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学び直しはスキルの話だけではない。人が持つ2種類の知能をどう磨くかが鍵だ

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

# 本投稿は日本経済新聞とnoteの共同の連続お題企画「#私の学び直し」への寄稿です。

リスキリング、学び直し。2020年頃から盛んに議論されてきたテーマが、まさに国レベルでのホットな話題となっています。

リスキリングの1兆円パッケージは就職後に改めてスキルを高めた人材が成長分野に移り、生産性を高めて賃上げにつなげる好循環を狙う。「賃上げと労働移動の円滑化、人への投資という3つの課題の一体的改革に取り組む」と説明した。

年功序列的な職能給からジョブ型の職務給への移行も含め「企業間、産業間での労働移動の円滑化に向けた指針を来年6月までに取りまとめる」と話した。

日経電子版

学び直しというとなんだかかしこまった感じですが、だれしも経験していることだと思います。例えば、会社のシステムが更新されて使い勝手が変わってしまったとき、年配の方でも会社にPCが導入されてワープロからソフトウエアに移行したとき、電子メールが全社導入されたとき等々。その度に我々は新しい使い方を学び、働き方もそれに合わせてアップデートを繰り返してきました。要は今までも通ってきた道、です。

ではなぜ今になって盛んに言われるようになったのか。それは、現在が大変革期の真っ只中であるからでしょう。AIや機械学習が基礎研究期間を終え、実際に社会に導入される応用期間に入ったこと。その他の技術やデバイスも呼応するように急速な進化を遂げ始めていること。つまり今までよりも進化の角度が変わったことにより、利用者側もスピードを上げなくてはついていけない状態になっていることが考えられます。また、日本は経済成長が停滞していることにより、システム投資に消極的でした。このことが諸外国と比較した際に遅れをとっている現状を招いています。

わたしは2019年くらいからCOMEMO上でも学び直しの重要性を指摘してきました。特に重要視しているのが、管理職以上の方の学び直しです。マネジメント手法は日々進化しており、リモートワークなど多様な働き方が出てきた今こそ大幅にアップデートする機会だと考えています。ツールについても同様に進化していますので、経営者、管理職の方々がインターネットテクノロジーの知識をつけることは、今後の経営に大いに役立つはずです。

歳を取ると新しいことを学ぶのが億劫になる、というのは残念ながら事実ではあります。しかし、人の知能は60歳までは伸び続ける側面があるということが研究からもわかっています。

流動性知能、つまり新しい環境に適応する能力だとすれば、それを結晶性知能にするためには「経験すること」が何より大事であると言えます。つまり、20代では新しいことをやり経験を積み、30代を迎えるにあたって転職を経験して新しい環境に適応することが理にかなっているとも言えます。45歳までに「転職経験がない」ことが、キャリア形成について大きなリスクになり得るというのは知っておいたほうがよいでしょう。

日経COMEMO

具体的には人が持つ2種類の知能「結晶性」と「流動性」の特性に注目し、加齢の影響が少ない「結晶性知能」をしっかりと伸ばしていくことが大切です。

知能の最も大きな分類は、ホーンとキャッテル3)が提唱した、結晶性知能(crystallized intelligence)と流動性知能(fluid intelligence)である。結晶性知能は、個人が長年にわたる経験、教育や学習などから獲得していく知能であり、言語能力、理解力、洞察力などを含む。一方、流動性知能は、新しい環境に適応するために、新しい情報を獲得し、それを処理し、操作していく知能であり、処理のスピード、直感力、法則を発見する能力などを含んでいる。

ホーンとキャッテルは、結晶性知能は20歳以降も上昇し、高齢になっても安定している一方、流動性知能は10歳代後半から20歳代前半にピークを迎えた後は低下の一途を辿るとし、知能には加齢に伴って低下しやすい能力だけではなく、維持されやすい能力があると考えた。

公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」

また、知能の加齢変化にポジティブに影響する心理的特性として、

・抑うつ的にならないこと
・経験への開放性が高いこと

が、指摘されています。抑うつを予防するためには「多様性のある生き方をする」「孤立しない人間関係の形成」「曖昧さに耐える」「必要な助けを他者に求める」などが有効です。

また、知能を高く保つためには、日々、好奇心を高く暮らすことも効果的です。新しいことを始めるのは、好奇心を刺激する効率的な方法のひとつです。新しい情報や考え方に触れ、それを自分の行動に取り込むという行為が経験への開放性をあげるきっかけになります。特別なことをしなくても、歩いている途中に見つけた花の名前を調べてみる(最近ではスマートフォンで撮影するだけで判別してくれる便利なアプリもあります)、最寄りの川について歴史を調べてみるなど、マインドセット次第で様々な刺激が得られるでしょう。

このようなマインドセットを「面白がり力」と言っています。高杉晋作の辞世の句とされる「おもしろきこともなき世をおもしろく」はよく知られていますが、下の句では「住みなすものは心なりけり」と伝わっています。つまり、ここでいうマインドセット、心持ちが世を面白くするかどうかにかかっているということではないでしょうか。


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タイトル画像提供:アン・デオール / PIXTA(ピクスタ)


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