「バルト三国はもっと協力すれば?」と軽く言ってはいけない。

昨日、バルト三国の1つ、リトアニアにあるカウナス工科大学の先生と話していて、「それも、そうだなあ」と思うことがあった。「バルト三国はもっと協力すれば?」と軽く言ったら、「そうは問屋が卸さない」とのコメントがあったのだ。

バルト三国は旧ソ連圏の国々で独立してからおよそ30年を経ているが、まだ西側の諸国との格差は大きい。そのなかでフィンランドに近いエストニアが電子政府という点で国外にアピールし、その名が比較的に知られている。それ以外ではなかなか存在感を発揮できていない。

どうしても外国の人間からすると、「バルト三国がもっと協力的に動けばいいんじゃない?」と思ってしまう。確かに、これらの三国はお互いに距離的に近いこともあり、そのような協力をする試みもあるようだ。だが、そうは思ったように、うまくいかない。どうしてもそれぞれに国の機関が、それぞれの国のために動く。

もちろんEU加盟国であるから、その枠組みのなかで動くプロジェクトは少なくない。しかし、外からみて「三国で協力すれば?」と軽く言ってしまうのは慎まないといけない。 そんなの当たり前なのに、それぞれの国の人口が少なく(リトアニア:300万人、エストニア:130万人、ラトビア:195万人)、国土もあまり大きくないと、協力し合うのに壁が低いのではないか、と安直に思いやすい。

アイルランドと北アイルランドをみても分かるように、ベルギーとオランダをみても分かるように、「近ければ何とかなる」わけではないのに、バルト三国について何となくつい無責任な発言をしてしまった自分を恥じるしかない。

およそ日本という国だって、遠い国からはそうみられている。「どうしてお互いに似てそうな中国や韓国ともっと上手くやれないの?」と言われているわけだ。

自分の事情は他人の事情でもある。

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