NHKスペシャルで描かれていた中国による「ドルを介さない金融システム」構築への挑戦
先日話題になっていたNHKスペシャル『アメリカvs.中国 “未来の覇権”争いが始まった』を観てみました。内容がとても刺激的だったので、機会あればぜひ多くの方にも1月30日の再放送、或いはオンデマンド配信などでぜひみていただければ、と思いピックアップです。
*再放送は1月30日(水) 午前0時40分(50分)、或いはNHKオンデマンド(216円)で視聴可能です。
内容はずばりアメリカに対して日に日に脅威となりつつある中国の技術力の躍進について。『中国製造2025』のことに触れながら自動運転、AI、軍事技術、そして産業スパイなどの動向について紹介し、米国の大学や大手IT企業で経験を積んで帰国した『海亀』と呼ばれる優秀な人材についても描かれています。後半のかなりの時間を割いて、ブロックチェーン技術を活用したドルを介さない「あたらしい金融決済システム」への挑戦として、アリペイの取り組み、仮想通貨の可能性などについても触れられています。米中貿易戦争が長引いて、いずれ「米金融機関のドル資産凍結」「ドル決済利用禁止」のような経済制裁が発動されることがある際、ビットコインなどの仮想通貨の可能性が具体的に現実味を帯びてくることを感じられる内容でした。
内容はこちらのブログでとても丁寧に紹介されているので併せてぜひ:)
ちょうど先日リリースされた国際送金に強みを持つ仮想通貨リップル(XRP)が中国の名門大学と提携というニュースを見るにつけ、着々とこうした中国の将来のブロックチェーン、仮想通貨への戦略的な投資が行われていることに驚きます。
リップルが提携している清華大学がいかに技術人材輩出に力を入れ、急速に世界にその力を示しつつあるかを以下のエコノミストの記事から伺い知ることができます。
英オックスフォード大学のサイモン・マージンソン教授の調査によると、清華大発の論文は高い評価を得ている。2013~16年の間、数学・コンピューティング関連分野において被引用回数で上位1%に入る論文を、世界で最も多く執筆したのは同大の研究者たちだった。STEM分野でも、被引用回数で上位10%に入る論文を、同大の研究者たちが世界で最も多く執筆した。STEM分野で被引用回数上位1%に入る論文の数では米マサチューセッツ工科大学(MIT)が依然としてトップだが、清華大が「5年以内に1位」になるだろうとマージンソン教授は話す。
以下のような小さな記事もこうした背景を踏まえて読んでみるととても大きな意義と重要性を持って理解することができます。
【1月23日 AFP】米国家情報長官室(ODNI)は22日、今後の米情報活動の指針となる「国家情報戦略(National Intelligence Strategy)」の最新版を公表した。中国の急速な技術の進歩が米国にとって最重要課題の一つだと指摘している。匿名のODNIの高官は同日報道陣に対し、中国は過去の米国よりはるかに短期間で技術を進歩させており、米中の技術力の差は急速に縮まっていると指摘。中国は数万人規模の留学生や研究者を米国に送り込んだ成果を得ていると同時に、買収や窃盗によって米国の技術を獲得するという揺るぎない方針によって「期間を圧縮」し、「注目すべき」能力を持つに至ったと語った。
今後も「中国」の動きや、「国や企業、個人にとっての国家などによる制裁への対抗措置としての仮想通貨」という切り口でもブロックチェーン業界の動向をウォッチしていければと思っています。
*トップ画像:NHK番組ホームページより