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良い人材なんていない。必要なのは「合う」人材と活かせる環境だ

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

本記事は日経新聞連動テーマ企画「 #人材を見抜くには 」に則って書いています。

採用というのは企業にとっても個人にとっても大きな出来事です。そのため、採用に関わるHowTo本などもたくさん出ていますし、特に選考や面接対策のようなものを多く目にします。しかしながら、30分程度の面接でなにがわかるのか?と疑問を持ったことがある方も多いのではないでしょうか。

以前、この件に関しての記事を書きました。

新卒採用では、入社後3年以内に転職する割合が50%ほどになると言われています。いわゆる第二新卒ですが、この背景には企業説明会やパンフレットのみで会社を見極めようとする学生側と、SPIテストや書類選考と数回の面接で見抜こうとする企業側とのミスマッチがあります。「こんなはずじゃなかったのに」というやつですね。

新卒一括採用は高度経済成長期に、大量に効率よく一定レベルの人材を採用する手法として最適化されてきました。業務に必要なことは入社後20代のうちにじっくりと教育する。そのためには学歴や入社テストがわかりやすい指標として活用されてきました。なぜなら、地道に勉強をして結果を残さなければ、良い学校には入学できないからであり、「地道に努力して結果を出せる人である」という証明として機能していました。このような無難な採用をしていれば、あとはなんとかなるという考え方です。

しかし、現在では無難より変革を生み出す人材こそが求められています。ながらく機能してきた日本型経営では限界がきたようです。

「無難の中から変革は生まれないと強く意識しています。日本人は先例を重視しすぎる傾向があり、積み上げていくのは上手ですが、突き抜けるのは苦手だと思います。自分が大きな変革だと思って取り組んでも、外から見るとそうでもないということは多々あります。もっと極端でいいのです。2020年までの中期経営計画『K20』では、『自ら変わり、そして変化を先導する企業へ』をスローガンに掲げています。会社は常に時代に合わせて変化していく必要があり、従来の考え方に縛られていては絶対に生き残れません」

上記の記事では多様性の確保のために「最終選考にくじ引きを導入する」ことまで検討したとのことです。びっくりですね!

これは極端な例にしても、より多様性を確保したり、思わぬ企業との出会いとなる可能性がある採用手段として、リファラル採用があります。

一方、紹介を受ける側から見ると、知人・友人が実際に働く職場の情報が入手できるという意味で安心です。ホームページや採用担当者などから知り得る情報はほんの一握りで、入社してみたら、「実際と想像とは違っていた」というのは、よくある話です。

求められるスキルをはじめ、企業風土や価値観、残業の有無や休みの取りやすさなど、なかなか表には見えてこない情報がわかれば、ミスマッチを減らすこともできます。また、知人・友人が、その企業に愛着と誇りをもって働いている姿を知ることで、好感度も高まり、入社後のロイヤルティーも高まることでしょう。

友人が楽しそうに働いている姿や話を聞けば、ちょっと自分も働いてみたいなと思うこともあるでしょう。もちろん、入社後も友人がいればわからないことが聞けたり、気軽に相談に乗ってもらえたりして満足度・定着度ともに向上することが期待できます。

さらにおもしろいことに、リファラル経由で選考を受けた人は、半数以上が以前はその会社や事業に興味を持っていなかった(けど、受けた)ことがわかったそうです。

リクルートキャリアの実態調査(18年3月)では、知人に「自社にこないか?」と誘われた経験がある人のうち、その会社の選考を受けた人は54.8%、2人に1人が選考に進んでいることが明らかになりました。「選考を受けた理由」については、70.2%が「以前からその会社や事業に興味を持っていたわけではなかった」と回答。つまり、転職者にとっては、全く想定していなかった企業との出合いをもたらしていることが多いという結果となりました。

これは、私自身も経験があります。米国では中途採用の71%がリファラルだと言われており、その中心になっているのがLinkedInというビジネス向けSNSサービスです。私も前職から転職するときのきっかけはLinkedInでのメッセージだったのですが、そのときは全く転職することも考えていなかったですし、そもそもHRやSNSのサービスをやりたいとは思っていませんでした。普段から友人が働いている投稿を見たり聞いたりして面白そうな会社だなとは思っていましたし、その友人とビデオ会議で話したりしているうちに興味が湧いてきたという感じです。その後も数ヶ月にわたりいろいろな部署の人と会話を続けることでお互いに理解が深まり、また両者ともに共通の事業目標が見えたこと、そしてなにより自分が楽しく働いている姿が想像できたことが転職の決めてになりました。

このように、企業が候補者を見きわめるような時代は終わりを迎えており、お互いの期待値が合うか、また入社後にどのように能力を発揮できるかが焦点になってきています。そのためには、選考のときだけではなく、普段から企業と個人とが「ゆるく」つながり続けることが大事なのではないでしょうか。

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タイトル画像提供:EKAKI / PIXTA(ピクスタ)

#COMEMO #NIKKEI

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