「週休3日制」は日本に定着するのか?
おはようございます。複業研究家の西村(@souta6954)です。
今週10月1日、J-WAVE『STEP ONE』にて「週休3日制」についてお話しする機会をいただいたので、備忘を兼ねて当日お話したことをまとめてみました。
なぜいま、週休3日制が話題なのか?
そもそも今回なぜ「週休3日制」が取り上げられたのか、といえばこのニュースの影響が大きいでしょう。
日本マイクロソフトが8月の1カ月間、「週休3日制」を試験導入する。全社員が対象で、8月の金曜日をすべて有給の「特別休暇」とし、国内の全オフィスを閉鎖する。社員にはスキルアップや家族旅行などの時間に充ててもらうという。
週休3日制は、2017年にヤフーが育児や介護を抱える従業員を対象に導入。アクセンチュアも育児や介護などを抱える従業員に、週20時間および週3日以上という範囲内で短縮勤務制度を導入している。
今年4月から「有給休暇の取得義務化」がされた中で、有給休暇の取得を「週休三日制」という形で推進した素晴らしい取り組みですが、実は「週休三日制」というのは古くて新しいテーマだったりします。
最近だと、2017年にヤフーさんが試験導入して話題になりました。
さらにその少し前だと、2015年にユニクロやGUを運営するファーストリテイリングさんが地域限定正社員で週休三日制を導入していたり。
もっと遡ると、2005年にIBMさんが時短勤務制度の一環として「週休三日制」にチャレンジしていたりします。
などなど、週休三日制は急に出てきたキーワードではなく、昔から出ては消え、出ては消えを繰り返してきた「古くて新しい」テーマなのです。
ニュージーランドでは「全社員が週休三日制」の会社も。
「週休三日制」については、実は日本に限らず世界中で話題になっていたりします。
そのきっかけになったのがニュージーランドのPerpetual Guardianという会社の取り組みです。
週休3日制の試験運用を行ったのは、遺書作成や遺産管理のサービスを提供している「パーペチュアル・ガーディアン」。従業員240人超を対象に、賃金は週休2日制のまま、3月初めから4月末までの期間に週休3日制の運用を行った。運用については社外の研究者が主導した。
昨年後半に行われた調査では、ワーク・ライフ・バランスの管理が出来ていると感じている回答者の割合は54%だった。今回の試験運用後は、この割合が78%に上昇した。
「給料は週休2日のまま」というのがなかなかすごいですが、トライアルは成功に終わったようで、正式に導入することに。
この研究結果は世界中で話題になり、ロシアでは大統領が「週休三日制」について言及したところ、異論反論が殺到して大いに議論になったそうです。
週休三日制のメリットとデメリット
議論が紛糾している通り、週休三日制にはメリットもあればデメリットもあります。
簡単にまとめると、以下のようなイメージです。
【会社にとってのメリット】
①社員のワークライフバランスが向上し、エンゲージメントが高まる。
②新しい働き方に取り組む企業としての認知が高まり、採用上有利になる。
【会社にとってのデメリット】
①生産性を劇的に高める仕組みづくりがマストになる。
②物理的に働く時間が減ることで、顧客や同僚とのコミュニケーションロスが生まれる。
会社として「週休三日制」を導入するかどうかを考える際には、こちらのメリット・デメリットを考慮する必要があります。
ニュージーランドのPerpetual Guardianのように、全社員が週休三日というのは難しいことは事実ですが、不可能ではありません。
無人コンビニを運営されている600さんでは完全週休三日制を導入されパフォーマンスが上がっているそうです。
こういう事例もあるので、難易度は高いかもしれませんが、決して不可能ではありません。
次に、個人にとってのメリット・デメリットを見てみましょう。
【個人にとってのメリット】
①休暇が増えることで、育児や介護、趣味や複業などプライベートをより大切にできる。
②限られた時間の中で成果をあげるマインドが高まる。
【個人にとってのデメリット】
①働く日数が減ることで、給料が減る可能性がある。
②休みのしわ寄せが生まれ、1日あたりの労働時間が長くなる可能性がある。
こんなところかなぁと。
「週休三日制」と聞くと、「休みが増えていいなぁ」となんとなく響きが良い感じがしますが、メリットだけではない、ということには注意する必要があります。
実際、週休三日制で働く人の多くは働く日数が少ない分、お給料も少なくなる、というパターンがほとんどですし、休みが一日増えたことで時間を持て余してしまうようでは意味がありません。
休みが一日増える分、「可処分時間を何に投資して、何をするか?」という明確なビジョンがない限り、時間を持て余してしまう可能性が高そうです。
「週休三日」をお試ししてみる。
記事タイトルの問いに戻りますが、「週休三日制」という働き方は、「週休二日制」のように、果たして日本に浸透するのでしょうか。
その答えは神のみぞ知る、ですが、個人的には「週休三日制という働き方がスタンダードになる日はこなさそう」と思っています。
ご紹介したニュージーランドの会社も無人コンビニの600さんも、いずれも若い会社で、小さな組織なので、「週休三日制」にするという意思決定もしやすいです。
ところが、歴史の長い企業で、かつ大きな組織の場合はそうは行かず、国全体で旗を振っていかない限りは難しいでしょう。
一方で、働く個人の価値観やライフスタイルはどんどん多様化しています。
子育てや介護をしながら働く人。
本業のみならず、趣味やライフワーク、複業に時間を割きたい人。
そうした方々にとって、本業以外に使える時間が増える「週休三日制」という働き方は非常に魅力的なため、今後「週休三日で働きたい」というニーズはどんどん増えていくことでしょう。
そのため、会社全体で一斉に週休三日制を導入することが難しくとも、そうしたニーズに応え、選択肢として「週休三日制」という働き方を選べる会社もますます増えていくでしょう。
早速、週休三日制を活用して「27歳マイクロソフト社員が豆腐屋を立て直す」という事例も生まれています。
「週休三日制」と言うと物凄いことのようにかんじますが、有給休暇を一日でも取得すれば、その週は「週休三日」になるわけです。
「週休三日制」にしたら、増えた休みで何しよう?と考えてみることは、プライベートを充実させる上で良い思考実験になりますし、そこでワクワクすることが見えてきたら、「お試し週休三日制」として、思い切って有給休暇を何週間か連続して取得してみても良いかもしれません。
今後、「週休三日制」という働き方がどのように広がっていき、世の中にどんな影響をもたらすのか、大変楽しみです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?