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ジャニーズ事務所はやっぱり何も分かってないし「タレントにも罪はある」

ジャニーズ事務所は10月2日(月)14:00から記者会見を行い,所属タレントのマネジメント事業を新会社に移管する組織再編や、ジャニーズ事務所の社名変更などを説明した。

その中で,被害の連絡は478名,補償請求は325人名にのぼることが明らかになった。もちろんこれは全被害者ということではなく,実際にはもっと多くの被害者がいることが想定されるし,より重篤な影響を受けた方々は未だ被害を訴え出ることができずにいる可能性がある。

時間が経ってもやっぱりジャニーズ事務所は何も分かっていない

まず会見を通じて感じられたのは,これまでと変わらない,性被害に対する認識の軽さだ。性被害は「心の殺人」「魂の殺人」などと言われることがあるが,その影響は第三者には計り知れないほど重く,大きい。

もちろん個人差はあるが,何十年にも渡り苦しみを抱えたり,結果命を断つ方もいる。生活や人生に障害が及び,自分の思い通りの人生を送れなくなるだけでなく,社会生活自体が成立しなくなることもある。

何よりも,心の傷を抱え,治療を受けることさえも出来なかったり,受けられてもうまくいかなかったり,延々と通院やカウンセリングを続けておられる方もいる。もしかすると,誰も知らない間に亡くなっている人だっているかもしれない。

新会社「SMILE-UP.」の100%株主藤島ジュリー景子氏はもちろんこと,会見に出席した名称未定の新エージェント会社の社長に就く東山紀之氏,副社長の井ノ原快彦氏も含め,このことを理解して,正面から受け止めているとは到底感じられない。

それはひとえに「自分たちが所属してきた集団の体をなんとかして守ろうとしている」点に起因している。

金銭的補償は別にして,彼らが言う「被害者の心のケア」の重要なポイントの一つは,彼ら自身の立ち振る舞いにもかかっている。勿論そのことだけで心の傷が癒やされるということではないが,今この状況下では非常に影響は強い要素と言わざるを得ないのだ。

「被害者の心のケア」の一つはトラウマを解消すること

性加害の象徴的な影響の一つは,PTSD(Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害)という診断名に代表されるいわゆる「トラウマ」である。トラウマの解消は,言い換えれば「過去は過去のこととして位置付けて,自分なりに整理・消化し,次第に記憶が薄れていく」ということでもある。

当然それを目指していくことが「心のケア」そのものでもあり,そのためにできることはしていくべきである。しかしそれに反するような大きな方針・対応が3つ見受けられた。

①新会社を設立し,これまでの所属タレントのマネジメントをすること
→本当の意味での過去の清算と整理をするならば,所属タレントを別の事務所に紹介するなどして,組織としての体を解消することが妥当ではないか。名前を変え業態を変えても,スタッフ・タレント含め人材など中身が変わらなければ,被害を想起させうる強力な心理的刺激は残り続ける。また育成システムその他の仕組みが一定程度引き継がれるとすれば,本当の意味での再発予防とはいえない。

②これまでのファンとの結びつきを存分に活用するという意思を明確に示していること
→なぜファンクラブも解散させないのか。やはりある種,一部異質ともいえるファンの熱量や考え方,資金頼みとも感じられることに加えて,これまでの関係性をベースに考えることは,被害者感情に配慮しているとはいえない。新会社の名称をファンを対象に公募するというのも,事務所の過去の在り方への肯定とも受け取られかねず,被害者ケアを前提とすると意図が不明である。

③「心のケア」に関する具体的なことには何も言及していないこと
→東山氏からは「臨床心理士と連携して・・」などという発言も見受けられたが,心のケアは何も専門家だけができることではない。局面によっては関係者の対応のほうが専門家の治療的関わりよりも重要なことも少なくない。これだけ時間があったのに,その件についてどう考えているかの具体的な言及が全くなかったのは,どれだけ真剣に考えているかについて疑問を抱かざるを得ない。

タレントの前に,一人の人間として今求められることは何か

そして会見に出席した東山氏,井ノ原氏を始め,これまで所属タレントの何人かはジャニー氏の性加害について「噂レベルでは知っていた」とあたかも口裏を合わせたかのように表明している。

私は,これまで他の業界関係者の方々のカウンセリングをしてきた経験から,一つの可能性として,ジャニー氏が性加害のターゲットと非ターゲットを何らかの基準で自分の中で分けていた,ということもあり得るかと感じている。その場合,例えば非ターゲットの所属タレントは,まさに噂レベルでしか知り得ないということもあると考えられる。

しかしながら,今は違う。性加害の事実や,少なくない被害者の存在,さらにいえば自分が所属していた事務所の繁栄や自分たちの華々しい活躍が,被害者の涙と苦痛の上にも成り立っていたといえることが白日の下に晒されている状況だ。

過去はともかく,ここから先は自分の判断で行動できるはず。未成年はともかくとしても,芸能人とはいえタレントも大人として社会人として,自分の身の回りに起きたトラブルの「事後に」どう立ち振る舞うかが求められている。私の個人的見解では,一人の人間として賢明な判断をして,説明も含めて十分に行動しているタレントはまだ誰もいないと言ってよいのではないかと感じている。

その意味で,やはり「タレントにも罪はある」のである。

ちなみに,ジャニーズ事務所に選任されている弁護士は,優秀でキレ者というよりも,経歴がそれっぽくて,組織としてコントロールの効きやすい人物が選ばれている印象がある。

とてもではないが,論理的に整理された思考や,綿密な準備があるとは思えず,社会に対する納得いく説明や,本件について法的な立場からの広く納得できる方針や対処を提案できる人材とは感じられなかった。この点からも,今後の対応に対する本気度に疑問を呈さざるを得ない。

<警告>
私や関連機関に対する執拗な誹謗・中傷や侮辱行為は,弁護士と連携し,発信者情報開示請求を行うとともに,威力業務妨害,名誉毀損,侮辱等の可能性を踏まえ刑事・民事告訴を行います。偽名だろうが,本人が該当しないと判断するかは関係なく,また示談には応じませんのでご承知おきください。

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