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組織とコミュニティは、似て非なるものなのだろうか

この問いに対しては両方の答えがあると思っている。

組織のあり方には、ある程度「型」のようなものはあれど、スタイルはさまざま。人の個性や考えは十人十色あり、そのような人々が集まって組織が形づくられるものだから、まさに千差万別ともいえるだろう。そのため、コミュニティ的な組織もあれば、よりシステマチックな組織もある。その逆もしかり。どれが正しいというものでもない。

オシロ社はコミュニティを科学し、プロダクト提供のみならず運営までを支援している会社だ。ぼくとしては自社の組織づくりでも「コミュニティのような組織」をイメージしている。それを前提として、今回は組織とコミュニティについての考えを綴ってみたい。


オシロが目指す「家族的プロフェッショナル型組織」

通常、組織では行動と成果(Do)を求められ、コミュニティは存在そのもの(Be)が許容される。そういう意味では、組織とコミュニティは似て非なるものといえる。

ただ、ぼくがオシロ社の組織づくりで意識しているのは、そうでもない。経済学者のヘンリー・ミンツバーグさんが提唱している「コミュニティシップ型組織」という概念があるからだ。これは、彼の著書『ミンツバーグの組織論』(ダイヤモンド社)の中で紹介されている7つの組織形態のうちのひとつ。会社の掲げるミッションのもとメンバー同士が強いつながりを持ち、ミッションの実現に向かってみんなで成果を求めていく組織のあり方だ。後に詳述するが、オシロ社の場合はコミュニティシップ型を勝手に派生させて「家族的なプロフェッショナル型組織」を目指している

似て非なるものといっておきながら、いきなり、ハイブリッドなあり方を目指しているといってしまうが、それにはもちろん理由がある。

日本企業の強さの根源には「コミュニティシップ」がある

創業から100年、200年と続く老舗企業の数は、世界的に見ても日本が圧倒的に多い。世界最古の企業としても有名な株式会社金剛組(大阪)の創業は飛鳥時代、1400年以上もの社歴があるというのだから驚きだ。

数々の動乱の世を潜り抜け、日本という災害の多い国において100年以上も事業を継続できている企業が世界で最も多いのは、日本の誇りである。

そのような変化に富んだ日本の歴史の中で、数多くの日本企業が100年、200年、それ以上存続できている理由はどこにあるのだろうか

ミンツバーグさんは日本型経営を支持していることで知られているけど、それも戦後の焼け野原から高度経済成長を遂げ、その後世界経済を席捲したあの日本企業の強さの根源はコミュニティシップ、つまりは家族のような関係にあると説く

家族という表現は、社員を大切にするのみならず、会社と社員そして社員同士のつながりを重視している点にある。まさにコミュニティシップに基づいた経営を実践していたからこそ、社会的な変化に強い組織に醸成されていったのだろう。

われわれオシロも強固な家族のような組織をつくっていきたいと考えている。社員同士の関係が強固であればあるほど、外部のプレッシャーや経済の浮き沈みに耐える力が増す。それは現在のようなスタートアップのフェーズだからということではなく、今後オシロが成長していった時にこそ、大きな効果を発揮するとも思っている。

「魂のある人」が「魂のある仕事」をする

このようなコミュニティシップを醸成していくために、ぼくが重要だと思っているのは「魂のある組織」をつくり上げることだ。それはまさしく、ホンダの創業者・本田宗一郎さんのように、彼の魂を現在に引き継ぎ、世界でその名を轟かせるHONDA(本田技研工業株式会社)のように、働く人々が組織を支え世界を変えてしまうような偉大な挑戦を成し遂げる組織でありたい。

ぼくにとって魂のある組織とは、それぞれがプロフェッショナルなマインドと技術を持ち合わせて成果を追求しながらも、働く人々が心からその組織を支え合い、お互いを信頼できる家族的な関係を築いている状態を指す。言い換えれば、「家族的だけどプロフェッショナル」な集合体な組織と呼ぶこともできるだろう。

「魂のある組織は見ればわかる」とミンツバーグさんの本に書いてあり感銘を受けたが、そのことをまったく別な文脈でぼくに教えてくれた人がいる。オシロの共同創業者である、ダイスケ(四角大輔)さんだ。ダイスケさんはオシロを創業する前から現在まで、ぼくに「魂のある人が魂のある仕事をする」ことを教えてくれた。

ぼくは心底そう思って、オシロを創業し、組織づくりをするようになってからはずっと意識し続けている。そして、忘れそうになると、ダイスケさんが喝を入れてくれた。

われわれオシロが提供しているコミュニティ専用オウンドプラットフォーム「OSIRO」は、まさしくコミュニティの名のもと、人と人が心でつながるためのプロダクトだ。そのようなプラットフォームに魂がなければ人と人のつながりが生まれるわけがないし、コミュニティに魂を吹き込むこともできない。仕事も、組織も、コミュニティも、偏愛する趣味も関係なく、長年愛されるあらゆる物事には「魂のある人」が介在している。

オシロではこれらを実現するために新しい取り組みを始めたいと思っている。そのことについては、また次回紹介していきたい。

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