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拼多多(pinduoduo)の過労死騒動から中国企業の過酷な労働環境についてを伝えます

中国は、働き方がどんどんホワイトに改善されている日本とは真逆に進んでいくのかもしれません。中国のIT企業やスタートアップ企業の激務について、これまでに何度か紹介してきましたね。

そして最近とっても話題になっている悲しい事件があります。急成長している中国の新興ECサービス拼多多(pinduoduo)で過労死が起き、その後の一連の出来事があまりに理不尽で中国のみんなに衝撃を与えています。

(拼多多って何って方はこちらを先に見ると良いかもしれません↓)

今回の過労死については日本でも少しは報道されていたようですが、ブラック労働が社会問題となっている中国でも大きく注目されました。そして、その後に起きた不祥事と炎上により、この一週間で拼多多(pinduoduo)が何回もWeiboのトレンド上位にランクインしています。

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↑高学歴ユーザーの多いQ&A系のSNS「知乎」でも長時間話題ランキングの上位にありました。

その一連の不祥事の進展をまとめると以下のようになります↓

1月3日:新疆でpinduoduoの新事業を担当する23歳の女性社員が12月29日の深夜1時半に退社帰宅途中に突然死、と報道される。
1月4日:「知乎」で「pinduoduoの若い社員の過労死にどう思いますか」と質問が投稿される。これに対してpinduoduoのオフィシャルアカウントが「最下層の人たちがみんな命をかけてお金を稼いでるじゃないですか」といった内容を回答するが、その後すぐに削除される。
このやり取りのキャプチャだけがネットに出回るが、pinduoduoは「公式アカウントの書き込みはデタラメだ」と強く主張。一方で「知乎」運営社は、その書き込みの存在と削除の一連の操作が確認できていると公表。
その後、pinduoduoは「書き込みが運営代理のミスによるもので、オフィシャルな意見ではない」と発表。また(pinduoduo本社所在地の)上海の労働保障監察部門が介入する。
1月7日:pinduoduoの社員が救急車に搬送された写真が、「2人目の勇者だ」という内容と一緒に職場匿名書き込みサイトにアップされる。(1人目の勇者は自殺された方。勇者とは死を恐れずに仕事のために働くことを指していた)

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1月9日:8日に休みを取ったpinduoduo上海の社員が長沙の実家で飛び降り自殺する。(次の日の上海に戻る航空券は持っていたそうです)
また、7日に救急車の写真を匿名投稿した社員がpinduoduoの調査で特定され、その後わずか30分でクビを宣告される。荷物をまとめて会社を追い出された。
1月10日:pinduoduoの過労死の出た新事業チームで強制的な休みの取得が開始されるが、
・休み中も仕事の連絡に対しては素早く返信しないといけない
・もちろん出社してないから仕事の連絡であろうとも労働時間に加算されない
というブラック状況が明らかにされる。
1月11日:匿名投稿アプリの運営者は、自社の情報漏洩は一切ないと強く主張。また、クビになった社員が一連のことを動画で説明。当然超注目となりpinduoduoは一気にトレンド1位に。

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↑今はすでに4000万回以上再生されてます。

といった経緯でした。pinduoduo側は

解雇した理由は、救急車に搬送された画像の投稿ではない。この人物はかつて「こんな会社潰れてしまえば良い」などの書き込みを行ったため、他の社員の安全を守るためにも、このような極端な行動を行う者はクビにすべきとした

と主張。実際のところは問題があったのかもしれませんが、この主張は明らかに無理がありますよね。。

動画を公開した勇者や、他の書き込み、また僕の情報源による情報によると、pinduoduoは暗黙のルールとして一ヶ月最低300時間は働かないといけないそうです。なお、過労死の出た新事業は最低380時間。

もし働く時間が足りなかったらチームリーダーや人事に「仕事が足りてないのか?」と質問される。また、わずか1分の遅刻をした場合は3時間の時間外労働で補う必要があるそうです。恐ろしい...

380時間労働とは、単純計算すると「休日なしで平均一日13時間弱」ですね。これが最低限ということなので、「目が覚めたら出社して働き、退社したら即寝の繰り返し」と話す社員も。

ネットユーザーからも、鬼のpinduoduoに比べれば他のブラック企業もかわいいもんだ。アリババなんかはジャックマーの言う通り「996は果報」と皮肉な意見も多数。

(996労働についてはこちらをご覧ください↓)

この一連の中で個人的に最も深刻と思ったことは、pinduoduoの株がこの不祥事で上がっていること。もしかして投資家たちは、こんなに人を働かせている企業って力強い!能力がある!期待できる!と考えているのかもしれませんね。

なぜこんなにブラックでもみんなが働いてるかの理由は、当然給料が高いことです。pinduoduoでは若手のエンジニアでも年収50万元以上(約800万円)がもらえるそうです。過労死で亡くなった23歳の女性も一般の文系新卒の2〜3倍の待遇だったとのこと。

上部にリンクを貼った拼多多についてのnoteで解説しましたが、pinduoduoは近年信じられないほどの勢いで伸びている企業です。優秀な人材がたくさん働いていると話題で注目していたので、今回の騒動からは考えさせられることがたくさんあります。

日本の中にいると「長時間労働など過酷な職場環境といえば日本、世界一労働してる」といった認識があるかもしれません。でも今では競争なども含め、多くの中国企業の方がよほど過酷ではないかと感じています。

でも0からタオバオを超えたい企業は、このくらいみんなが働いて発展させていかないといけないのかな。

(参考資料)


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