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完全に腐っていた2016年12月の私に贈る「5つの教訓」を記した手紙

この手紙は4年後の20年12月のあなた、つまり松本健太郎が書いています。

藪からスティックにいったい何を言っているのか。「馬鹿げた話だ」と思うでしょうか。その気持ちは手に取るように分かります。だって4年前の私も思っていましたから。

私があなたであることを証明するために、あなたしか知らない秘密の暴露をいたしましょう。それは「小5のとき、塾でウンコ漏らした事件」です。理科の先生があまりに怖くて「トイレに行きたい」と言い出せず、授業中にド派手にウンコを漏らしましたよね。

その日、あなたは白系の短パンを履いていましたね。それは悲劇ではなく、喜劇と言えます。白系の短パンがウンコに染まって茶色いのですから。

ちなみに同じクラスの女子から「松本さんから腐ったドブの匂いがする」と嘲笑われ、それ以来永らく女性恐怖症でしたね。ド派手にウンコ漏らしたのに、誰も「ウンコ漏らした」と言わなかったのは一つの優しさだなと気付いたのは最近の話です。彼女は何も悪くないです。

…いかがでしょうか? 少しは信じて貰えたでしょうか。

さて。なぜ、あなたに私が手紙を書くのか。理由はシンプルです。2016年12月のあなたが完全に腐っているからです。大学院に通ったものの人生の展望が開けず、自宅では一人ぼっち、会社では冷遇され、いつ完成するか分からない原稿のプレッシャーに晒されている。淀川をジョギングしながら「このまま川に落っこちて流れてしまった方が良いかも」と考えていましたね。

正直、人生に絶望しているでしょう。ですが、自分に、会社に、社会に八つ当たりをするのは止めましょう。驚くべき事実ですが4年後の私は自分に、会社に、社会に感謝しています。

この4年間の間に何があったのか? 事細かには書けませんが、私から5つのメッセージを送ります。


メッセージ1:不安に負けてはいけない

あなたは今、技術評論社から刊行するグラフ本の執筆に忙しいでしょう。第一稿は担当者から猛烈にダメ出しされ、心が塞ぎ込んでいるはずです。

本は売れるのか。そもそも多くの人に手に取って貰えるのか。それ以前に本は刊行されるのか。底の見えない不安に、心が押し潰されそうになっているはずです。

まず、17年09月に書籍は刊行されます。安心して下さい。そして、あなたは信じられないでしょうが、20年12月までに他に8冊も書籍を刊行します。

8冊です。界隈では、ちょっとした有名人です。ちなみに、三田というエリアにある焼肉屋で職場の友人と色んな人の悪口を言いながら飲み会をしていたら、横に座った方に「あの…松本さんですよね?」と声をかけられます。その時初めて、福本豊さんが国民栄誉賞を辞退した理由に「立ちションできんくなる」と言った理由が身に染みました。

そんなことを言って歴史が変わるのではないか、と思うかもしれません。大丈夫です。歴史の「元に戻ろうとするバネ」は強靭で、あなたは何をどうあがこうと8冊の本を書きます。私がそうであったように。

見ている人は見ています。あ、これはロックオンの宇野さんの言葉ですね。あなたが不安に苛まれるのと同じくらいに、あなたが不安に負けまいと努力する姿は見られています。だからこそ応援してくれるフアンが生まれます。

ファンじゃないのか? いいえ、フアンです。理由はもうすぐ分かります。

根拠の無い不安は心を蝕むだけです。そもそも不安になったからといって問題が解決されるわけではありません。ましてや、自分の力ではどうしようも無い課題だってあるのです。

不安が襲ってきたら? 忘れなさい。そして笑いなさい。そうしたら、飯食って、屁して、寝るのです。次の日に起きて忘れているぐらいの不安に、負けてはならないのです。

ただし、立ち向かおうとしないこと。なぜなら精神的に病むからです。不安はスルーをするに限ります。


メッセージ2:その一瞬を努力しなさい

自覚があるでしょうが、あなたには才能はありません。パワプロで言えば、すべてEかFの能力しかありません。

才能の無いあなたが、なぜ書籍を刊行できたのか。「運」です。「偶然」です。「たまたま」です。

たまたま新大阪でインフォグラフィックの勉強会があって、たまたまライザップの成果を分かりやすくプレゼンしたら、たまたま編集者の目に止まっただけです。繰り返しますが、それは才能では無いのです。

だから、あなたには「努力」しかありません。「頑張る」しかありません。

頑張れ 健太郎 頑張れ! お前は今までよくやってきた! お前はできる奴だ!

