中国で日本への風向き変わってきました。福島原発の処理水に対する報道とネット民の意見
首相のアメリカ訪問によるものなのか、尖閣をめぐる件なのか。最近中国と日本の政治的仲は大丈夫?と思わされるニュースや投稿を中国ネット情報で見る機会が増えてきました。そのデータや中国ネット民の声を伝えたいと思います。
(※一部不快に感じられる表現があるかもしれませんが、けっして悪意はありません。中国のネットでの表現をなるべくそのまま伝えたいと思います)
まずは人民日報が運営している世論観測機関が発表したデータです。
先週(4/11-4/18)は日本に関する報道の数がなんと446413件ありました(個人メディアも含めて)。
そしてその中のポジティブな報道はほんのわずかです(グラフの情感分析ってところの緑の部分)。
最も話題になったのは、やはり福島原発の処理水の問題ですね。この3分の2の議論はWeiboで展開されていました。
関連の話題も毎日のようWeiboのトレンド50に現れてます。そしてつい先日のWeiboの1位が日本のニュースでした。
↑嵐が解散しても1位をとることは難しいよ
中国外務省の会見映像がネット上でもたくさん流れました。日本政府が福島原発の処理水を海に放出して処分する方針を決めたことに対して「深刻な懸念」と発言。このニュースには決して中国だけが反応したわけではないですよね、東アジアの多くの国、世界の環境保護団体、日本の漁師も反対を表明しています。
SNSで1位になったのは、アメリカは日本の決定を支持する的な発言してるにも関わらず、実際には日本の特定地域の食品を輸入禁止にしている事実についてネット民の間で明らかになったことがバズったからです。
「アメリカの日本支持の裏には、実は何千億ドルもの利権の連鎖が隠されているんだ」などの陰謀論も目にします。調べたら、アメリカによる日本食材の輸入禁止は今に始まったものではないですが、やはり言ってることとやってることの違いに違和感が感じられる。トレンドもそのような意見が多いです。
原発の処理水が実際のところ安全なのか、海洋放出が始まるときまではしっかり準備が整っているのか。専門家でないぼくたちには正直わかりませんが、中国のみんなも過去に日本政府や東電が隠蔽や誤った事実を発言していた経緯を覚えていてかなり不安を感じています。
↑「トリチウム以外でもストロンチウム90などが含まれてるかもしれない、安全だと思うなら福島の水を一口飲んでみれば」と風刺した画像も出回り、大臣の発言も切り取られディスられてます。
↑他にもブラックジョークが結構ありました。
そして矛先は日本だけでなく欧米にも。WHOの基準よりも下げたから安心して飲めるといっても、核廃棄物の水に含まれるすべての物質を取り除くことは不可能で、多少の毒性はあるのでしょう。それに対して抵抗を持つことは自然なこと。結局海洋排出したいのは福島原発のコスト削減が目的、そしてこれが欧米に仕向けられているのでは?と考える人も多くいます。
世界にはフランスやアメリカなど、原子力発電の割合が高い国々があり、みんながより安価に処理する方法を探しているのだそうです。 日本での前例ができてそれに便乗すれば自分たちも大きな利益を得ることができる、というロジック。
ヤフコメやTwitterなどで、きちんとIAEAの調査と日本の処理方法を説明すれば納得できると主張する人もいましたね。中国では政府のメディアから個人メディアまで、専門家たちがネット界で活躍しています。
↑国営テレビがネットで発信するものの一例です。
↑中国の原発で働いた技術者が書いた長い説明文章もかなりのアクセス数。
↑高学歴者とエリートユーザー数で有名のzhihuにも、関連議論が多いです。
↑動画プラットフォームのビリビリでも数百万の再生回数の動画が多数ありました。アクセス数順番でtop10まで視聴しましたが、10分以上のやつはかなりガチで作られてます。そして納得できる部分も多かったです。
↑また、中国のネット民でこの件についての反応をまとめた人もいました。(そのままが伝わるように訳しておきます、悪意はないです)
普通の人:科学を信じますが、日本人(特に東電)のことは信用できない。
過激派:本当か嘘か関係ない、反対しましょう。
パニック派:ヤバイ、サーモンが人を食う。
ギャグ派:(数十年数百年後)お爺さんが福島原発跡地に二つの頭を持つ孫に昔の、足のない魚の物語をする。
黒腹派:台湾(が水不足発生してますから)に運送すれば、飲料水標準なら一人18トンで飲んでもらってもすぐなくなるよ。
精神的ロシア人:水素爆弾投入しましょう。
無原則に何もかも博愛の人:中国の建設チームを派遣してチェルノブイリのようなカバーを作ってあげろう。
頭の悪そうな人:日本人がちゃんとしてくれますよ。
バカ:我が国の原発も海に排水してるでしょう。
個人的な感覚ですが、全体のイメージからいうと、やはり日本への不信感が強い人が多い気がします。
復旦大学の学者が作った動画でビリビリで配信されたのですが、その内容や弾幕からも中国側の意見がよくわかります。(そのままが伝わるように訳しておきます)
・東電は信用できない。過去にもデータの改ざんが何回もあったし、そもそも最初の時の事故の対応が遅れたから今になってます。以前にも保存した容器が水漏れで汚染水が海に漏れたことあったね。
・昔は日本人が信頼できると思ったが、小林なんとかの製薬会社もこの間に偽装があったじゃないですか。振り返れば水俣病だってあったじゃん。
・東電は結局お金の節約をしたいだけじゃないですか。もっといい方法あったのに、電気料金も値上げしたからお金あるじゃない?
・IAEAの調査チームの結論からいうと、technical aspectという表現があった。一般的に、technicalがつけられた場合、ほぼこのやり方が非現実的です。紙上での議論や技術検証が大丈夫だが、それだけです。IAEAも、このケースが独特で複雑で数十年も続くからきちんとする監督管理と利益関係者による堅実なチームで行わらなければならい、日常的に安全検査と素早くデータ共有が必要と言ってる。
・日本はIAEAの中でも相当な影響力がある。それにしてもIAEAがこんなに慎重な意見を出すなんて、事態の重要性が反映できる。
・日本が排出したいのは一回路と二回路の汚染水で、事故ってない原発が排出する三回路の冷却水とは根本的に異なる。例えるなら、世界的に排出してるのはりんごを洗った水だとしたら、福島のはりんごジュース。飲める基準まで処理できるなら、あんなタンク作らないだろう。この前も高級そうな浄化設備も起用してから3ヶ月くらいで使用中止になったし、中身不明の不審物もあったし、こんな人たちにはきちんと管理できると思わない。
・スウェーデンの小娘は何も言わなくなったね。これで誰が真の環境保護者、誰が環境保護のふりをしてビジネスをするか一目瞭然だ。
最後に動画リンクを貼っておきますので興味がある方はご覧ください。
北京に住んでる身として、最近の日本への風向きの変化はかなりシビアに感じます。逆に韓国との関係はかなり改善されてきました。政治的な駆け引きや日本だけでは解決できない問題もたくさんあるとは思いますが、そりゃ良い関係でいたいですね。そして、まずは日本の方にも中国の温度感を知って欲しいと思いました。
(参考資料)
https://www.maff.go.jp/j/export/e_shoumei/pdf/beikoku_kisei_gaiyo_14_1212.pdf