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ブラブラを日常に取り込む〜#現場主義で得られたこと


(Photo by Steven Wright on Unsplash)
現場主義という言葉は、古くはトヨタやホンダのようなものづくり企業が、現場、現実、現物を大切にせよ!という行動指針としていたことを思い出させる。今回の日経COMEMOのお題は、今の時代の現場主義を問い直すもの。地域からイノベーションを起こす、というユニークな仕事をしている自分自身にとっての現場主義とは何か、考えてみたい。

#日経COMEMO #現場主義で得られたこと

特定の現場を持たないコンサルタント

伝統的に現場主義といえば、ものづくりの現場か、顧客の現場を指すことが多いだろう。しかし、コンサルティングという仕事では、いわゆる特定の現場というものはない。パソコンとスマホがあればどこでも仕事ができるので、普段はオフィス、家、カフェ、あるいは移動中のモビリティの中で仕事をすることになる。

もちろん、プロジェクトごとに現場はある。地域活性化、サステナブルなまちづくり、新しい観光などのテーマでは、特定の都市や地域が現場となる。しかし、プロジェクトが決まってからその地域を訪れることを「現場主義」とはいえないだろう。当たり前のプロセスにすぎないからだ。

たとえば、この4年くらい「持続可能な観光」に取り組んできた。奄美大島がフィールドになれば、もちろん飛行機に乗って島に行って、フィールドワークをしたり、地元の人とワークショップをしたりする。こういった決まった仕事だけすませて帰ってくるようでは、現場主義を貫いているようには見えないということだ。

次の記事は、大阪や京都で訪日客が減ったことで、インバウンド頼みの店は立ち行かなくなり、新しい業態を模索する現状が報じられている。

私たちのような仕事をしている場合の現場主義とは、こういった記事に興味をもったときに、「さらなる問い」をもって現場に行ってみることである。ただ、この行為はペイドワークではないので、「楽しくなければ続かない」ものでもある。だからこそ、その地域に遊びに行くためのプランを立てるのがよい。ただ、ピュア遊びではなく、地域の課題を感じたり、新しい動きを見つけたり、こういったことを楽しみに組み込むのだ。

ブラブラを日常のライフに取り込む

ブラブラするのは楽しい。だが、以前聞いた話で、セブンイレブンにはブラブラ社員という仕事をしている人がいるという噂があるが、「成果を出すためにブラブラ」するのは結構きつい仕事だ。仕事としてブラブラするというのは、ある意味で語義矛盾で、「急いで遠回りする」ような気ぜわしさがあってよくない。

そこで活用したいのが、自分のワークの時間ではなく、ライフの時間である。好きな地域に行って遊びながら仕事をするワーケーションなどは、ブラブラを日常のライフに取り込む上で、最高の制度だ。

私が意識しているブラブラは、自分の仕事をもっとロンガー(時間軸)にしてブラブラ、もっとワイダー(視野)にしてブラブラ、もっとディーパー(深さ)にしてブラブラすることである。

長期視点でブラブラ:こんな仕事したいなと、先を見越してブラブラする
幅を広げてブラブラ:仕事のスコープを超えて、幅広くブラブラする
深掘りしてブラブラ:仕事のブリーフィングを疑い、深くブラブラする

問題は、このようなブラブラをワークの時間に組み込むことができるか?ライフの時間に組み込むことができるか?というワークライフデザインになる。これらが統合されると、すべてが好循環で回り出す。毎日、なんか遊んでいるようで、それが仕込みとなって良い仕事ができる。いつもアイデアにあふれている。そんな現場主義が完成する

デジタルトランスフォーメーションの時代、情報を集めて整理することの価値は、相対的に下がっている。他人とは違う好奇心、他人とは違う経験、他人とは違う生き方をしている人の価値が高まる時代だ。積極的に「現場で遊び」、毎日「できる限りブラブラ」して生きていきたい。そのためには、仕事や生活に終われるのではなく、未来のワークやライフを引っ張るような、そんな楽しいブラブラを日常に取り組んでみてはいかがだろうか。

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