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目まぐるしく進化を続けるポッドキャスト・音声メディア業界

先日掲載されていた「VoiceTech」の記事では音声コンテンツの「ながら聴き」需要が膨らんでいる中で、米アマゾン・ドット・コムや米ツイッターなど海外IT企業が音声配信の関連会社を買収し、日本企業も新規参入が相次いでいる様子が紹介されていました。個人的には海外のニュース系のコンテンツを消費する際のポッドキャスト、そして書籍を聴く機会としてのオーディオブックなどは既に毎日の欠かせないインフラになっているのですが、改めて最近の動向を眺めてみると、ますます進化の速度が増しているようで驚きます。今回はそうした驚きをもたらしたサービスや便利なサイト、調査結果などをご紹介したいと思います。

【主な大手プラットフォーム企業の最近の動向】

・アマゾン:音楽配信サービス「アマゾンミュージック」でポッドキャストの配信を20年9月に開始、米ポッドキャスト配信大手のワンダリーを20年12月に3億ドル(約310億円)超で買収
・ツイッター:ポッドキャスト配信アプリを運営する米ブレイカーを買収(21年1月)。
・アップル:ポッドキャストの定額課金サブスクリプションサービスの追加を検討(The Infromation 1月15日
・スポティファイ:2019年以降ギムレット、The Ringer、Parcastなどのコンテンツ制作会社、Anchorなどの配信サービス、そして広告配信サービスを提供するMegaphoneを買収、​20年5月には人気のポッドキャスト・ホストのジョー・ローガン氏、オバマ前大統領夫妻、ヘンリー王子とメーガン妃との専属契約などを締結し独自コンテンツを強化

①映像・音声編集サービスのデスクリプト(Descript)が3,000万ドルを調達

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日本語でいう「え〜と」みたいな箇所や言い間違い、背景音など、一語一語レベルで音声、そして動画の編集を簡単に出来るサービスが大きく成長しているようで、先日3,000万ドルの資金調達に成功したというニュースがありました。すぐに日本語で利用することは難しいと思いますが、ここまできたか、と感じさせる程音声・映像コンテンツの編集がパソコン上で簡単に出来る時代が既に来ていることを感じます(3分弱の紹介動画あるのでご興味ある方は是非ご覧ください)。著名VCのアンドリーセン・ホロウィッツが2019年に投資していること、創業者がかつてグルーポンを創業した人物である点等もとても気になる点です。

②「ポッドキャスト業界のIMDb(映画、俳優、監督等に関するオンライン・データベース)」を自称するポッドチェイサー(Podchase)が400万ドルの調達
ポッドキャストが国内でそこまで認知度が高くないのは欧米に比べコンテンツの量が絶対的に少ないことと、優れたコンテンツが見つけにくいという課題があるのでは、と感じます。ポッドチェイサーを利用することで英語圏の情報ではありますが、番組、そして番組にゲストで登場している起業家、アーティスト、作家、ジャーナリストなど、個人名でも検索、ブックマークが可能です。

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こんな形で自分のお気に入りのポッドキャスト番組のブックマークを共有してお互いにフォローし合うことも可能です↓。

③英国ロイタージャーナリズム研究所が昨年11月に公開した調査レポートによると、毎日配信されるニュース系ポッドキャストが増加傾向に

2017年1月にスタートして今では毎日400万人が視聴しているニューヨーク・タイムズの「The Daily(ザ・デイリー)」の成功に続くように、2019年以降、大手新聞社、メディア企業がポッドキャストの配信に力を入れ、パンデミックの状況下で更にこうした傾向が加速している様子が紹介されてます。

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コンテンツの種類も4つに分類され、The Dailyのように1つ(或いは3つ程度までの)テーマに関し、記事を執筆した記者や専門家をゲストに迎えながら深堀りする「Deep-Dive」が人気ジャンルのようです(時間も30分程度まで)。

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④読書のスタイルも成長率においてオーディオブックが首位に
米国出版協会の2020年1月から10月までの売上情報として前年度との売上成長率が記載されてます(出典:Axios)が、オーディオブックが成長していることが分かります。

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・米国では5人に1人がオーディオブックを聴いている(ピューリサーチ)
2019年の米世論調査団体大手のピュー・リサーチ・センターの調査結果によると、依然紙の本が65%と最も親しまれている形態ではありますが、米国ではオーディオブックによる読書体験が右肩上がりの20%に達し、25%の電子書籍をいずれ追い抜くのでは、とも感じさせる急成長ぶりです。

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以上思いつくままにボイステック、音声メディア業界の最近の気になるトピックスを挙げてみました。2021年、今後の1年でどのようにこうした動きが発展し、国内でも盛り上がっていくのか、とても楽しみにしています。

Photo by Omid Armin on Unsplash


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