関西ではネットワークがやられ、北海道では発電所がやられました。全く違う起因事象ですが、電力ネットワークの安定性を保つことが、これまでにないほど難しくなっていることを、痛烈に感じます。その理由は、原子力発電所の長期停止、自由化の進展、再生可能エネルギーの導入拡大という3つの環境変化。これらに加えてこれから、インフラの高経年化、人口減少・過疎化や省エネによる需要の減少への対応、温暖化対策の必要性の強まりという変化に対応していかねばなりません。

北海道電力さんの対応を批判する報道も多いのですが、本来こうした潮流を踏まえると「あり得ない」投資をして、対策を進めていました。石狩湾の天然ガス火力発電所の新設は、地震の前には、「これから人口も減って需要も減少するのに、どうやって投資回収するんだ」、あるいは「温暖化対策を進めるべきなのに、なぜ今さら天然ガス火力なんだ」と強い批判にさらされていました。本州との連系線強化も進めていました。どちらも来年竣工で今回の地震には間に合わなかったのです。

「6重苦」ともいえるこれら制度変更や環境変化が、電力ネットワークの安定性を損ないつつある現実を直視し、重要設備については自家発電設備を導入するなど、社会の強靱(きょうじん)化も進めておくべきだったのかもしれません。電力会社が供給安定性にコストをかけられるようにするほうが、それぞれが自衛対策を取るより、社会的コストとしては小さいでしょう。でも今後は各自がレジリエンスを確保していくしかないのかもしれないと思います。

https://www.sankei.com/life/news/180914/lif1809140002-n1.html

いいなと思ったら応援しよう!