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DXに失敗する理由-その一つは、経営トップの業務改革意識の欠如

 いつの頃からか、DXはデジタル・トランスフォーメーションと、スムーズに読まれるようになった。私は、数学者でもあるので、DX=dx 、「x方向での微分」を連想するのだが。

 ところで、この微分という言葉と、多くのビジネス・パーソンが取り組んでいるデジタル・トランスフォーメーションには、大きな関係がある。その関係、そして業務の微分が重要だということについて考えてみる。

あなたの会社では、デジタル・トランスフォーメーションの定義を明確にしているか?

 今回は、上記のnoteの意見募集に刺激を受けて、自分の考えを整理する。このnoteの記事にもあるように、「全社員へのデジタル教育」「デジタル知見を持つ経営陣による意思決定」があげられている。これは、もちろん問題だ。

 例えば、会社で標準で使っているWordのようなofficeソフトについても、多くの従業員は使いこなしていない。この1年間も、zoomやTeamsなどのVideo会議ツールも普及はしたが、Video会議の良さをきちんと活用できていない。

 一方、経営者のデジタル知見や経験の少なさも問題だ。最先端のことを知る必要はないが、標準的なデジタルの活用方法は、きちんと知っていて欲しい。

 この「全社員へのデジタル教育」「デジタル知見を持つ経営陣による意思決定」の2つの理由はDXの成否に関係することは、私も理解する。

 ところで、この「成否」という言葉に、数学者の私はやや疑問を投げかけたい。あなたの会社のDXの成否とは何か?何が良くなれば、またはどのような状態になれば、成功とするのか?つまり、デジタル・トランスフォーメーションの定義を、きちんと行ったかという質問を、読者に投げかけたい!

 たとえば、デジタル・トランスフォーメーションの目的とその先の目標には、いくつものケースが考えられる。

・会社の業務を最新のデジタル・ツールに置き換えることで、事務的な業務の生産性を高める。
・デジタル時代の会社の働き方を、再定義し、必要な箇所にはデジタル・ツールを導入し、利益率の高い事業運営を目指す。
・コロナ禍でも、お客様との営業や打ち合わせに遅滞や障害がないように、営業活動をオンライン化し、営業力を向上させる。

 これ以外にも、デジタル・トランスフォーメーションの目的・目標はあるだろう。しかし、多くの議論を拝聴していると、デジタル・トランスフォーメーションを行うことが目的になっていないだろうか?本来は、デジタル・トランスフォーメーションによって、企業の利益、成長、売り上げなど、ビジネスに寄与することが目的である。つまり、デジタル・トランスフォーメーションという手段・手法により、どのようにビジネスを成長させるかが重要である。

 このために、私はデジタル・トランスフォーメーションの定義が必要だと考えているのである。「どの領域」で「どのように」デジタル・トランスフォーメーションを推進し、会社のビジネスに「何を、いつまにで」貢献するのか?このような定義を明確することが重要なのだろう。

 さて、この定義は誰が考えるものだろうか。会社のIT部門だろうか?おそらく、このデジタル・トランスフォーメーションの定義は会社の経営のありたい姿にに連動している。つまり、経営層が、会社のありたい姿を定義する。そのありたい姿について、業務改革、デジタル化を担当部門が、デジタル・トランスフォーメーションの定義を検討し、経営層に提案する。そして、その提案内容を経営者が承認をして、業務改革に必要な予算確保や、デジタル投資を行う。このような流れになるはずだ。

今の業務のそのままデジタル化、高速化するのは最低の取り組み

 デジタル・トランスフォーメーションの定義を明確にすることで、デジタル・トランスフォーメーションの取り組みの成否の定義も明確なるだろう。

 この2つの定義、デジタル・トランスフォーメーションの定義と、デジタル・トランスフォーメーションの取り組みの成否の定義が明確になった。その前提で、多くの場合の成否に関係のありそうな点を指摘しよう。それは、既存の業務改革を行うか、どうかだ?そして、この業務改革にメスを入れるかどうかは、まさに経営者の仕事、判断だ。

 絶対に行ってはいけないことは、今の業務の流れをそのままに、そこにデジタル・ツールを導入するという手法だ。多少、業務時間は高速になるかもしれないが、ビジネス貢献度はそれほど高くならないだろう。

 業務改革を行うべき理由は、数多くある。

・属人的な業務を標準化する
・次の仕事の段階に進む、承認・否決の規準を明確にすることで、標準的な判断を自動化する
・それぞれの役職、従業員の仕事の役割を明確にすることで、業務の効率化と、業務の抜け漏れを削減する

 これらのような業務の棚卸活動は、デジタル・トランスフォーメーションと独立に、多くの企業で周期的に行われているだろう。そして、デジタル・トランスフォーメーションでは、特にこの業務の棚卸は、必須のプロセスであり、デジタル・トランスフォーメーションの取り組みの成否に大きな影響があるだろう。

 コンピューターに無駄な仕事をさせることは、本当に無駄だ。そして、コンピューターは、いくらAIの時代になっても、あいまいな承認・否決の仕事はできない。そのためにも、棚卸は重要だ。

 そして、多くのIT導入の時に、多くのIT部門が経験したことだが、シンプルな業務のIT化は成功確率が高い。一方、例外だらけの複雑な業務のIT化は失敗確立が高い。業務を、シンプルなフローチャートにすること=業務の棚卸は、デジタル・トランスフォーメーションには不可欠だ。数学者の私にとっては、業務の棚卸は、業務を断片的に見ることで、数学の微分に近く楽しい仕事なのだが。

 そもそも、御社の会社の稟議書の押印ルールは明確だろうか。まさか、ハンコを押す場所は明確だが、押印ルールはその人の気分次第などと、なっていないだろうか?

 多くの人は、笑うかもしれないが、実は多くの企業に属人的な業務があり、そして、それが蔓延している。そこから、目をそらさないこと。これが、デジタル・トランスフォーメーションの成功のカギだ。つまり、「経営トップがどれだけ業務改革意識を持っている」かが、重要なカギだろう。

#DXに失敗する理由

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