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ラニーニャでパンデミック深刻化の可能性

世界的に異常気象を招く恐れのあるラニーニャ現象発生の可能性が高まっています。

ラニーニャ現象の日本への影響としては、梅雨入りと梅雨明けが早まることで夏の気温は平年並みから高めとなり、冬の気温は平年並みから低めとなる傾向がある、ということ等が指摘されています。

そして、過去のラニーニャ現象発生時期と景気回復局面の関係を見ると、90年代以降全期間で景気回復期だった割合は76.6%となりますが、ラニーニャ発生期間に限れば90.2%の割合で景気回復局面に重なります。

一方、これまで厳冬で業績が左右された業界としては、冬物衣料関連や百貨店関連があります。

また、ガス等のエネルギー関連のほか、医薬品やマスク等のインフルエンザ関連も過去の厳冬では業績が大きく左右されています。

自動車等の防寒や凍結対策関連といった業界も厳冬の年には業績が好調になりがちとなります。

鍋等冬に好まれる食料品を提供する業界や外食、コンビニ等の売り上げも増加しやすくなります。

さらには、冬物販売を多く扱うホームセンターや暖房器具関連、冬のレジャー関連などへの好影響も目立っています。

ただ、ラニーニャ現象の気象パターンと世界的なインフルエンザの世界的流行との関係が明らかになっていることには注意が必要です。

というのも、過去の代表的パンデミックである1918年のスペインインフルエンザ、1957年のアジアインフルエンザ、1968年の香港インフルエンザ、2009年のパンデミックインフルエンザのいずれにおいても、パンデミック発生前にラニーニャ現象が先行しています(January 20, 2012「Does the La Niña Weather Pattern Lead to Flu Pandemics?」https://www.cuimc.columbia.edu/news/does-la-nina-weather-pattern-lead-flu-pandemics)。

この関係について、コロンビア大学Mailman School of Public Healthの研究者であるジェフリーシャーマン氏は、ラニーニャのパターンは鳥の渡り鳥のパターンを変化させ、これまでと異なる種の鳥が接触したりすることになり、その過程で遺伝子交雑や遺伝子変化が起こり、それが今度は危険な新型インフルエンザの発生を促進する可能性があると述べています。

また、鳥同士の接触以外にも、鳥と豚などの動物との接触パターンも変化させることがあるとしています。

もちろん、ラニーニャ現象が起こったら必ずパンデミック拡大というわけではありません。

しかし、足元ではすでに新型コロナウィルスの感染が拡大しているため、ラニーニャ現象に伴う厳冬により感染がさらに深刻化すれば、医療現場のひっ迫などを通じて、経済活動に深刻なダメージが及ぶ可能性があることにも注意が必要でしょう。

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