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昭和レトロの価値ってなんだろう

5月19日、西武園ゆうえんちがリニューアルオープンしましたね。

このリニューアルには、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を再建した森岡さん率いるマーケティング支援会社の刀が関わられていたとのことで、どのようなコンセプトでリニューアルされるのかと注目していた方も多いと思いますし、私もその一人でした。

発表されたコンセプトは、「心あたたまる幸福感に包まれる世界」と「1960 年代をイメージした“あの頃の日本”」でした。

新しい西武園ゆうえんちは、「心あたたまる幸福感に包まれる世界」へ生まれ変わります。一歩足を踏み入れると、そこは希望にあふれ、幸福感に満ちている懐かしいあの頃の日本。人は皆、前向きで元気。人々は情緒的につ
ながり、ひとりひとりを無条件に受け入れてくれる安心感と優しさにあふれています。
1960 年代をイメージした“あの頃の日本”は、大人世代にとっては懐かしい空間であるとともに、若い世代にとってはむしろ新鮮で、しかも「みんな幸せそう」「あたたかい」といったポジティブな印象と結びついており、当時を知らないからこそあこがれる“非日常”と感じてもらえることが調査よりわかっています(注)。この春から始まる次世代通信規格「5G」の台頭などにより、あらゆる情報やモノが簡単に手に入り極めて便利な社会になっていく反面、人間関係の希薄化の進行も懸念されます。そのような時代だからこそ、おせっかいなほど人情味あふれて人懐っこい人々との触れ合いにあたたかい幸福感を感じられる場所を創りたいと考えました。注:2019 年 1 月株
式会社刀調査による。

西武園ゆうえんち発表資料より 
https://www.seibu-leisure.co.jp/renewal_20200123.pdf

このコンセプトや4月に発表された記者会見の内容に関して、社内の編集部では、「さすがに昭和レトロといってもこのビジュアルは、どうなのだろうか?」「それほどノスタルジーを感じないのでは?」と話しました。

昭和に生まれた世代にとって昭和は身近ですが、平成が終わり令和になった2021年に、多くの世代の共通の価値として分かるのかなぁと思ったのです。

ですが、開業当日の様子を伝える記事や動画、SNSの反応を見ていると、けっこう楽しそうだなと手のひらを返した感想になりました笑

ニュース番組で、蕎麦屋の出前でそばを高く積んで自転車を運転しているという、写真でしか見たことがない昭和の蕎麦屋あるあるを見たときに、これは見たい!というモードに(こちらの記事内に写真ありました)。

(こういうやつですね)


それはさておき、少し昭和をかじっている僕らとは違い、ぜんぜん昭和に触れていないはずの10代20代にも「みんな幸せそう」「あたたかい」といったポジティブな印象があるのはなぜかと考えてみたのですが、一つの仮説として、60年代の昭和というのはもはやデフォルメされたコンテンツになっているのかなと思いました。

遊園地というテーマパークに求められるのは「非日常」を味わえること。ディズニーリゾートやUSJは、アニメや映画の世界観を味わえることで人々を日常から離し、楽しませてくれます。テーマパークという、同時に複数の人たちで時間や場所を共有する場(一人で行ったとしても、他の人々と共有していると思います)では、そのコンテンツの世界という共通の認識が大事になってきますよね。

考えてみると、日本全国に「江戸」をテーマにした施設や「忍者」をテーマにした施設もたくさんありますね。九州出身の私は、佐賀県にある忍者村によく家族で行ったことを思い出しました。「江戸」は、日本の中での共通認識を通り越して、世界でもEdoというコンテンツのイメージを作り出していると思います。

例えば、こういうCMが海外で流れているようです。


「ALWAYS 三丁目の夕日」の映画監督の山崎貴氏が描いた60年代の昭和というコンテンツ。山崎さんは、今回の西武園ゆうえんちのリニューアルにも関わられています。それはもはや、「本当の昭和がどうであったか」や「昭和と言っても1970年代、1980年代は」みたいな意見を言うのが意味をなさない、一つのコンテンツなのかなと思いました。

昭和っぽいといえば、このようなお店も人気が出ていますよね。

昭和レトロに我々が惹きつけられるのは、本当にあったあの頃の昭和ではなく、60年代の昭和というコンテンツの昭和。こう考えると、この世界観の中で商品や体験を表現するとしたらどうなるだろうという妄想してみると面白いかもしれません。レトロだけど新しい昭和体験が次々と生まれているのはこういう理由なのかもしれません。

日本古来の町並みが残っている京都や金沢などの都市がインバウンドの観光において人気でしたが、今後は60年代の昭和の雰囲気を残す街も「日本らしい」と、人気の観光スポットになるかもですね。

ぱっとでた浅い考えなので、「昭和レトロ」が人気の理由が他にもあるよ!という方は、Twitterなどで教えて貰えると嬉しいです。


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ジャンル横断で体験の価値を追うCXの専門誌『XD MAGAZINE』を創刊しました。オンライン、もしくは下記の書店にて販売しています。創刊号では、いま生まれている様々な「価値」の現場を取材しています。


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Photo by Leon Bublitz on Unsplash

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博報堂を経て、2015年よりプレイドに参画。現在はコミュニケーションディレクターとして、CXプラットフォーム「KARTE」のコミュニケーション領域を担当する傍ら、CXカンファレンス「CX DIVE」統括とCXにフォーカスしたメディア「XD(クロスディー)」副編集長を務める。