「人手不足」実は人余り?

わが国はいま、人手不足の時代を迎えている。とりわけ業種や職種によってはそれが深刻だ。しかし、わが国はほんとうに人手不足なのだろうか、と思うことがある。

多くの企業や役所では、今でも中間管理職の比率が高い。なかには管理職が3分の2ほどを占めているところもある。はたして、それだけの管理職が必要なのだろうか?

管理職の役割のなかで情報の伝達や調整の占めるウエイトは大きい。しかし、その多くはITを活用したツールによって代替できるようになっている。また現場に権限委譲すれば、管理職の負担は減るはずだ。それによって部下の意欲と成長が促進されることは間違いがない。

にもかかわらず、それが進まないのは既得権、とりわけ肩書きと報酬を手放したくないのが本音である。だったら、肩書きや報酬を保障したうえで、もっと生産的な仕事に就いてもらったほうがよい。新規事業の開拓、他社との連携や交渉など「外向き」「攻め」の仕事はいくらでもある。しかも、それらは日本企業に不足している部分である。

会社によってはちょっとした会議や交渉、打ち合わせに管理職がぞろぞろと5人も6人もやってくる。その大半は終始発言もしない。また若手社員からは、何かを提案するとあちこちの管理職が口を挟み、結局は潰されてしまうという愚痴が聞かれる。必要性が乏しい役職を残しておくと、こういうことが起きるのである。

もちろん問題は管理職個人にあるのではなく、旧来型の組織を変えない、そして彼らの活用を先延ばしにしているところにある。

組織の管理職層には優良な「隠れ資産」が眠っている。彼らを活用すれば少なくとも「人手不足」の幾分かは解消されるだろう。

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「個人」の視点から組織、社会などについて感じたことを記しています。

ありがとうございます。
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ohtahajime

同志社大学教授。専門は組織論。個人を重視する組織・社会づくりが研究テーマ。 新刊『「承認欲求」の呪縛』(新潮新書、2019/2)のほか、『「ネコ型」人間の時代』(平凡社新書)、『なぜ日本企業は勝てなくなったのか』(新潮選書)、『個人尊重の組織論』(中公新書)など著書は30冊余。

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