
それは、少子高齢化社会のトップランナーを走る日本だけでなく、2035年には、インドネシアでも少子高齢化がスタートしていくと言われているアジア諸国でも必ずや見本になるレガシーだと思う。
レガシーとして、新しく建設された国立競技場やスタジアムもいいけれど、私は、日本全国に「応援で人をつなげること」をレガシーとして残せたらと思う。
星の王子さまも言っている『いちばんたいせつなものは、目に見えない。』と。箱物で残すレガシーではなく、次の時代に必要とされる社会の暖かさや、つながりをこれから高齢化や核家族化が進むアジア諸国に、よいお手本として見せられたら素敵だなと。
おもてなし国から、応援で人がつながる国へ。
『応援することは、孤独をなくすこと。』と考えよう。
2020年の東京オリンピックは、応援すればするほど、人や地域の視界の前に広がる孤独感が晴れていくと妄想しながら、今年のオリンピックは私自身、いろいろな人と精一杯応援をしようと思う。
Special Thanks to
W Venturesの東さん
スポーツ×イノベーションをテーマにしたセッションイベント(#SIC2019)へ呼んでいただきありがとうございました。スポーツってどんなふうに社会を変えるかが見えていなかった私が、スポーツ庁や、DeNA,メルカリ,ミクシィなどの事業トップや起業家の方の話を伺えて、スポーツのある未来やビジネスの盛り上がりを痛いほど感じることができました!
南砺市 田中市長
応援村についての気付きをありがとうございました。(その瞬間まで全く知らなかったです(;^ω^))
家でひとりでみるオリンピックではなく、みんなで楽しむオリンピックに。それを武雄市の樋渡さんをはじめ、日本中のパワフルな首長と進められていること、聞いてワクワクしました。
南砺市はもちろん、私の周りにも広めていきたいと思います〜!
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