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「共感のサーキュラーエコノミー」PASS THE BATONは、今、なぜ倉庫を空っぽにしたいのか

こんにちは。スマイルズの野崎です。花粉症もひと段落。ずいぶんと心理的安全性が担保された陽気になってきました(笑)。

さて、来る4月23日(金)から3日間、PASS THE BATONは「PASS THE BATON MARKET vol.4」をコクヨ東京品川オフィスビル「THE CAMPUS」にて開催します。

企業の倉庫に眠っていたファッションアイテムから生活雑貨、植物まで、あらゆるジャンルのお買い物が楽しめることはもちろんのこと、参加される方のご自宅に眠っている使用していないデニムアイテムや無印良品のユニットシェルフのパーツをご持参いただき会場にて回収するプロジェクトも行います。
まだまだ新型コロナウィルスの不安がある中ですので、事前登録や入場制限、検温などはもちろん、全会計を非接触(オールキャッシュレス)で行うなど、できる限りの配慮を行った上での開催となります。

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コロナ禍の中で在庫に悩む地方の企業さんから、BEAMSさんやUNITED ALLOWSさん、先に上げた無印良品さん、さらには青山フラワーマーケットさんからyumiko iihoshiさんまでそうそうたるメンバーが並びます。

大きな企業さんや人気ブランドさんからすれば、在庫処分という意味合いであればたかだかこの一イベントが果たす役割は大きくありませんが、むしろ新たな事業活動を考えるための一歩として踏み出していただいた勇気と熱量に感謝するばかりです。

「リサイクルはたしなみである」

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そもそもパスザバトンというブランドは、個人から集めた想い出の品物や、すごく愛用していたけれど今は使わない、でも捨てるのは惜しい。そんな品物を、大切に使ってくれる次の方へ、モノの背景も添えてバトンを渡す活動を10年以上行ってきました。

今思えば、CtoCの先駆けのようなビジネスであったと言えるかもしれません。しかしながら近年メルカリやその他サービスなどCtoCでのモノのヤリトリが当たり前になった今、ブランドとしては事業活動を一から見直すことにしました。それにともない今年の2月をもって新規の出品受付を終了し次なるフェーズを画策している次第です。

その新しい活動の一端としてこの「PASS THE BATON MARKET」があるということです。

テーマは「EMPTY –日本の倉庫を空っぽにしよう-」

話は数年前にさかのぼります。
パスザバトンではCtoCを中心としながらも、企業との取り組みも様々な形で実践してきました。その中で企業にあまった端材やB品、デッドストック品を活用しながら新たな商品を生み出す活動(今でいうところのアップサイクル的な商品開発)も取り組んできました。

その中でとある企業さんにお呼ばれして倉庫に伺った際、とある大問題が発覚します。

担当者の方曰く、

「プロジェクトを始める前は大量にあったデッドストック品がおかげさまで売れすぎて尽きてしまいました!」

パスザバトンの売れ筋商品の原材料となるデッドストック品が尽きてしまったわけです。

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この時の自分の何とも言えない悶々した気持ち。そもそもこの在庫をなくしたくて始めたのだけども、なくなったらなくなったで商売上のよりどころを失ってしまうという矛盾。

でも確かにその倉庫はすっきり空っぽになっていたんですよね。これはこれで長年頭を悩ませていた在庫が価値を得て次へ引き継がれていくことは素晴らしいこと。

でも一社の問題解決をするだけでは、僕たちの事業の持続可能性もなくなってしまうし、日本中、世界中の小さな一つの問題を解決しただけのことだともいえる。
この活動をもっと大きく広げることができれば、サプライチェーンに携わる事業者の多くが抱えていた問題が大きく解決するきっかけを生み出すことができるんじゃないかと考えたわけです。裏を返せば日本中の倉庫が空っぽになれば僕たちのこの事業活動そのものが終わりを迎えるわけですね。

SDGsやサーキュラーエコノミーを一考する

さて、話は変わって、近年SDGsやサーキュラーエコノミーなどのキーワードが以前以上に市場を賑わせています。テクノロジーを梃にしたアップサイクルへの取り組みや、スタートアップとの取り組みも一大潮流となってきましたね。

アクセンチュアの調査では、「無駄」を「富」に変え、持続可能な経済を実現することによって2030年をめどに4.5兆ドルの利益が生み出されることが明らかになっています。とのこと。本当なのか!?https://www.accenture.com/jp-ja/insight-creating-advantage-circular-economy

