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アニソンライブの海外公演も再開=ドイツ

この夏、ドイツのマンハイムでは、アニソン歌手のAimerさん、ReoNaさんなどによるアニソンライブの海外公演が行われました。欧州の有力アニメイベントのひとつ「AnimagiC」でのプログラムとなります。コロナ禍によるリアルイベントの中断が日本国内でも続いてきたわけですが、今年に入り随時緩和されつつあります。今回はアニソンの海外公演のなかでも、あまり知られていない(と思われる)ドイツの実施状況について考えてみます。

日本動画協会が発行している「アニメ産業レポート2021」(サマリー版)によると、アニソンライブなどの「ライブエンタテインメント」は、関連産業のひとつという位置づけですが、「ユーザーが支払った金額を推定した」、「広義のアニメ産業市場」においては、その市場規模は統計が開始した2013年の248億円からコロナ禍直前の2019年には844億円にまで拡大していました(日本国内)。また、全分野を合わせた市場全体では、2020年には国内市場と海外市場の規模が逆転し、初めて海外市場のほうが大きくなったと報告しています。

つまり、日本国外においてもアニソンライブの需要はあると考えるのは決して的外れではないと思いますが、このコロナ禍によりリアルイベントの開催どころか海外への渡航の自由さえ制限されていました。

しかし、今年の春以降、状況は徐々に改善されてきており、冒頭に紹介したようなドイツでのアニソンライブの公演も実現に至っています。関係者などによりツイッターでも現地の様子が紹介されていました。

この「AnimagiC」でのイベントは、ソニー・ミュージックエンタテインメイントが立ち上げたレーベル「SACRAMUSIC」によるものでした。以下は、日経新聞が去年、2021年3月に公開した記事です。こうした、アニメソングを海外のファンに届ける試みも徐々に実を結びつつあるようです。

この「AnimagiC」では、コロナ禍による中断前の2019年には、Trueさんがアニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」のテーマ曲を歌うなど、毎年日本からアニソン歌手を名誉ゲストとして招待しています。

ドイツではこの他にも、アニソンのライブ公演を行っているイベントがいくつかあります。

今年、10月7日~9日にカッセルで開催される大型アニメファンイベント「Connichi」でも、アニソン歌手の栗林みな実さんとZAQさんのライブ公演が予定されています。

この「Connichi」も過去2年間はリアル開催を中断していたわけですが、過去にもFlow(2019年)、アンジェラ(2015年)などが招待されてきました。

また、デュッセルドルフで開催される「Dokomi」もアニソン歌手によるライブ公演を行うアニメファンに向けたられた大型イベントのひとつです。「Dokomi」はコロナ禍でもリアル開催を一度も中断しなかった世界的に見ても稀有なアニメファン向けイベントですが、日本からの音楽ゲストの招待は今年も断念しています。しかし、過去には、fhána(2019年)、中島愛さん(2018年)、いとうかなこさん(2014年)のライブが実現しています。

この他にも、ベルリン近郊で開催される「Anime Messe Babelsberg」では、若手のアニソン歌手がライブ公演を行うなど、近年、存在感を増しつつあります。今年7月に3年ぶりの開催となった同イベントでは、センチミリメンタル、富金原佑菜さんがステージを沸かせました。富金原さんはドイツでの模様を後日、動画にして公開しています。

ざっと思いつく範囲で書き出してみました。

ドイツでは、このほうにアニメファン向けの大型イベントという会場でアニソンライブが実施されています。例えば、ヴィジュアル系、J-Rockと呼ばれるグループなどのライブ公演は、ドイツではケルンやベルリンのライブハウスで単独イベントとして開催されています。ただ、コロナ禍によるものか、このジャンル自体の勢いが弱まっているのか、最近はあまり聞かなくなってしまいました。かつてはアニメイベントでもライブ公演を実施することもありました。

ドイツにはこの他にも、ステージがあるアニメファンイベントはまだまだたくさん存在します。こうしたイベントも潜在的な会場ととらえると、ドイツだけでも年間を通じて、各地でライブ公演を行うことが可能になると思われます。

日本政府による水際対策が緩和された今、アニソンライブの海外実施のハードルも低くなりつつあるのではないでしょうか。今後の動向が気になるジャンルだと筆者は考えます。皆さんはどう思いますか?


タイトル画像:今夏開催された「AnimagiC」の入り口付近の様子。筆者撮影。

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