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選挙DX―政治活動の温暖化ガス排出量は?

こんにちは!グローバルでDXの調査・支援をしている柿崎です!
前回から「選挙」をテーマに書いています。
東京に住んでいる私は、この前の週末の朝から晩まで、駅、道路、コンビニの駐車場など、いたるところで選挙カーを見かけました。
東京都議会議員選挙が告示された後の初の週末ということで、候補者による選挙活動が熱く繰り広げられていました。
写真は私の最寄駅での街頭演説の風景です。私が注目したのは、演説ではなく選挙カーです。
驚きました・・・。3台全てエンジンを切っていないのです・・・。

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2050年に実質ゼロにする政府の目標

菅義偉首相は温暖化ガスの排出量について「2050年までに全体としてゼロにする」ことを表明しました。

この記事において「産業構造の転換」が3回登場し、「政府が掲げる新目標に対応するかどうかが企業価値を左右する」と書かれています。目標達成のために「企業が対応を急ぐべき」という論調がよく目につきます。
トヨタ自動車は50年までに工場などからのCO2排出量をゼロにする計画を2015年に掲げました。ソニーは40年までに自社で使用する電力を再生エネに切り替える目標を2018年に決めています。以下の日本郵船の記事のように企業の取り組みに関する記事はよく見かけます。

企業に要請する前に政治がお手本を示しては?

不思議に思うのは、企業側が産業構造の転換が迫られるほど対応を急いでいるにもかかわらず、政治活動の場では何も変わっていないことです。
今回最初に書いた選挙カーです。現職議員や候補者の皆さんは朝から晩まで選挙カーを走らせ、街頭演説中もエンジンを切らないのです。
政治活動の場では、2050年と言わず、今からすぐに実行に移せるのではないでしょうか。私が前回かいた「選挙DX」に取り組むことでCO2の排出量を削減できるのです。

選挙DXでCO2排出量をどのくらい削減できるか

今回、実際にどのくらいのCO2排出量を削減できるか、気候変動対策のサービスを提供している株式会社リクロマ代表の加藤貴大さんに試算していただきました。今回の東京都議会議員選挙の立候補者271人が9日間(告示日:6月25日から投票日前日:7月3日まで)の9日間に選挙DXに取り組み、選挙カーを利用しなかった場合の削減量です。*1

削減量合計:3,596,022kg
(約3,600トン)-CO2 *2

どのくらいの量かイメージがわきますか?
JR東日本は、直営店舗でのレジ袋の切り替えにより、CO2を年間約1,200トン削減できるそうです。選挙カーによる削減効果が3,600トンですので、大手企業1社のレジ袋切り替えの3倍の効果です。

政治活動こそすぐに脱炭素できるのでは?

大手企業が1年かけて努力した成果(1,200トン)が、東京都議会選挙の3日間(選挙活動期間9日間3,600トンの3分の1にあたる1,200トン)であっという間に帳消しになるというのは驚きです。
今回の東京都議会選挙ではあきらめることにしましょう。ただ、これからの政治活動では、現職議員あるいは候補者の皆さんに「選挙DX」に取り組んで頂ければと思います。選挙DXに取り組むことにより、政治活動における脱炭素に自ずと貢献しますので是非よろしくお願いいたします。

*1 全ての候補者が選挙カーを使うわけではなく、一方で冒頭の写真のように3台使う候補者がいます。選挙事務所の電気使用やポスター・チラシ等の紙の削減効果もあります。今回は、暫定的に1人1台の選挙カーを利用する想定で試算しました。
*2 以下の条件で試算しました。
-東京都議会議員選挙の立候補者数:271人
-6月25日(告示日)~7月3日(投票日前日)の9日間
-燃費:一般的な選挙カー9.8km/l
-8時から20時までの12時間を時速15kmで走行
-算定はカーボン・オフセットの対象活動から生じる温室効果ガス排出量の算定方法ガイドライン(Ver.2.0)に従う
-計算式:12時間×15km/h÷9.8/l×34.6×2.32kg-CO2/l×9日間×271人


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