
問題です。世界に国はいくつあるでしょう?
かれこれ四半世紀も前、私が小学生のころの話です。「ひとつ国を選んで、図書室でその国について調べよう」という授業がありました。本を読んで調べたことを画用紙にまとめて提出すると、先生はバツが悪そうにこう言いました。「ごめん。その国、もうないんだわ」
本の内容に「あれっ?」と思いつつ私が書いた国名は「西ドイツ」。その5年以上前にベルリンの壁は崩壊していたのに、図書室の本は古いままだったというわけです。国ってなくなるのか……!と衝撃を受けたことを覚えています。
(ちなみに現在のドイツは正確には「旧東ドイツの州を編入した西ドイツ」で、国がなくなったわけではないと大人になってから知りました)
ごめんなさい、意地悪な問題でした
さて、タイトルに戻ります。世界にいくつ国があるか――。この問題、実は万国共通の答えはありません。国の数は時代だけでなく、国によっても違うからです。小学生の私が聞いたらさぞ混乱したでしょうが、その辺りの事情を説明したのがこちらの記事です。
国際法上では一般的に「国家」は(1)領域(2)国民(3)主権――の3要素を満たすことが要件とされる。
その一方で、こんなことも書いてあります。
他国を承認するかの対応は国ごとの自由裁量で、「世界の国の数」に共通した数字があるわけではない。
政治的な事情によって、国として認める、認めないが分かれる地域が世界にはいくつかあります。台湾を思い浮かべる方も多いと思いますが、日本政府は実は北朝鮮を国として承認していません。ご存知でしたか?
コラム「国際法・ルールと日本」
安全保障や経済貿易分野で、国をまたいだルールと日本の国内法との関わりが焦点になるケースが増えてきました。日経電子版では「国際法・ルールと日本」(随時掲載)というそのままの名前のコラムで、ホットなテーマに絡めてさまざまな事例を解説しています。ふだんのニュースだけではわかりにくい歴史的背景や国同士の事情をうかがい知ることができます。
(日本経済新聞社デジタル編成ユニット 森下寛繁)