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デジタル技術先進国の日本。でもデジタル化後進国かもしれない日本。

スマートフォン、自動改札機など、デジタル技術の普及は高い

 日本はデジタル技術の普及は、諸外国に遅れているわけではない。多くの人が、携帯電話を持っているし、スマートフォンの普及率も高い。電車に乗る時には、Suicaなどのカードを使って自動改札を通る。テレビも、気が付けば「地上波デジタル・テレビ」に変わり、きれいな映像、音声で番組を楽しめるようになった。日本は、「ものづくり」の国で、デジタル技術の導入は早い。

 さて、問題はこれらの技術により、今までと違う生活になったかという点である。スマートフォンの普及は、私たちの通信の習慣を大きく変えた。旧来の電話は、電話をかけた時に、相手が出ないと通話できなかった。今はテキストのメッセージで、相手が電話に出れなくても、情報交換が可能になった。これは、大きな変化だ。読者の中には、携帯電話で実際に電話をしない人もいるだろう。電車の自動改札は、事前に切符を買う必要がなくなり、電車の乗車経験を大きく変えた。私は、実は電車の料金を知らずの乗り、降りるときに〇〇円だったのかと気づく。

 一方、変わらないものもある。「地上波デジタル・テレビ」は、デジタル化されたにも関わらず、旧来のテレビを同じように利用している。これは、真のテレビのデジタル化だったのだろうか。これから、変わるのかもしれないが。

職場のデジタル化

三井住友銀、店舗デジタル化に働き方も連動 一般職と総合職を統合へ」という記事は、このデジタル技術を活用した、デジタル化の良い例であろう。仕事がデジタル化されたために、働き方が大きく変わり、「一般職」と「総合職」の区別をなくすのである。

 私たちが取り組まないといけないのは、デジタル技術の導入よりも、このような私たちの生活や働き方のデジタル化でないだろうか。デジタル化により、働き方も大きく変えられる。自宅勤務もその一例だ。また、いくつかの地方自治体の議会で導入されている、音声認識技術を使った「議事録作成支援システム」を使えば、議事録も自動で作成可能である。

 技術としては、身の回りにあふれているのであるが、私たち日本人はその活用、つまり「デジタル化」という視点では後進国かもしれない。

生活のデジタル化

 生活においても、同様の議論が昨今されている。「キャッシュレス決済」だ。「キャッシュレス決済」になれば、お金の計算はほぼすべてコンピューターが行い、お釣りの受け渡しにミスが発生しない。そればかりではなく、お釣りの受け渡しという時間が不要になるのである。

 確かに、「デジタル化」をすることは、過去の行動と離別することがある。しかし、そのことで便利になるのであれば、「デジタル化」を進めた方が良いのではないだろうか。

 これからは、日本の「デジタル化」について、議論され、進んでいくことに期待したい。

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本間 充 マーケティングサイエンスラボ所長/アビームコンサルティング顧問
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