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テレワークは人の学びに変化を与えたのか?新しい酒は新しい皮袋に盛ろう

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

今回は以前書いた以下の記事の続編です。大変反響があった「人の学び」についてになります。

つまり、学ぶ人には理由があっても、学ばない人にその理由などない。ということです。

このレポートは非常におもしろいのでぜひオリジナルを一読いただきたいのですが(PDFで無料公開されています)、こんな感じです。

・大多数は学んでいないし、企業の機会提供も少ない
・年齢が増すとともに、ますます学ばなくなる
・学ばないことに特段の理由はない
・時間ができても、人は学ばない
・学びの習慣を失わせる日本の雇用システム

個人的に非常に衝撃的な事実でした。これはリクルートワークス研究所が2018年に行った「全国就業実態パネル調査2018」から得られた情報なのですが、先日7月5日に最新版が出ています。今回はコロナ禍でのテレワークの影響も含まれており、大変興味深いインサイトが多数含まれています。

新型コロナウイルスの感染拡大によりテレワークは広がったが、日本人の学ぶ時間は減っている――。こんな実態が7月5日、明らかになった。リクルートワークス研究所が2016年1月から毎年実施する「全国就業実態パネル調査(JPSED)」で分かった。

結論から申し上げると「テレワークにより通勤時間がなくなり時間は増えたはずであるが、やっぱり人は学ばないどころかむしろ学ぶ時間が減っている」ということです。

17年1月のJPSEDに基づく「Works Index 2016」から21年1月のJPSEDに基づく「Works Index 2020」まで、5年間の変遷をたどると「『学習・訓練』を除く4つの指標で水準が上昇し、総合的にみると、日本の労働者の働き方は前進したといえる」(リクルートワークス研究所の孫亜文研究員・アナリスト)。

働き方改革やセクハラなどのハラスメント撲滅に企業が積極的に取り組んだことで、総合的には前進が見られます。また、2020年は働き方改革による残業削減などの効果による労働時間の削減や有給休暇の取得促進が進みました。これに加えて新型コロナウィルス感染拡大により一部業種で休業や短時間勤務が求められたことにより、労働時間はさらに短くなりました。

また、幅広い業種・職種でテレワークが導入されたことにより、通勤にかかっていた時間が浮いた人も少なくありません。にもかかわらず、「学習・訓練」の指標が減少しています。

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出所:リクルートワークス研究所「Works Index 2020」

内容を細かく見てみると、OJT(On-the-Job Training:企業内訓練)の機会が減少したことが見てとれます。特に「他の人の仕事ぶりを観察する」ことで新しい知識や技術を身につける項目の減少が最も大きかったようです。

この内容に納得する方も多いのではないでしょうか。これまでの日本の働き方は、同じ時間に同じ場所にいることが大前提としてありました。未経験の仕事にも社内異動やローテーションという形で挑戦できるのは、実は日本型雇用ならではのメリットでもあります。それを下支えしていたのが、OJTのシステムです。新しい部署の先輩が目を配り「大丈夫?」と声掛けをして教えたり、また「ちょっといいですか。ここがよくわからないのですが」とその場で教えを請うような場面はオフィスの中で日常的に見られました。

では、テレワークになってからはどうでしょうか。確かにTeamsやZoomといったツールにより、気軽にオンライン会議ができるようになりました。離れた拠点にいる同僚や取引先と即座に必要なミーティングができることで、これまでになかった機会を得ることもできました。しかし、オンライン会議のデメリットは「会議を設定しないと会話が始まらない」ことです。特に教えてもらう立場の人にとっては用事もないのに会議を設定しづらかったり、忙しいだろうから、、、と遠慮がちになってしまうことも多いでしょう。このような背景からOJTの機会が減少したのだと考えられます。

これを解決するためには、従来の働き方をそのまま適用してはダメだということです。昔から「新しい酒は新しい皮袋に盛れ」と言います。つまり、「新しいツールには新しい働き方を」です。もっと言えば、マネジメントの仕組みをアップデートする必要があります。

見て覚えろ、というのはかんたんですが、マネジメントを放棄しているとも言えます。優秀なプレイヤーが優秀な教育者ではないことはよくあるように、これは教育するというスキルの問題です。特にマネージャー以上の方々はテレワーク化での社員教育のやり方を覚える必要があるでしょう。

私自身も現在進行系で新しい手法や効率的なやり方を試行錯誤している途中ではあります。自戒の念をこめて「新しいツールには新しい働き方を」トライし続けたいと思います。

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タイトル画像提供:KONY Photo / PIXTA(ピクスタ)

#日経COMEMO #NIKKEI

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