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「やる」の4象限を作ってみました。|MAKESHIFT→SHIFT MAKER 姑息な手段こそ、変化を生み出す第一歩!

こんにちは、スマイルズ野崎です。前回に引き続き”姑息”メソッド第三弾。今回もオムニバスにビジネスの壁を突破する姑息集をお届けします。

気が付けばゴールデンウィークを過ぎて5月病に突入気味。
新年や新年度に決意を新たにしたことはどこへやら、モチベーションが減衰している方もいらっしゃるかもしれません。

4 モチベーションは外にあり

突然ですが、大前研一さんの有名な言葉で以下のようなものがあります。

人間が変わる方法は三つしかない。
一つは時間配分を変える。
二番目は住む場所を変える。
三番目は付き合う人を変える。
この三つの要素でしか人間は変わらない。
もっとも無意味なのは「決意を新たにする」ことだ。

「時間とムダの科学」大前研一ほか

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この言葉は様々なところで引用されていますが、確かにそうだと思うところもあります。しかしながらなかなかダイナミックな決断を強いられることもあり、わかっていても実行するのは難しいなんて感じる人も多いのではないでしょうか。

「やる」の4象限を作ってみました。

上記のように”自分を変える”まではいかずとも、”新たなことを行う”においても簡単にはいかないのが実情じゃないでしょうか。
かく云う私も基本が怠惰な性格のため、ヤリタイコトはあったとしてもいざ実行しようとするとモチベーションが上がらないなんてことの方が大半です。

最近こんな四象限を作ってみました。

自分の過去の実行した際の状況を照らし合わせながら、どのような環境・状況が実際の実行に寄与するのか、モチベーションの源泉はなんなのかを考えると、大別して上記の4つに分類されそうです(まだ仮説ですから他にもあるかもしれませんし、ちょっとまだまだ精度は甘く、縦軸・横軸の概念ももう一歩感はあるのですが、とりあえず出してみました)。

一つ目は「自らがやる」。

ここにも【自主】か【自在】かの二パターンがあります。
【自主】とは、ある意味で責任感を持ってドライブしていく型。問題意識も高く、率先垂範していくような方かもしれません。あらゆる困難も乗り越えていくのかもしれません。
マネジメントからすれば願ったり叶ったりかもしれませんが、そうそう見かけるタイプじゃないのも実情じゃないでしょうか?
もう一つは【自在】。思うがままに実行したいタイプです。このような人は実行を妨げる余計な障害を排除してあげれば、自ずとドライブしそうな予感です。一部の方は、面倒な障害が待ち受けると途端にやる気を喪失する可能性もあるので注意が必要です。いずれの型においても主体的決断や”決断した感”は必要不可欠なわけです。

二つ目は「決まったらやる」。

会社組織の中ではその機会が多いですよね。「決めてくれたらやりますよ。」って自分でも言ったりしてませんか。組織の中で生きるには非常に合理的判断だと言えます。決まってもいないことをやる無駄骨よりも、確実に組織に対して生産性を発揮することができますから。この場合、誰かしらが”決める”ことが重要になるわけですが、実行者の主観的納得か外圧的強制のいずれかが必要になってきます。このタイプの方からすれば、「君の好きなようにやっていいよ。」という上司からの言葉は単なるプレッシャーになりえます。一見スタッフの自由度を担保した懐の深い上司のように思えますが、要は人によってはプラスもマイナスもありえるということです。時にはある種の”強制”が必要なケースもあるということですね。

このタイプの方は組織の決まり事はきっちり守るのでしっかりと枠組みを作っていくことが大切です。オーソライズこそが、行動のトリガーなわけです。 (ただ僕みたいに「決まったら”逆に”やらない」なんて方もいるので、お気を付けを。)

三つ目は「やってあげたい」。

まさに献身。一見受動的行動にも見えますが、周囲の状況を鑑みて、困っている人を助ける能動的アクションです。初期は、まったく見返りも期待せずに、その人の献身性のまま誰かを手厚くサポートしてくれます。組織的欠陥が多いわがチームにおいては大変助かる存在だと言えます。ただその状況が漫然と継続すると、当然モチベーションは下がっていきます。その個人の献身のモチベーションと報酬のバランスを調整することが重要です。モチベーションが高いときには多大な報酬はむしろ余計であったりするのですが、モチベーションが低いときほど何らかの報酬を提供する必要があるわけです。

ここでの報酬とは、金銭的報酬以上に感謝や賞賛などの非金銭的報酬が含まれるわけですが、その献身する対象者の成長やその対象者への第三者評価も当人のモチベーションにつながることを忘れてはいけません。献身の果てに周囲が怠惰に陥るなんてことがないように努めなければなりませんね。

四つ目は「頼まれたらやる」。

ちなみに僕は典型的なこのタイプ。頼まれる、頼られることを生き甲斐とするわけです。典型的なクライアント業気質といえるかもしれません。”期待される”ことへの期待値が大きい
とも言えます。と同時にそれこそが、自己顕示となるわけです。「君だからこそお願いしたい!」なんていう期待値の表明が彼らをやる気へと導きます。「やってあげる」よりは受動的。「決まったらやる」というよりも合理的判断ではなく、共感的とも言えます。

