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「週休3日制」は、すぐに導入可能! 企業の先行事例から、働き方の応用法を学ぶ。

GWが終わって、次の連休は7月中旬でだいぶ先ですね〜。
そんな中、週休3日制について政府主導で議論が進んでいます。
社会全体で週休3日にするということではなく、あくまで「選択的に」週休3日も選べるようなオプションを持たせたいという趣旨です。

この「選択的週休3日制」をよくよく考えてみると、既存の法制度上で十分に導入が可能なんです。つまり、政府主導による政策決定など待たなくても、民間企業は各々導入すれば良いのです。

もちろん、「週休3日」というキャッチーな言葉を掲げることで、政府としては国民に喜ばれる目玉の政策ともなりますし、こうしたPRを通じて社会のトレンドとなり導入が進む側面もあるので、政府の動きは歓迎です。

ただ、既存の法制度の範囲内でやれば法的なリスクはありませんし、働き方の柔軟性を持たせたり、企業の生産性を高めたりと、ポジティブな面がたくさんあるので、政府を待たずに明日から導入してはどうか?と思うのです。

既そこで今日は、既に導入している企業を参考に、今すぐに週休3日制を導入するための人事制度面での整理の仕方についてお伝えしたいと思います!


そもそも、週休3日はどういう制度か?

政府が週休3日制を主導する目的は、増えた1日分の休暇を活用し、育児や介護、副業や学業などを個人が行いやすくすることで、働きやすい環境を整えることだと報じられています。
副次的に、企業の生産性向上も期待しているようですね。

他のCOMOMO KOLの方々も書かれているので、選択的週休3日制の意義やメリット・デメリットなどについてはこちらをご参考ください。

これらの記事にもありますが、既に週休3日の導入を進めている民間企業はあるんです。

人事制度(給与体系)としては以下の3パターン存在しています。そして、この3つはいずれも既存の人事制度の延長・応用で実施されています。

(1) 休んだ分は給与を減額(=時短勤務の変則)
(2) 他の時間に働き給与を維持(=フレックス制の応用)
(3) 生産性を向上させ給料を維持(=裁量労働を拡張)

それでは、それぞれ具体例と共に見ていきましょう。


(1) 休んだ分は給与を減額(=時短勤務の変則)

勤務日数が減る分、給与を減額するという制度設計です。週5日勤務しているところ、週4日となるので、給与が80%になるという感じですね。

みずほFGが導入して話題になりましたし、Yahoo! Japanも「えらべる勤務制度」という名前で、「土日以外にもう一日休暇を取れる(無給)」として導入していますね。

これは、特に個人が得をするわけではなく、企業にとっても同様です。
実質的には時短勤務と変わらなくて、その変則系といえます。

時短勤務とは、子育て中で保育園に早めにお迎えに行くケースなどを想定して作られた制度です。通常9-18時の8時間勤務とした時に、9-16時の6時間勤務として、給与も6/8で75%になるという形です。
このように、時短勤務が毎日勤務時間が短くなることを応用し、選択的週休3日制では1日少なく働くことを選べるというのがこのパターンです。

このケースの場合、「1日少なくても公平に評価できるのか?」だったり、「結局サービス残業で埋めるのでは?」などの懸念が指摘されますが、そもそも時短勤務の時からあった話で課題も同様なので、既に各社運用で様々なカバーをしているはずです。
(時短すら運用できてない会社は、週休3日はまだ早いとも言えます)

なので、時短同様に従業員からのニーズが大きいのであれば、企業は時短の変則系として導入すればいいだけですね。働いた日数(時間数)に応じて給与を支払うだけなので、そもそも当然のことです。

業績の厳しい企業では、「この仕組みを人件費カットとして活用するのでは?」という懸念も挙がっていて、そうした民間企業からの要請を受けて政府が動いているのだとしたら、ちょっと心配ですね(ここは想像ですが)。


(2) 他の時間に働き給与を維持(=フレックス制の応用)

勤務時間が減る分、他の日にちょっとずつ多く働いてカバーすることで、トータルの勤務時間を減らさず給与も減らさないとする企業もあります。
金曜1日分の8時間を休むとすると、他の月〜木の4日間に2時間ずつ多く働くようなイメージです。

これは、フレックス制の応用といえます。

フレックスは、長く働く日と短く働く日を設けて業務時間を調整することを可能にする制度です。「月初はどうしても残業が多くなる」といった場合に、月の後半で早めに帰宅するなどしてトータルで勤務時間を調整できる柔軟性を持たせる仕組みですね。
これを応用して、多く働く日がある分、何なら一日休みにすればいいという考え方です。

実際、僕が日本マクドナルドで働いていた頃は、「フレックス休暇」という制度がありました。(HP見ると今もありますね)

フレックス休暇というのは、残業が多くなってきたら、月末などに休暇を取って月間の残業時間を調整できるものでした。フレックス休暇を1日取得すると、1日分(=8時間)残業時間を減らせるといった感じです。
長く働いた次の日はゆっくり出社するなど柔軟に働けるフレックス制度に、休暇による調整もできたので、だいぶ柔軟に働きやすい環境でありがたいものでした。

昨今の類似したケースだと、リクルートで「週休約3日」という記事が出て話題になりました。休暇を増やす分、毎日の勤務時間を30分延長することでトータルの労働時間を減らさないという試みです。

しかしこれ、よく見ると週休3日にはなってないんです。

本来、週休2日が3日になれば、1年間で52日ほど休暇が増えるはずです。
しかし、記事を読むと休暇が増えるのは「15日」のようです。その15日分の労働時間として「毎日の勤務時間を30分延長する」というものです。