え、セリフが漫画臭い? 気のせいです。あるいは2020年になったら、言葉の意味が分かるかもしれません。

さて、あなたには「努力」しかないのに、何を勘違いしたのか、本を出した後で嫉妬の海に溺れます。なぜあいつの本が売れているのか。なぜあいつのWeb記事がシェアされるのか。自分が優れているのに、自分が勝っているのに…怒りや恨みを意味する「瞋恚」に心が毒されます。

なぜ「瞋恚」に心が毒されるか分かりますか? 来るかどうか分からない将来を期待しているからです。褒められる、称えられる、まだ見ぬ将来を期待しているからこそ、あなたは先んじて褒められ称えられる人に嫉妬します。

「刹那」だけを生きなさい。「刹那」だけを努力しなさい。阿毘達磨大毘婆沙論によると、刹那とは1/75秒を意味しています。それぐらいの刹那を生きる努力をし続けることで、不安からも瞋恚からも開放されます。この瞬間を生き続ければ、その延長に初めて未来があります。来るかどうか分からない未来にヤキモキして、精神的に摩耗するなんて馬鹿げているでしょう?

目の前の努力ができない人がいます。「こんなことをして意味があるの?」「将来何の役に立つの?」と努力を止める人がいます。それを決めるのは今のあなたではありません。将来のあなた…そう、例えば2020年の私です。

データサイエンスを勉強していて良かったですよ。欲を言えば、ロックオンの福田さんに「デザイン勉強しておいたら?」と言われて辞退したことでしょうか。

無駄なことは何1つとしてありません。スティーブ・ジョブズはスタンフォード大学卒業式辞で「Connecting The Dots」を唱えました。

将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。運命、カルマ…、何にせよ我々は何かを信じないとやっていけないのです。私はこのやり方で後悔したことはありません。むしろ、今になって大きな差をもたらしてくれたと思います。

今書いているグラフの本は、あなたが思っている以上に売れません。ものすごく落胆をします。ただし、グラフ本で身に付けた「徹底してファクトをチェックする」「第一級資料を探す」という癖は、別の機会に活かされます。

あなたがロックオンで担当しているオウンドメディアは、いずれ書籍化されます。「徹底したファクトチェックが面白いから」「日本のどのメディアも取り上げていない第一級資料だらけだから」です。その内容に注目した編集者さんとはもう1冊刊行し、かなりヒットします。

だから、無駄なことは何1つ無いのです。将来にあれこれ思いを馳せて、がっかりしたり、今何をするか迷うぐらいなら、今この瞬間だけ努力しなさい。


メッセージ3:学び続ける情熱を持つ

龍谷大学の松谷先生の教えである「学び続ける情熱を持つ」ことを途絶えてはいけません。才能の無いあなたには学ぶ努力が必要です。続けるためには情熱が必要です。情熱が無ければ人は前に進めません。

情熱とは何でしょう? 現時点での私は2つ考えています。1つは「好奇心」です。不思議だな、もっと知りたいなと思う心です。年を重ねるほど勉強時間が長くなっています。今ほどの情熱があれば、10代の頃は東大も夢じゃ無かったでしょう。

一方、16年のあなたは「復讐心」に囚われているでしょう。なるほど、確かに某メディアに挨拶へ行った時にコケにされて「オフィスごと燃やしたる」と心底恨んだこともありました。しかしながら、そのメディアの主宰するカンファレンスに登壇する機会が訪れ、私の復讐心は小さいなぁ…と反省する機会が訪れます。

いったい何を学ぶのだと思われたでしょうね。「学ぶこと」を学ぶのです。「学ぶ」は習慣です。週に20時間は、執筆や学習に時間を充てる。それは習慣がなせる業なのです。

学ぶことを学べば、あとはベルトコンベアのように「その瞬間において必要な問題を解決する方法」を学ぶだけです。現在はデータサイエンスですが、後にディープラーニングと人工知能、データジャーナリズム、マーケティング、行動経済学と変遷していきます。

どれか1つを集中して学んだ方が良いのではないか、つまみ食いで良いのかと不安になりましたか? 実際、何かにつけて「日本の○領域のあかんところ」と嘯いている老害クソジジイがわんさかいて、そういう、俺はお前と違ってちゃんと学んでいるんだ、と息巻いている老害クソジジイどもに、あなたは陰に陽に馬鹿にされます。

いいんです。無視して下さい。松谷先生から「恩送り」という言葉を教わったと思います。あなたはこれまでロックオンで言えば福田さん、宇野さん、藤本さんに、みどり勉強会界隈で言えば無数の人から恩を送られました。あなたは受けた恩を次の世代に送らなければいけません。

何をどう馬鹿にされたとしても、あなたは恩をくれた人たちのためにも学び続け、今までの知識とこれまでの知識を「Connecting The Dots」し、後輩に恩を送らなければならないのです。

