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ECBが12月14日明日の理事会会合で再び金利の据え置きを決定することはほぼ織り込み済みと思われるが、市場はまだ最新の経済予測とECBのコミュニケーションから、多くのことを読み、かつ消化する必要がある。

市場はすでに利下げが実施されるのではと読み始め、2024年中にはECBは大幅な利下げを実施するのではないかと織り込んでいる。こうした市場の期待や読みに対し、ECBはこれに対抗しようとするか否か。その意味では、ECBは明日の会合において何らかの形で市場のプライシングを押し戻す可能性が大きい。

最新のスタッフ経済予測はなおインフレ率が持続的に2%以下に低下するには時間がかかることを示している。少なくとも2025年まではかかる公算。また、ECBは短期の成長率予測をいくらか下方修正する可能性がある。2024年のGDP成長率予測も1.0%から0.7%に低下すると見られる。しかし一方で、2024年半ば以降には回復し、2025年と2026年の成長率は潜在成長率よりも高い1.6%と予想している程である。

こうした経済見通しを踏まえると、12月1日のシュナーベル理事のインタビューにおいて、中銀は「早期かつ極めて大幅な利下げ」という市場のプライシングが示唆するよりも慎重でなければならない、という解説に呼応することになるのではないか。つまりは、ラガルド総裁が10月の会合で述べた通り、利下げ等に関しては「現段階での議論は時期尚早」ということになるのではないか。また、今回PEPP再投資の終了に関する議論を正式に開始することが発表になる見込みであることも付け加えておきたい。

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