その中でアパレル業界を席巻する流れが日本にもやってきそうです。

「オフプライスストア」がアメリカでは席巻しています。日本ではワールドさんなどの一部の企業が行っていますが、国内だけで年間15億点ともいわれる余剰在庫処分のためのソリューションとして注目されています。今後この業態がかつてのアウトレットモールのように市場を賑わす日も近いかもしれません。
ただし、記事の中で川島蓉子さんも語っていますが、「オフプライスストア」というソリューションが市場や社会にとって本質的な問題解決となるのかは注視する必要があるように感じます。

アメリカのとあるオフプライスストアを使用しているユーザーを対象とした調査では、90%以上の人が値引きされたアパレル商品しか購入しない、また最低でも40%以上のオフプライスでなければ購入しないという結果が出たとのことでした。

当然母集団に偏りがあるため、そのまま受け止めるわけではありませんが、業界からすれば大変なことですよね。もはやメーカー希望価格は参考値としての役割しか果たさない。となれば、オフプライスストアに流れても利益が確保できるよう、希望価格を不必要に高額にせざるを得ない可能性や、初めからオフプライス専用商材を作り出すなんてことがありそうです。
これはかつてアウトレット市場が伸張していった際にも起きた現象ですが、既存の市場原理やサプライ・バリューチェーン、あるいは合理性を梃にした消費者の購買活動などアパレル市場を取り巻くロジックにパラダイムシフトを起こさなければ業界全体が縮小均衡に陥る可能性もあります。

そんな中、サプライ・バリューチェーンの革新へ向けた取り組みも、近年盛んになってきました。

グローバルブランドを中心に、トレーサビリティやアップサイクルへの取り組み、バリューチェーン全体へ影響を与える取り組みが加速しているようです。

ただ、上記のような取り組みは、何も今に始まった話ではありません。随分以前から業界自身が抱えるボトルネックを解消するために、企業単位では何らかのアクションが断続的に行われてきました。しかしながら一部の生活者を除いては、消費行動変容を起こすに至らなかったわけです。価格合理性に勝る価値はないというのが実情かもしれません。

例えば環境税などによって、サステナブルなサイクルを有する商品を優遇することもできるとは思います。ただしここでまた難しいのが、個々の商品における環境評価です。

リサイクルは一見、魔法の杖?

その昔僕が学生の頃、建築に関するリサイクル及び環境への影響について研究をしていました。その当時は自分自身がまさになんでもリサイクルをできれば持続可能性が達成されるじゃないか!なんて浅はかにも考えていましたが、そうでもない”不都合な真実”もあったようです。

あくまでも建築建材における話ですが、建築を解体して何らかの素材へリサイクルする際、その過程において、更なるエネルギーや水資源を注入しないといけない、それらがバージン材(新品の素材)からなる製品を製造する際よりも投入量としてはかかってしまうケースが散見されました。それならばいっそのことサーマルリサイクル(熱源としてのリサイクル)へ回した方が得策であるようなケース。

またリサイクルの難しさは、需給バランスのコントロールが非常に高度となることにあります。最近、中国での古紙輸入がストップし、日本国内に大量の紙余りが発生しているという報道がでましたが、需要に関係なく、供給過多になってしまう、あるいはその逆のケースもあり得るわけです。それらによって価格が短期的に乱高下してしまう恐れもあるわけです。

サステナビリティある市場経済形成のための新たな業界秩序を生み出す活動はまだまだ粘り強くトライアンドエラーを繰り返していく必要がありそうです。


「日本の倉庫を空っぽにしよう!」

さて話をPASS THE BATON MARKETに戻したいと思います。
先にも挙げたように今回のテーマは「日本の倉庫を空っぽにしよう!」。

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確かに新しいサイクルやイノベーションを起こしていくことも未来に向けては大切なんですが、今すぐには決定的な一打を見出すのは難しい。そもそも過去を振り返れば、そこに眠る大量の遺産が、、、これを不良在庫ととらえるのか、宝の山ととらえることができるかこそが、これからのバリューチェーンを考えるにあたって重要なことだと思うのです。

誠実に自分たちが生み出したモノに責任をもち解決しようと試みる企業と、その志や活動に共感しベットする生活者たち。過去を顧みて、かつて生み出されたモノたちに光を当てて価値を問い直していくことに経済合理性とは違った新たなる価値のサイクルの可能性が秘められているのだと信じています。

さて準備はいいですか。
マスクをして、消毒十分でお待ちしております!


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