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Clubhouseは中国で規制されましたが、逆に盛り上がっています

2月8日の北京時間20時ごろ、Clubhouseが中国からアクセスできなくなりました。現在ぼくはVPNを使って利用してますが、中国の電話番号で登録したのでログアウトになったらさようならみなさん(SMSの認証コードが届かないと思うので)。

ただ、アクセスできなくなってから中華系ルームは逆に盛り上がり、アクセスが遮断された後すぐにこんなルームが現れました。

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↑「墙」というのは、シャットダウンということ。「シャットダウンされた!?」って名前のルームがいくつも。しかもどれも人数が多いです。

ブロックは残念ですが、まぁみなさん想定内でしょう。僕も今まで夜な夜な使ってみましたので、中国ユーザーがどう使っていたかについてをシェアします!

フォローしている人の影響かもしれませんが、1週間回ってきてとにかく英語のルームはわいわいパーティーをしているところが多く(というか英語圏はすでにけっこう過疎ってきてない?)、日本語のルームは芸能人の楽屋ノリのものや、オンエアー中番組の副音声トーク、意識高い人がドヤる部屋などが多いですね。

一方中国語のルームはというと、とにかくIT関係者が多いです。中国の今までのソーシャルメディアとの相違や、技術的な展開、ビジネスモデルや規制のあり方など。みんなが996で会社にいるはずが、よく仕事しながら聞いてますね、そしてけっこう話しますねというのが感想でした。

どんなルームかをいくつか紹介しましょう。

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↑1分間IT業界求人会、アリババ、テンセント、バイトダンス募集あり。

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↑Clubhouseのアルゴリズムについて話そう

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↑IT大手無言ルーム、アリババ、テンセント、美団、バイトダンス、百度、pinduoduo、xiaomi、Kwai、Weibo。。もう全員集合じゃないですかw

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↑996中に996をつっこみましょう。ちゃんと仕事しましょうよ。(ちなみに996とはいわゆるブラック企業労働のことです)

そして、大陸と台湾、香港いわゆる「两岸三地」の若者が集まるルームもあり、ここでは意見交換からFワード連発の罵倒合戦まで盛り上がってます。weibo情報によると、もう24時間体制でいつ行ってもやってます(キャプチャは自粛)

真面目な議論の中にはこんなものも混ざってました。

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↑合法の売春方法

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↑男女買春ガイダンス。。。隣の部屋と合併すれば

そして、先日には中国国内の自メディアが、結構痛い文章で中国のClubhouseユーザー像について描いたことが話題に。

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↑簡単に訳すと

・ビットコインのKOL
・PCインターネット時代から活躍してますが今は自メディア文章で生きていて、この数年間は売れないアプリをリリースする時代遅れのPM
・経営難や破綻したベンチャー企業のCEO
・取材される事が大好きですが、個人投資収益率が1未満のVCやco founder
・IT大手にいて普段はZhihuなどで活躍していて、996について愚痴るがサボる時間も多い
・IT業界の有名人と仲が良いといつも言ってる記者や独立ブローカー
・自分がアメリカ・香港・大陸で生活、仕事をしたことのある自称ハイレベルの華人
・ソーシャルメディアでは特定な身分(主張や趣味など)を主張するひと

かなり揶揄した表現ですね。この文章はすぐに10万+のアクセス数となり、あっという間に話題になりました。

その後の展開も面白く、まずこの文書について語る部屋がClubhouseに登場

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そして、スピーカーに文書の作者の知り合いが何人かいて、結局作者本人がルームに連れこまれました。大変なことになるかも、と思いましたが喧嘩もなく、みんな和気藹々Clubhouseについて話していた。

しかもけっこう面白かったので、僕が聞いている時にメモした観点を共有したいと思います。正しいとかは抜きにして、なかなか日本では話されない視点もある内容なのでは。

・「我々は、レベルの低いルームの存在に気分が害される。でもイーロンマスクのような人から見ると、レベルの低くないと自覚しているルームも低レベルと評価されているのでしょう」
・「同じ趣味や志向の人が集まるアプリだと理解してますが、もしトランプの強烈な支持者がいっぱい入ったらいまの管理体制でどう対応できますか?」
・「Zhihuの成長期(招待制、ユーザーの質が極めて高い)とあまりにも似てるから、ユーザー数の成長によって後々質を保つことが難しくなり、いわゆるハイレベル感がなくなったら、初期ユーザーのアイデンティティがなくなる。彼らは新しいプラットフォームへ移行するのかもしれない。すると余計にユーザーの質が保てず、今までの中国の音声ソーシャルアプリと同じようになるのでは」
・「このアプリからシリコンバレ—と中国のインターネット業界との価値観の相違が痛感できる。特に中国はZhihuの先例があり、中国には膨大なネット人口がいるからこそ、マイナー向けのサービスよりマス向けのサービスの方が絶対に良い。低レベルユーザー向けと言われるサービスのtiktokもKwaiもpinduoduoも結局みんなうまくいっている」
・「このアプリからも、シリコンバレ—にはインターネットのコアの精神が感じられますが、今の中国はそれを追求・真似すべきかどうか、正解はわからない」
・「クラブハウスに入ってまず議論するのは、どんなビジネスモデルが一番いいのか、マネタイズはどうなるか、いかにユーザーを増やせるか。ここに明白な答えがないのでアプリへの評価が低くなる。でも結局彼らは最初にこのアプリを体験して、中国語の文章にして、まだこのアプリを使ったことのない多くの中国ネットユーザーに読まれる。それでアプリに対するマイナスなイメージがすでに形成されている。さらにアンドロイド機種や招待コードがないなどの理由でまだClubhouseが利用できないネット民がこういう文章を擁護しがち。

などなど。かなり偏った意見が多いかも。

全体的にはこんな感じでマッチョに議論されるルームが多かったのですが、もちろん趣味について話したり、読んだ本について語るような部屋もあり、そういうのは良いなぁとも思いました。日本の芸能人の楽屋裏話みたいなのもちょっと聞きましたが面白く癒されました。

中国では早速ブロックされてしまいましたが、アーリーに使っていた感度の高いIT系の人たちは引き続き壁を乗り越えて今後も使うのかもしれません。しばらく様子を見てみようと思います。僕が思うClubhouseの今後については以前のnoteに書いたとおりです。

ちなみに、↑のnoteで「YYじゃん」と評価した後に判明したのは、Clubhouseの技術提供は中国企業の「声網」(Agora)で、YYの元CTOが起業した会社です。誰かも言ってましたが、このアプリのキモの一つはほぼ遅延なくライブで音声やり取りできる技術の高さで、それがやはりYYのものだったとことは実に面白いです。そして、中国企業の技術が活躍しているサービスが中国でブロックされてることは皮肉なものです。

(参考資料)


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