全社員向けDX教育 必要なのは大きなビジョン
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
去年あたりから急速に普及しつつある言葉に「リスキリング」があります。働き方改革からの流れがあり、コロナ禍という後押しもあって既存業務のデジタル化とその先のDXが脚光をあびています。そして、需要が急速に高まったことにより専門人材が枯渇しており、採用もままなりません。
外部人材の力も借りるが、そもそも既存業務をよくわかっている現社員にスキルをつけるのが一番早いのでは?ということもあり、リスキリングが盛り上がってきているのでしょう。
今日も日経朝刊に以下の記事が出ていました。世界的に見ても出遅れていると言われている、不動産DXに関係するものです。
不動産業界は法規制もあり、対面での説明や紙の必要書類が多いです。最近になってようやく、宅地建物取引主任者が対面で実施しなければならなかった重要事項説明書について、リモートでの実施ができるようになりました(IT重説)。それ以外にも、データが共有されていなかったり、仲介に情報が集まりやすく売り主や買い主との情報の非対称性が課題と言われてきました。
また、コロナ禍でオフィス需要に陰りが見え、今後も完全に元通りになる見込みも定かではありません。都心では大型ビルの再開発が盛んに行われていますが、単純に良い場所にスペースがあるだけでは戻るほどの魅力を感じなくなってきている状況ですので、街そのものに総合的な付加価値をどうつけるかが勝負になってきています。
オフィスだけでなく、住宅にも変化の波が訪れています。Z世代と言われる若者の中には、定住や持ち家にこだわらない方々も多くなってきているそうです。
このような変化の中で社員の価値観やスキルのアップデートが必須なことは自明ではありますが、単にスキルだけつけてもそれが全社の戦略と連携していなければ本末転倒です。そのためには経営者が率先して全社のビジョンをアップデートし、広く繰り返し社員に語りかけてその意義を啓蒙することが大事です。
全国の自治体の中でも先進的かつ大規模にDXに取り組んでいるのが、巨大行政である東京都です。注目すべきは3階層のピラミッド型に人材を区分けして、人数の多い順に「わかる」「使える」「つくる」と定義しているところです。高度なスキルが必要な「つくる」人材については少数精鋭。ただ、全員に「わかって」もらう必要がある。なぜならば、現場にこそ対処すべき課題・機会があるからということでしょう。
例えば、メールやコピーやFAXを知らない社員が現場に大勢いたとしたらどうでしょうか。おそらくいまやっている業務の大半は回らなくなるのではないでしょうか。DXも同じことで、データの集め方や分析や共有の仕方については全員が理解していないと抜本的な改善には繋がりにくいと思います。
戦略に基づいた将来あるべき姿=ビジョンと、それを行動に移すために全員の基本的なスキルのアップデートが必要だということでしょう。
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タイトル画像提供:kabu / PIXTA(ピクスタ)
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