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愛犬に留守番をさせないペットデイケアセンターの開発

連日35度を超すような猛暑は、ペットにとっても過酷な環境になる。特に単身者や共働き世帯では、仕事に出掛ける日中は愛犬が置き去りになるため、熱中症などに備えた特別な配慮が必要だ。飼い主は、室内のエアコンを付けたまま外出したとしても、それだけでは万全とは言えず不安な面はある。

また、猛暑だからと言って愛犬を外に出さないのも、運動不足でストレスを溜めてしまうため、健康面からは良くない。ペット先進国のドイツでは、愛犬に長時間の留守番をさせてはいけない、屋外での散歩やドッグラン施設などで十分な運動をさせること(1日2回程度)などが法律で定められており、それに違反している飼い主からは、強制的に動物が保護される制度が整備されている。飼い主には、動物の命を守る義務があり、毎日ペットを置き去りにするような飼い方は、動物虐待と判断されてしまうのだ。

【ペットデイケアセンターの施設開発】

そこで欧米では、散歩代行やペットシッターサービスが充実しているが、最近では、飼い主が仕事で出掛ける時間帯の愛犬を、子どもの保育園のようにして預かる、ドッグデイケアセンター施設が、新たなビジネスとして登場してきている。

一日の利用料は20~30ドルが相場で、バスによる自宅から施設までの送迎や、プロのトレーナーにより、しつけのトレーニングをしてもらえるオプションサービスも用意されている。

米テキサス州にある「Meadowlake Pet Resort&Training Center」は、デイケアセンターの1つで、清潔で安全な施設の中で、動物がストレスを抱えることなく、十分な運動をして過ごせる環境が整備されている。

新たな犬を預かる上では、その子がセンター内で他の犬たちと仲良く、安全に過ごせるのかを確認する必要があるため、「FREE Daycare Evaluation(無料デイケア評価)」というお試し期間を設けて、審査をクリアーした子だけを受け入れている。施設内ではスタッフによる有人監視が常時行われて、犬の体格により活動スペースを分けることで、事故が起こらない配慮もされている。

この施設では、日帰りのデイケアサービスだけでなく、宿泊預かりにも対応しているため、飼い主が出張や旅行などで連日の留守をする時にも、安心して任せることができる。

【変化するペットの飼育環境と親権問題】

時代と共に変化する家庭環境の中で、安心してペットを飼える社会にするには、法律面からのサポートも必要になる。たとえば、高齢の飼い主が亡くなった後に、誰に飼育を任せるのかを事前に決めておき、財産(遺産)の中から養育費を支払えるような制度が求められている。

同様のニーズは、じつは離婚夫婦の中からも起きている。現在の法律では、ペットは家財道具と同じ「モノ」として扱われているに過ぎない。しかし、家庭内では“我が子”として育てられてきたことから、別れる夫婦のどちらが引き取るのか、養育費の支払いはどうするか、別れた後にも面会できる権利などで揉めるケースが増えている。

そこで、米国ではペットの親権問題が裁判所でも争われるようになっている。ペットの法的な扱いは州によっても異なるが、動物保護の観点から、ペットは単なる“所有物”ではなく、“家族”として扱う法制定の動きが加速している。ペットの親権裁判では、これまでの夫と妻が、ペットの飼育にどのように関わってきたのか、新たな住宅環境(飼育に適しているか)などを裁判所がヒアリングして、離婚後の親権をどちらに与えるのかをジャッジする。どちらも親権を譲らない場合には、親権を50:50に分割する方法もある。

ペットの養育費については、それまでの食事の内容、動物病院の受診状況、グルーミングなどに、どの程度のコストをかけてきたかを集計した上で、適正な金額を裁判所が算定する。このように、法的に算定されたペット養育費は、「Petimony(ペティモニー)」と呼ばれ、ペット市場への新たな資金流入に繋がる可能性がある。

ペットに注ぐ愛情を、金銭で計算するのは不謹慎かもしれないが、飼い主が直接関わってあげられない時間帯の愛犬や愛猫に対するケアは、適切なスタッフに任せられる有料サービスを利用することが、飼い主にとっての義務であるという考え方は、世界的な価値観として広がりつつある。

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JNEWS編集長(井指 賢)

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