
他の組織で働く経験が転職後の心理的負荷を軽減させるのでは
先日の石破総理の方針演説で、地方公務員の副業の弾力化が挙げられていました。
今後も副業・兼業の推進が図られることを期待したいです。
ところで、コロナ禍以後、政府が副業・兼業を推進する狙いとして、「円滑な労働移動」が掲げられることが増えました。
これは要すれば「失業せず転職する」ということです。
つまり、いきなり転職するのではなく、一度副業・兼業の経験を経ておくことで、円滑に転職ができるのではないかという考え方です。
今回は法的な話ではなく、単に私の経験談ですが、この点について「確かにな」と思ったことがあるため、書いていきます。
経産省への出向
私は元々経済産業省に任期付き公務員として着任していました。
元々は法律事務所勤務であったので、これだけ大きな組織で、しかも、弁護士とは全く異なる(むしろ、働き方の柔軟性からすると真逆ともいえる)職場で働くことになり、今振り返ると、当初3,4か月程度は精神的な負荷がかかっていたなと感じます。
ただ、誤解のないように言うと、経済産業省での仕事はとても楽しい経験になりました。
事務所の移籍
その後、一旦元いた法律事務所に戻りましたが、昨年の10月に、現在所属しているTMI総合法律事務所に移籍しました。
同じ「法律事務所」ではあるものの、元いた事務所は数名の規模である一方で、現在の事務所は500名を超える弁護士が所属する事務所であり、やはり相当に環境の変化は感じ、経済産業省への出向の当初と同じように精神的な負荷がかかっていたように思います。
ただ、そのような負荷は、当初の1か月から1か月半程度で徐々に軽減されてきたように感じています。
これはもちろん、「法律事務所から経産省」ではなく「法律事務所間」の移籍であること、やっている仕事自体は大きく変わらないこと、TMI総合法律事務所の風土もあるでしょうが、大きいのは、一度「違う組織に属して働いたことがある」という越境経験のように思います。
今いる組織以外で働く経験は大事
そのように考えてくると、副業・兼業の形で、自分がいる組織を離れて仕事をする越境経験を経ることは、転職後の精神的な負荷を軽減させるのではないかと思います。
必ずしも「転職」経験が必要なわけではなく、自分が属している組織以外で働く経験が大事なのだろうと思います。
そう考えると、副業・兼業によって「円滑な労働移動」に寄与するようにも思います。
今回は自分の経験踏まえて、ふと感じたことを書きました。