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ロジックモデルの話〜頭の中のモヤモヤの整理やシナリオ描きの助けになる考え方

「ロジックモデル」とは…”「長期アウトカム(成果)」を設定し、そこに至るまでの「初期や中期のアウトカム」を評価するもの”

日経新聞『インパクトを可視化せよ 産官学の奮闘』

「ロジックモデル」という考え方を最初に知ったのは、10年前アメリカの大学院留学中に受けたソーシャルアントレプレナーシップについての授業の中でした。社会課題の発見と分析・構造化の次に行うべきは、その課題を解決した先に何を目指したいのか、どんな世界を実現したいのかというスーパーゴール或いはインパクトの設定。そして、そこに至るまでの過程を丁寧に描く…つまり、資金や人材などのリソースを最大活用しながら事業を展開し、その先に結果としてのアウトプット、さらにその先に得られる短期的・中長期的な成果であるアウトカムまでしっかり想定して描いていく。「ロジックモデル」とは、そんな変化のプロセスを描き出すものだと理解しています。

3年前から担当させていただいている獨協大学「ソーシャル・ビジネス論」でも、兎にも角にも問題の発見・分析・構造化とロジックモデル化、ということをコアに授業を行なっています。今日はそんな「ロジックモデル」についてここ10年ほど思ってきたこと、実践してきたことについて書きたいと思います。

ロジックモデルとは

社会課題抽出と構造化の上で、問題を解決した先に実現したいインパクトを見据え、そこに至るまでの過程を丁寧に書き出すことをロジックモデルと言います。そのモデルは、ロードマップとして手元に置きながら事業を推進したり、時折立ち返り目標の達成具合を確認したり、事業の区切りで評価の指標として活用したりするためにも重宝されます。

Proudly from Africaの問題構造化とロジックモデル

2019年末にローンチしたオウンドメディアの“Proudly from Africa”は、2012年からアフリカで仕事をする中で得てきた仲間や友人との会話の中で生まれた取り組みです。

あるとき、南アフリカ・ケープタウンの店舗でResearch Unit [Studio]の創業者と話をしていた時のことです。自信を持って世の中に送り出せるバッグや小物を携えて、ヨーロッパの展示会に出展した際に経験した苦い想いを共有してくれました。商品を手に取って関心を寄せてくれたバイヤーに、商品の原材料調達のみならず、最終化を南アフリカの内陸地の人々の手で行っていることを説明すると、懐疑的な表情を見せながら買い叩くような値段交渉が始まってしまったといいます。周辺のブースに出展している欧州ブランドと品質や見栄えも劣らないと自信を持って出展したのに、アフリカ発であることが足元を見られてしまう要因となっているような気がする…世の中がアフリカに対して抱く固定観念や先入観によって、正当な評価が受けられないように感じてしまう…そんな課題意識を話してくれました。

Proudly from Africaの起点である問題の構造化のひとつ

Research Unit [Studio]のみならず、多くのアフリカのブランドオーナーからも似たような課題意識が聞こえてきました。そんな中で、そのバイアスを突破できるような何かができないかという想いから立ち上がったのが、“Proudly from Africa”です。こちらが、事業を立ち上げた当時にアフリカのブランドオーナーたちと志向したロジックモデルです。

目的意識やシナリオを共有するために役立つロジックモデル

アフリカのブランドオーナー達から聞いた話を見える化するために活用したのが、上掲の問題の構造化マップとロジックモデルでした。それぞれが抱いていた頭の中のモヤモヤを書き出して一つずつ整理し、その内容を他のブランドオーナーとも眺めながらブラッシュアップしていく…時間をかけてこれを繰り返したことで、“Proudly from Africa”の目的やシナリオを関係者の間で共有することができたように思います。

立ち上げから3年半、今度は当時描いたロジックモデルを振り返り、描いたシナリオ通りに歩めてこれているのかを評価しながら、次の3年に向けたロジックモデルを一度描き直すタイミングにきているかな…と、そんなことを思い始めています。

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