サプライズパーティーやサプライズのプレゼントは普通嬉しいもの。そうではなかったとしても、期待する程ではなかったり、はたまた、ほんの少しだけ嬉しかったり、何かしら人の心は動く。

マーケットも同じ。サプライズがあれば、様々な状況やキーパーソンの言質から手掛かりを探して、いい方向に向かうサプライズだったのか、意味がなかったのか、あるいは悪い方向に向かうものだったのか、を判断し、投資家は動く。たとえば、日銀の金融政策修正の有無とあるとすればそのやり方について、急速に関心を高め、7月30-31日の政策決定会合の動きがどう出るのか、読みに入っている。サプライズでマーケットが断崖を作らないように、中銀はマーケットと対話やフォワードルッキングを行うようになる中、むしろ、サプライズ期待が出たときのボラティリティは従前よりあがってしまったのではないか、という気もする。

それとは対照的にECBの今月の理事会では、ほとんど目新しいことが示されず、ノーサプライズに終わった。もっとも前回の理事会では、2019年夏まで金利は低いままを示したというサプライズがあったためかも知れない。敢えて今回会合のポイントを探すと、欧州でも食物とエネルギーを除くインフレ率は0.9%どまりだが、経済の持ち直しから2%のターゲットも達成も可能との自信が見え隠れしたこと、再投資は議論の対象にないこと、次期金利引き上げは2019年の7月か9月か論争については、英語版が重要と強調することで9月説を濃厚にするヒントを与えた、ことくらい。加えて、米トランプ大統領と欧州委員会ユンケル委員長との間で、車を除く工業製品の関税導入をせず、貿易戦争を回避することで合意したことも伝えられポジティブな印象を決定づけたと言える。

秋になると、欧州ではドイツバイエルン州の選挙やイタリア総選挙、ブレグジットに関する実質交渉期限も迎える。ノーサプライズは嵐の前の静けさと言うだけなのか、マーケット参加者が夏休みを取って閑散となる期間を問題なくやり過ごしただけなのかは不明だ。ただし、ノーサプライズの恩恵か、しばらくは欧州市場からリスクが出て来る可能性は低いと見ている。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO33468940W8A720C1FF8000/

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