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平等か公平か、それが問題だ。

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

※ 本記事は日経朝刊投稿募集企画「#女性に活躍してほしい理由」への寄稿です。

オリンピック組織委員会における森元首相の問題発言などが大きな話題となる中、3月8日の国際女性デーではメディアや企業からの発信が相次ぎました。SDGs(国連、持続可能な開発目標)でも引き続きジェンダー平等が課題にあげられてますが、達成すべきゴールに向けては依然として道半ばです。

今年の国際女性デーはこれまでになく賛同を表明する声を多く目にしました。ビジネス特化型SNSであるリンクトイン(LinkedIn)の特別企画には、女性のみならず数多くの男性の投稿が目立ちました。まず自分から行動して変わっていく。そのような潮流が生まれつつあるのかなと思います。

米国や欧州諸国をみると、ジェンダー平等については大きく前進しています。現在では他の課題、例えば人種差別を元にした犯罪(ヘイトクライム)が止まないといったなどと向き合っています。ブラックライブズマター(BlackLivesMatter。2020年に起きた白人警官による黒人暴行死事件を契機にした社会運動)や最近でもアジア人への銃撃事件が起こり、依然としてバイデン大統領をして「人種差別、外国人排斥、性差別は米国で現実にある」と認めています。私の在米アジア人の友人も深いショックを受けています。

バイデン米大統領は19日、南部ジョージア州アトランタで演説し、アジア系女性6人を含む8人が死亡した銃撃事件に関連し「米国に憎悪の居場所はない」と断固として立ち向かう考えを示した。米国ではアジア系住民に対する差別や暴力が深刻になっており、今回の事件を機に動揺や怒りの声が広がっている。

日本においては、その文化的背景や昭和の高度経済成長を支えた終身雇用と紐付いた世帯の仕組みにより「働く男性と支える妻・家族」が理想の家族の姿として認知されてきました。しかし、その頃からこの枠組に入らない方々は数多くいらっしゃったわけで、様々な苦悩を胸中に抱えていたはずです。

現在では特に若い世代を中心に「多様な家族のあり方」について理解する声も大きくなりました。その背景としては、共働きのご夫婦が約7割に達していていること。それに伴い男性・夫も家事育児を平等に負担すべきだというのが、世論調査などでも8割以上になっていることなどが考えられます。グローバル化の流れもこれを後押ししており、人々の意識も大きく変化していると思います。

女性活躍についても定量的なゴールを設定するクォータ制に関する議論が起きており、雇用機会の均等から次のステージに移ってきたように思います。しかしながら、このような議論の中で必ず出るのが「女性を優遇することは平等ではない。男性だって困っている」といった意見です。これは女性専用車両への批判でもよく聞くことですが、個人的にはとても違和感のある主張に聞こえます。

女性やLGBTQなどのマイノリティにとって、現時点でも大きな社会的圧力を受けています。「わきまえる」ことを暗に求められていたり、出世欲を出すと「女性のくせに」と言われるようなことがまだ数多くあります。

このようなときに考えていただきたいことがあります。
平等と公平は違う、ということです。

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上記の画像をみると一目瞭然ですが、平等とは配慮の量が一緒であることです。そして、公平とはそれぞれの置かれている立場に応じた合理的な配慮をすることで、結果の平等を実現するというものです。

平等とは一見聞こえがいい言葉ではありますが、忘れてはいけないことがあります。それは「前提条件(スタートライン)が一緒である」ことです。上記の例だと身長が一緒であれば、十分に機能するでしょう。社会を見渡してみれば、生まれた場所が都会なのか地方なのか。裕福な家庭だったのか、そうでないのか等々。つまり、本人の能力とは関係なくスタートラインは人それぞれ違うということを忘れていないでしょうか。先に説明した通り、日本における男女の役割についても歴史的背景があります。そうであれば、スタートラインの違いによる合理的な配慮があってしかるべきであるというのが私の考えです(もちろんどこまでが合理的かは、みんなで議論を尽くして決める)。

会社における意思決定には、多様なバックグラウンドを持った方からの意見をバイアスなく取り入れることで、その質が担保されます。日本は取締役の女性比率が6%。女性役員ゼロ企業が未だ過半数をしめています。管理職においても10%程度となっており、これでは質の高い意思決定ができているか疑問に思います(念のためですが、日本の人口比率はほぼ男女半々です)。

私が今後女性に活躍してほしい理由、それは多くの企業がより良い意思決定をすることで業績を伸ばすチャンスが数多くあると信じているからです。女性のみならず、多様な人材を活かすことこそが日本企業の生き残る道であると思います。

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タイトル画像提供:xiangtao / PIXTA(ピクスタ)

#日経COMEMO #女性に活躍してほしい理由


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