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リモートワークは、本当にサステナブルか?

(Photo by pan xiaozhen on Unsplash)
リモートワークが広がることで、CO2排出は減るのだろうか。コロナ禍においては、飛行機も減便され、当然CO2排出量は大幅に減っているだろう。しかし、アフターコロナの時代を想定した際に、リモートワークを継続推進することが、CO2排出削減につながるのだろうか。


在宅勤務のCO2排出

一つの興味深い動きが、次の記事に書かれている。企業の脱プラスチックの責任範囲をオフィスのみならず、在宅にも広げるというものだ。チーム対抗などのゲーム性を取り入れて、楽しくごみの分別を行う。

この記事のアプリは、考え方としては、カーボンニュートラルにも適用可能だ。オフィスだけでなく、在宅勤務中のCO2排出にも企業が責任を持つことになる。

WWFのカーボンフットプリントの計算をしてくれるサイトに行くと、自分が地球何個分のCO2を排出しているか、計算してくれる。最初の質問が、「肉を毎日食べるか?」から始まるところが面白い。答えていくうちに、どうすれば自分自身のCO2排出を減らせるかを学ぶこともできる。

残念ながら、このWWFの質問には、在宅勤務の影響は反映しにくい。どのくらいの時間、公共交通、自動車などを使うかという通勤に関する質問はあるが、在宅勤務によって増量する自宅におけるCO2排出については考慮されていない。

オフィスワークと在宅勤務のCO2排出を比較した研究によると、冷暖房などのCO2排出は在宅になると20%ほど増えるという。しかし通勤・出張に関わる移動のCO2排出削減の方が大きいため、全体としては削減効果が大きいということのようだ。


オフィスを拡大するか、縮小するか、それが問題だ

会社側の事情からすれば、在宅勤務を増やすだけでなくオフィスを縮小してしまえば、CO2削減は圧倒的に進む。経営としての経費削減効果もきわめて大きい。

一方で、戦略的にオフィスを拡大する企業もあるという。リモートワークを活用しつつも、オフィスでなければできない創造的なチームワーキングをメリハリ持ってやれるようにすれば、売上拡大を狙えるかもしれない。


地方で働くワーケーション

一方で働く人の立場から見ると、リモートワークになると、今住んでいる自宅にこだわる理由もなくなる。会社までの通勤を前提に考える必要がなくなるからだ。私の知人でも、ワーケーションとして京都に長期滞在する人がいる。最初はおそるおそるのワーケーションだが、一週間もすると罪悪感も消え、帰る理由がないことに気づいたりもする。


リモートワークがスローワークスタイルを導く

最初の問い、「リモートワークは、本当にサステナブルか?」は、一人ひとりの社員がリモートワークによってどれだけCO2が増減するかというテクニカルな影響よりも、働く人と会社の双方の意識が変わるかどうかの影響が大きいのではないだろうか。

毎年10%増のストレッチ目標を立ててオフィスに缶詰にするワークスタイルは、効率を追求したブロイラーのようだ。リモートワークがきっかけとなり、会社中心の生活様式から脱却できるかどうかが大きい。

好きな場所に住んで、会社よりもコミュニティに軸足を置いて人生を送る人が増えることが、この社会をサステナブルにするのではないだろうか。会社の役割は、一人ひとりのライフスタイルを応援する制度設計になるだろう。

つまり、リモートワークが「コミュニティに軸足を置いて人生を送る」スローワークスタイルを志す人が増えることにつながれば、この社会はサステナブルになるというのが私の結論である。

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