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1-2泊の旅で何が分かる?ー3泊以上の旅を増やそう。

「日本人は旅をやめたのか」というちょっとドキッとする見出しの記事です。海外旅行をする日本人が減っているだけでなく、国内旅行の数も横ばいというのです。2泊から増えない。

訪日する外国人は増え、滞在日数も増えているのに、です。

海外旅行低迷はパンデミックや為替変動が背景になりやすいですが、それだけではなさそうです。以下はZ世代の慎重ぶりを示していますが、これはZ世代に限らない傾向ではないでしょうか。というのも、「行きたいと思わない」「行きたいが社会情勢が不安で行けない」という30代以上の人に出逢うことなんて、まるっきり珍しくないからです。

日本人は旅をやめたのか 海外は低迷、国内は伸び悩み

しかし、それはそれとして、この記事を書こうと思った動機は別にあります。

「3泊以上の旅行が増えない」ことが、ぼくのアンテナにひっかかりました。実は、これはかなりの大問題ではないか?と。

2泊3日の旅は不十分である

かなり奥深い問題を含んでいると思ったのは、1-2泊の旅は1週間の旅と質が違うにも関わらず、単なる期間が長短で、その結果、短ければ訪れるべき場所の数が減ると考えている方が多いからです。

週末の金曜日から日曜日、遠い場所にある美術館の展覧会を見る、ある地方の名物料理を食べたい、久しぶりに旧友と会いたい・・・もちろん、ちょっと頭を切り替えたいという場合もあるでしょう。基本、スポット的にひとつのイベントに集中する目的になります。

学生時代の旅を別にして、その後、数週間の旅をするようになったのはイタリアで生活するようになってからですが、ここで長期滞在は旅の質を変えることに気が付きました。量は質を変えるのです。気分転換の仕方が半端じゃない、というだけではないのです。

最近経験したたった1週間の旅でも、それを思いました。2-3日と1週間は違う、と。

2-3日だけだと興奮で終わってしまう

例えば、2-3日以内であれば、その街の美味しいと思うレストランを毎晩渡り歩いてみようと思い、それを実行できます。しかし、1週間となると、そういう食事に飽きたり、そもそも外食続きが身体に変調をもたらすこともあります。

先月、ピエモンテ州ランゲ地方に滞在しました。旅の前に書いたのは以下の記事です。

この滞在にはアパートを借りたので時に自炊もしたのですが、まず最初におよそ30近くのアルバの中心にあるレストランをサイトでチェックしました。そして、いくつかの候補のなかから夕食用に予約しました。どれも大当たりです。

しかし、それでも毎晩は要らない。でも自炊も面倒・・・となったとき、カジュアルなパブやカフェで気楽な食事をするわけですが、それらのレベルがとても高かったのです。

そこで次のように思いました。

1-2泊では、こういった料理に決して手を出さない。旅の日々とは興奮の連続だけではない。興奮していないときに何に出逢い、何を味わえるかがテーマではないか。とすると、複数の波が自ずと出るようなセッティングをすることで、旅の質があがるはずだ。それには日数が必要だ

1-2泊の旅が平凡な感想をつくる

ここで冒頭で紹介した日経新聞の記事に戻ります。

宿泊日数が伸びないのは、宿泊日数によって訪れた場所の理解がまるっきり変わっていき、自分の人生観や世界観に変化を生むとの経験則を獲得していないからではないか?との問いを抱くのですね。

海外旅行に対して消極的というと内向きな性格を指摘しがちです。だが、それだけでなく、それなりに日数のある旅が人をつくる、との認識不足も加担しているかもしれないです。

1-2泊の旅とは「〇〇で一番」みたいな有名な場所への訪問に限定されるので、穴埋め競争のようなもので、自分なりの発見がない。経験の幅が広がらず、したがって旅の感想はありがちになるのです。

そして、なによりも次の旅への意欲を生む動機が出来づらいのですね。だから、ここは強く言いましょう。3泊以上の旅を増やそう!と。

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冒頭の写真はアルバの目抜き通りです。イタリアも先週あたりから涼しくなり、こんな格好で歩いている人はもうほぼいないです。


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