
2021年は労働制度もニューノーマル化していくだろう
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
2020年も残りわずかとなりました。振り返ってみれば、今年は新型コロナウィルスに振り回された1年となったようです。私たちの働き方も大きく変化しました。初めてテレワークやビデオ会議を経験した方も多いのではないでしょうか。
2021年もしばらくは感染拡大傾向が続くと見られており、テレワークの活用が改めて求められます。個人的にはこの変化は恒久的なものとなると予測しており、今後の働き方としてあたりまえに定着していくでしょう。
緊急事態宣言化ではとりあえずテレワークが「できる」ようにした会社も多く、制度面まで手を入れることは困難でした。今後は普通のものとして制度に組み入れていく会社が増えるでしょう。
まず求められるのはテレワークの使い勝手の改善だ。現在は、業務に就かなければならない時間は原則、通常と同じく会社が定め、画一的に時間管理をする。これでは子育てや家族の介護をする人が夜に集中的に仕事をしたり、時間にとらわれずアイデアを練ったりすることが難しい。
打開策は、働き手自身が仕事の進め方と時間配分を決められる裁量労働制を、在宅勤務で利用しやすくすることだ。
裁量労働制の対象はいま、一部の専門職や企画業務などに限られるため、在宅用に特化した仕組みを考えたい。営業や管理業務など、職種を問わず在宅で使える裁量労働制を設けてはどうか。長時間労働の防止へ労働時間の総量規制も併せて設けるべきだろう。
テレワークで生産性が落ちたという声も聞かれました。個々の職務が曖昧で顔を合わせて同じ場所・同じ時間で働くことを前提としていた「現場あわせ」の慣習が裏目に出たと言えます。今後はポジションごとに使命、役割や具体的な仕事内容を明確にしたジョブ型雇用制度への移行が進み、テレワークでも生産性を落とさない働き方が求められます。
2021年4月には今年施行された「同一労働同一賃金」関連法が中小企業にも適用となります。今年は最高裁でも待遇格差について判断を示しました。
最高裁は手当や休暇については「与えられないのは不合理」と判断しました。例えば日本郵便では正社員に年末年始勤務手当が支給されていましたが、契約社員は支給されていませんでした。これに対し最高裁は、多くの人が休日として過ごす時期に働くことへの対価で、支給しないのは不合理としました。
一方で、13日の判決で争われた賞与と退職金については、支給しないのは不合理とはいえないと判断しました。
テレワークについても正社員のみが対象だったという事例を見聞きしました。テレワークが可能な職務において、正社員と派遣・契約社員との間で待遇格差が見られた場合は不合理とみなされる可能性もあります。
また、本来業務遂行に必要なコストは企業が負担すべきですが、在宅勤務のコストはどうすればよいでしょうか。真夏や真冬は光熱費がかさむ、業務中に階段から落ちて怪我をした場合は労災になるのか等、今後制度面で見直すべきところは多いでしょう。
2021年は目先の緊急対応から、恒久的な制度へとアップデートされていく年になりそうです。困難な状況の中でも組織と個人とがフェアで楽しく働ける社会に向けて、制度面でも社会実装が進むことを期待しています。
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タイトル画像提供:kou / PIXTA(ピクスタ)