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「人の善良さはもろく、役割次第で心をなくして狂暴になる」は真実ではない

「人の善良さはもろく、役割次第で心をなくして狂暴になる」という有名な心理実験、監獄実験の結果は、実は、実験企画者によって操作されたもので、間違った結果であったことがわかっています。

大半の人はどんな役割を担っても、優しやユーモアを失いません。

間違った心理実験の結果や殺人や放火など非日常だけがマスメディアで報道され続ける影響が大きく、現代社会では、人間の本性が非倫理的であるという確信を持っている人が多くなってしまっているようです。

しかし、大半の人間は助け合うことを良しとする、高い倫理性を持っていると説く書籍が、世界的なベストセラーになっています。人間の善性を示す事例で溢れていて、未来を明るく見通せるようになる良著です。

人類の100万年の歴史を眺めると、定住と農業が始まるまでは、所有の概念のない時代が、長く続きました。

非力な人間が生存するためには、助け合いながら生きていくしか術がなく、役割を担えず、他者の役に立てない人は居場所がなくなっていきます。

つまり、人の役に立つことは、個人が安心して暮らすための条件でもありました。倫理の根幹である利他性は、人類の特徴そのものになっていきました。

土地を耕し、街を作るようになると、個人が富を所有するようになり、助けあう必然性は減りました。その富の喪失に対する不安を減少させるためには、より利己的になり、さらに富を蓄積したくなります。そして、この渇望が文明の進歩を生んできました

現在する様々な社会課題は、長期的に人類が培ってきた利他性の特徴と、現代の競争社会の中で発露している強い利己性がぶつかり、良いバランスが取れないことで発生しているようにみえます。

それでも、これからも助け合いながら、進歩を続ける道筋を見出す知恵が、人類にはあるはずだと信じています。

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