モチベーションは内発的<外因的

こうやって見てみると実のところ実行には何らかの形で第三者が関与していますよね。

 「自らがやる」人における障害となる、
      あるいは障害を排除する人(組織)。
 「決まったらやる」人における決める人(組織)。
 「やってあげたい」人における助けを求めている人(組織)。
 「頼まれたらやる」人における頼む人(組織)。

一見、「自らがやる」人は、さして第三者が関与しているように思えませんが、その周囲の後押しや与信が実行の決断を促している可能性もあります。あるいは期限を決めて、それにお尻を叩かれながら実行するケースもあるでしょう。いずれにせよ実行は自分自身のみならず、第三者や周囲の環境が及ぼす影響が大きいわけです。
モチベーションは内発的というよりは外因的なわけですね。

さてこの「やる」モチベーションの発動条件をどのように利用したらいいだろうか。その実例をご紹介したいと思います。

「やる」モチベーションの発動条件

これは僕が書籍を書いたときの話です(僕の書籍の中でも紹介しているので興味ある方は是非ご一読を)。

ひょんなことが切欠で「本を書く!」と決意したのはよかったのですが、頭の中に書きたい内容はあれど、なかなか書く気にならないという時期が続きました。なにせ「自らがやる」タイプじゃないので、決めたとて全然モチベーションが上がらないわけです。そんな意欲のない人間が本を書いて誰のためになるんだ!?という意見はさておき、それでも書きたい気持ちはあったわけです。
さてそこで、「やる」モチベーションの四象限の登場です。
先ほども申し上げたように、僕は「頼まれたらやる」タイプ。このモチベーションの発動条件を最大限に活かすため、弊社広報にお願いをします。

「これからやってくる講演会やワークショップの依頼はなるべく全部野崎まで回してくれ。内容は問わない。どんな内容でもやります。」

当時の野崎の口癖

時として社長や別の人にオーダーが来ていた案件も奪って様々な内容の講演会やワークショップを行いました。
更になるべくコピペをせずに毎度違う内容で、半年で数十件の講演をこなすことで、着々とこれから書くであろう書籍の骨子を固めていったわけです。講演会をせざるを得ない状況を、疑似的にでも「頼まれた」状態を作り出すことで生成していったわけです。

その一端をご紹介します。

企画やマーケティング、デザイン、ブランディングの話から商品開発や新規事業開発、さらには働き方の話にいたるまで様々な内容を思い付くままに吐き出し続けてみる。そうこうしているうちに日経BPさんとの出会いもあり、出版するに至ったわけです。

創業者や経営者、あるいは社会的インパクトのある事を成した方であれば書籍出版のオファーも有り余るほどにやってきていたかもしれません。残念ながら所詮は一介のサラリーマンですから、こんなやり方しかなかったのかもしれません。

いずれにせよ、モチベーションは内発的なものというより外因的、即ち環境こそが作るもの。さらには、その環境すら自らコントロールすることができるわけです。

このモチベーションを継続するにはどうすればいいのだろうか?

こんな話を書いていたら、ちょっとヒントになる記事を見つけました。

この話面白いですよね。
レランサの社長 スティーブン・ブライスタイン氏は

モチベーションによって誰かに行動を起こさせることは可能ですが、そこから結果を出すところまで持って行かせることができるのは、モチベーションではなく、自制心だけです。

上記記事より

と語っています。
また下記のようにも語っています。

ここで私が言う自制心とは、例え目前にペナルティーが見えていたりすぐに見返りがあるかどうかが不確かな場合であっても、より良い将来を築くための態度を貫く個人個人の強い意志のことを指しています。例えば多大な犠牲を払うことが必要とされ、それでもその結果は保証もされていない中でオリンピックの選手になるには、自制心が必須です。

上記記事より

ぐさりと刺さります。果たして自分自身は自制心を持ち合わせているのだろうか、ないならばどうやって培うことができるのだろうか。。。

僕は先に書いた「やる」モチベーションの四象限にヒントがあると感じるんですね。行動のモチベーションを類型化したことによって、社員一人ひとりのモチベーションの高め方を一様なものと捉えないことがカギとなると考えています。

「やる」モチベーションの四象限は実のところ働く人一人ひとりのレゾンテートル(存在意義)と密接に関係しているのではないかと。

スタッフ一人ひとりのレゾンテートルを認め、モチベーションを維持するための環境整備(お膳立て)を自律的に生み出す自由を与えることこそが、自制心を培い、「やる」を「成功」へ導くためのカギとなるのかもしれません。

この記事を書いた人

野崎 亙(のざき わたる)
株式会社スマイルズ/取締役CCO/Smiles: Project & Company 主宰

京都大学工学部卒。東京大学大学院卒。2003年、株式会社イデー入社。3年間で新店舗の立上げから新規事業の企画を経験。2006年、株式会社アクシス入社。5年間、デザインコンサルティングという手法で大手メーカー企業などを担当。2011年、スマイルズ入社。giraffe事業部長、Soup Stock Tokyoサポート企画室室長を経て、現職。全ての事業のブランディングやクリエイティブを統括。外部案件のコンサルティング、ブランディングも手掛ける。
著作に「自分が欲しいものだけ創る!スープストックトーキョーを生んだ『直感と共感』のスマイルズ流マーケティング」(日経BP)。

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