これこそが、情熱の2つ目の理由です。


メッセージ4:耐えろ、待て

いま、あなたが腐っている理由は「会社に居場所が無い」「プライベートが充実していない」「原稿が上手くいかない」の3つです。

原稿についてはその先を述べたので、残り2つについて話しておきます。

会社(仕事)について。会社で仕事をするだけが人生ではありません。思っている以上に暇ですが、暇だからこそオウンドメディアに集中できて、様々なメディア露出を果たします。4年間の間にテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、WEBメディアは制覇します。

ただし、1度露出したぐらいでは全く意味がありません。漫才師と一緒で、コツコツとした積み重ねが重要です。「名前だけでも覚えて帰ってください」を1000回積み重ねて2020年にようやくプチブレイクします。そう、この4年間で何らかの形で、あなたは1000回露出します。特に2020年は名前が出まくります。

それだけではありません。私が登壇するセミナーに、様々な大御所が登場して下さいます。それもまた宇野さんの教えで「見ている人は見ています」

繰り返しになりますが、来るかどうか分からない将来に悶々とするぐらいなら日々刹那だけを生きて、1日1日積み重ねて下さい。スキルは賽の河原のように崩れますが、学ぶ習慣や姿勢は積み重なるのです。不思議な話ですが、崩れた分だけ積み重なるのです。

転職した方がもっと活躍できるのではないかと悩んでいますが、それは半分本当で半分ウソです。誰だって配置転換されれば一瞬は輝きます。ただ、輝き続けるには、自分自身の能力も胆力もスケールアップしなければいけません。2016年12月のあなたには、どちらも足りていません。どこに行ってもそれは同じだと思っています。あなたが転職のオファーを貰う度にモヤモヤした心境になるのは、環境の変化への抵抗と、実際に自分自身の実力不足を感じているからです

実は2017年に思わぬ人から思わぬお誘いを受けて、2018年に転職します。そこで一気に開眼します。だから、今は耐えて下さい。

もう1つ。プライベートの件ですが、出会い系アプリで2017年に素敵な相手と出会います。ちなみにウソだと思われるかもしれませんが、だから、これも今は耐えて下さい。

要は「流れ」を感じろ、ってことです。みどり勉強会で、世の中には3種類の人間がいる話をしたのを覚えていますか? 流れを作る人間、流れに乗る人間、流れに乗れない人間です。残念ながらあなたは流れを作れるほど優秀ではありません。しかし、実は流れを察知する能力には長けています。


メッセージ5:自分だけは自分を信じろ

私たちは自分の意志で人生を生きているようで、何か大きな意志の下で動いているに過ぎないのではないかと思う機会が出るようになります。いわゆるガイア理論のようなものを2019年になると信じるようになります

一方で、想いとは裏腹に2020年までは自分で思っているような成果がいまいち出ません。「こんぐらいまでは成果が出るかな〜」とする基準を下回った日々が続きます。「俺ってこんなもんか」とガッカリもします。

そうです。こんなもんです。だからこそ、もう1度立ち上がり再び挑戦するのです。起き上がる度に、精神的にタフになり、能力も胆力も高まります。

確かに世間からは認められず、悔しい思いもするでしょう。しかし、自分だけは自分を見捨てずに居て欲しいのです。自分だけは最後まで自分を信じ続けましょう。幸いなことに2017年末には、寄り添って支えてくれる人もいますからね。

最後に。

4年前の私が、4年後の松本健太郎ーすなわち現時点で2024年12月を生きる松本健太郎から手紙を貰った時、すごく驚きました。ですがこの4年間、なんとか歯を喰いしばって耐えて生きることができました。

どうして、こんなに辛い思いをしなきゃいけないのだろう、全てを投げ出して消え去りたいと思うことは1度や2度ではありません。それでも逃げ出さずに「やってやろう」と奮起できたのは、この手紙のおかげです。

現時点で、私の人生は「成功」とは言い難い。隣の芝生は青いかもしれませんが、上手い感じに生きている人たちもいます。「そんなことで金稼いでんの?」と呆然とすることも1度や2度ではありません。

それでも、愚直に穴を掘り続けてください。唯一、私があなたを褒めるとしたら「愚直さ」だと思っています。曲がった〜ことが〜大嫌い〜じゃないですか、あなたは。

穴を掘って掘って掘り続けて、地球に穴を開けてサバンナ八木並に「ブラジルの人聞こえますか?」状態になった時に、目の前が光で溢れます。それは日本にいたら直ぐ見上げれば見える太陽なのだけれど、穴を掘り続けたあなたにこそ見える光です。


追伸

過去は変わりません。しかし、2016年〜2020年でもし過去を変えられるのなら、今のうちに天満市場の上海食亭は死ぬほど行って下さい。

たった2回しか行けていません。オーナーも店番の子も「ニラ饅頭がおすすめです」と言いますが、本当に美味しいのは小籠包です。ここの小籠包を食べたら、台湾の鼎泰豊以外食べれなくなります。

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松本健太郎
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