休暇を15日増やすだけで「週休約3日」になるカラクリは、祝日を休暇に含めていることです。
祝日込みで比較すると、祝日込みだと「2.5日」だった週休が、「2.8日」に増えた(所定労働時間は変わらない)というだけです。

これで、「週休約3日」というニュースが出てしまうのは、ちょっとミスリードな気がします。この辺は、広報(メディア)のテクニックでしかないので、踊らされないように注意が必要ですね。

もちろん、「毎日30分多く働いて年間の休暇を15日増やす」という制度自体は法的には何も問題ありません。週末を3連休にしやすかったりして、結構いい制度だなと思います。


(3) 生産性を向上させ給料を維持(=裁量労働を拡張) 

最後のオプションは、労働時間を一日分短くしたまま、給与は維持するというものです。週に1日、つまり20%ほど働く時間が短くなるのに給与が維持されるということは、実質的に時給が20%増加することになります(!!)

どうしてこんなことが可能なのでしょうか?

それは、労働生産性を向上させるからですね。労働生産性とはこのような式から導き出されます。

労働生産性 = 付加価値額 / 労働投入量

勤務時間が短くなり、労働投入量が20%減ったとしても、労働生産性を20%向上させ結果として生み出す付加価値額が変わらなければ、企業として生み出す成果は変わらないため、可能だということです。

この考え方はつまり、「週3日休んでも同じ成果が出せるなら休んでいいよ」という、成果主義の考え方に則っています。

そしてこれは、裁量労働制の考え方を拡張しているといえます。

裁量労働制とは、「労働時間が労働者の裁量にゆだねられている労働契約」のことを指します。
裁量労働制が適用されると、「1日8時間」といった「みなし労働時間」は設定されますが、3時間しか働かなくても、12時間働いても、8時間働いたことと同じ給与が支払われます。
つまり、最終的に期待する成果物を出せば良いという制度ですね。

週休3日制では、この考え方を拡張し、週4日勤務でも週5と同じだけの成果が出せるのであれば週休3日にしても良いよという判断を企業がするというわけです。

休みが増えても給与が変わらないというのは、社員にとっては嬉しいことのように思えますが、実は極めてシビアに評価をする制度でもあります。

仮に、週4日勤務の人と週5日勤務の人が混在したときに、週4の人の方がトータルの成果が低ければ、評価が下がり、給与は下がっていく(上がらない)ことになるからです。
結局、「給与は維持」と言いつつも、成果が出せないなら給与は調整されていくことになりますね。

現実的には、労働集約型の産業など、労働時間が成果と比例するようなブルーワーカーでは、個人の生産性だけで成果を伸ばすには限界があるので導入は難しいでしょう。企画系やエンジニアなどホワイトカラーが中心にならざるを得ないと言えます。

こうした成果型の組織の究極形として、Netflixの「自由と責任」というカルチャーがあります。
休暇も勤務時間も本人の自由に任されていて、自由に休みが取れます。自由を与える一方で、「いくら休んでも良いけど、成果を出せないなら辞めてもらう」という成果への責任を個人に求める厳しさも兼ね備えています。
自由な働き方は歓迎ですが、とても厳しい世界でもあるわけですね
(そんな甘い話はないのです!!)

Netflixとは別の事例としては、日本マイクロソフトが、2019年の夏に8月の期間限定のトライアルで、週休3日を全社的に導入したことがあります。

これは選択的週休3日ではなく、「全社的に金曜はオフィスクローズ」という制度なので、全社的に生産性を上げる試みです。
「週休3日を選択して成果下がったら評価下げる」という個人に責任を負わせるものではなく、成果が低下するリスクは企業が負うことで、全体の生産性にコミットしている点で、政府主導の選択制よりも進んでいると言えます。

結果を見るに、この1ヶ月の生産性は大幅に向上したようです。
たとえば「60分の会議を30分にする」などして生産性を向上させていて、こうした効果はトライアル終了後も続くでしょうから、企業にとってもトータルではプラスに機能しているのではないでしょうか。
(ただし業績への影響は触れられていないので、なんとも言えませんが)


おわりに:一石三鳥の打ち手へ

これまで見てきたように、週休3日自体は、既存の法制度の中で可能ですし、既に応用しながら進めている企業も出てきています。

政府の方針を待たずに、皆さんの企業でも導入をすぐに検討してみてはいかがでしょうか!?

昨今の政府の選択的週休3日導入の議論は、こうした動きを国を挙げて加速していくというメッセージであり、法制度が抜本的に変わって強制的に働き方が進化するという趣旨のものではないともいえます。

もちろん、それでも意義のあることだとはもちろん思っていて、国の推進力を生かして既存の仕組みの中でもより働きやすい世の中にしていくということは、ぜひ進めてゆきたいと思います。

一方で、社会全体の生産性を抜本的に高めることで、個人は働きやすく幸福度が高まり、企業は競争力が高まり、国力も上がっていく。そんな一石三鳥の強い打ち手がないかなぁと妄想していまして。

僕は、社会全体として「週休3.5日」にしたら最高な世の中をつくれるのではないかと考えています。
単純に休みを増やすのではなくて、「1週間を前半と後半に分けて、前半の3.5日を働く人と、後半の3.5日を働く人に分けた、交代勤務・交代休暇制にしてはどうか?」という提案です。

明日は、noteでその内容についてお伝えするつもりです。

あくまで妄想ですが(笑)、実現したら社会は大きく前むのではと思います!


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